働き方

介護の夜勤の実際|夜勤手当の相場・深夜割増と、夜勤なしの働き方

公開: 2026年7月17日 / 編集: 介護のしるべ編集部

夜勤明けの、あの独特の疲れ。体は重いのに、なぜか頭は妙にさえている。窓の外はまぶしくて、世の中はもう動き出しているのに、自分だけが違う時間を生きているような感覚——。介護の夜勤を続けている方なら、きっと一度は味わったことがあると思います。

「この働き方を、この先も続けられるだろうか」「体がもつだろうか」。そんな不安を、ひとりで抱えているのかもしれません。あるいは、これから介護の仕事を始めようとしていて、「夜勤ってどれくらい大変なんだろう」と身構えているところかもしれませんね。

まっ先にお伝えしたいのは、夜勤のつらさは、あなたの体力や気持ちが足りないからではない、ということです。夜通し人を支えるのは、それ自体が体に負担のかかる働き方です。だからこそ、正しく知って、うまく付き合う工夫を持つことが大切になります。

この記事では、介護の夜勤が実際どういうものなのか、夜勤手当は実態としてどのくらい支払われているのか、つらさをやわらげるにはどうすればいいのか、そして「夜勤なし」や「夜勤専従」という選び方まで、公的なルールと民間の調査データ、そして実際に夜勤を続けている人たちの声をもとに、できるだけやさしい言葉でお伝えします。読み終わるころには、自分に合った夜勤との付き合い方が、少し見えてくるはずです。

まず知ってほしい、3つのこと

最初に、この記事の結論からお伝えします。夜勤について、覚えておいてほしいことが3つあります。

  • 夜勤の賃金は「職場独自の手当」と「法定の深夜割増」を分けて確認します。 民間調査では手当は5,000円台が最多ですが、5,000円未満から1万円以上まで分かれます。
  • 夜勤のつらさには、工夫で和らぐものと、体制の問題であるものがあります。 生活リズムや仮眠の工夫と同じくらい、「夜間に何人で何人をみる職場か」が負担を左右します。
  • 夜勤との付き合い方は、選べます。 実際、日勤のみで働く介護職は半数を超えます。夜勤のない職場も、夜勤だけをまとめて担う働き方もあります。

なお、この記事で紹介する手当や回数の数字は、国の統計に全国一律の値がないため、民間の調査(本文で紹介する白書2024)によるものです。平均額のひとり歩きを避けるため、「最も多い帯」と「どこからどこまで幅があるか」という分布で見ていきます。

たとえるなら、夜勤は「長い夜道を歩くこと」に似ています。真っ暗ななかを何の備えもなく歩けば不安ですが、道の様子を知り、明かりを持ち、休む場所を決めておけば、ずっと歩きやすくなります。この記事が、その明かりのひとつになればと思います。

介護の夜勤とは:2交替・3交替と、1日の流れ

まず、介護の夜勤がどういうものなのかを整理しましょう。夜勤には、大きく分けて「2交替」と「3交替」の2つの形があります。

2交替と3交替のちがい

2交替は、1日を「日勤」と「夜勤」の2つのシフトで回す方式です。夜勤の勤務時間が長く、休憩・仮眠をはさんで16時間ほど(たとえば夕方から翌朝まで)にわたるのが一般的です。勤務日数は少なくてすみますが、1回の拘束時間が長いのが特徴です。

3交替は、1日を「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つのシフトで回す方式です。1回あたりの勤務時間は8時間前後と短めですが、シフトの入れ替わりが多く、生活リズムが不規則になりやすい面があります。

どちらが良い・悪いということではなく、体質や生活スタイルとの相性の問題です。「長い1回を乗り切って、翌日はしっかり休みたい」人には2交替が、「1回の勤務は短いほうがいい」人には3交替が合いやすい、というくらいに考えておくとよいでしょう。介護の施設では、2交替を採用しているところが多く見られます。

夜勤をしている人は、どのくらいいるのか

そもそも、介護職の中で夜勤に入っている人はどのくらいいるのでしょうか。株式会社マイナビが実施した調査、マイナビ介護職『介護職白書 2024年度版』(調査時期は2024年11月7日〜12月3日。以下「白書2024」)によると、介護職の働き方は「日勤のみ」が52.2%と半数を超え、「日勤と夜勤の両方」が40.0%、「夜勤専従」が7.9%でした。夜勤は、介護の仕事に必ずついて回るものではないのです。

回数についても分布がわかっています。2交替で夜勤に入っている人の回数は、月4〜6回と答えた人の合計が51.5%と約半数。一方で、回答帯として最も多かったのは「月10回以上」の19.1%でした。月10回以上ということは、およそ3日に1回は夜勤に入っている計算で、かなりの回数を一部の人が担っている実態も見えてきます。

ひとつ注意があります。白書2024は転職サービスの登録会員に行った調査のため、転職を意識している介護職寄りのサンプルです。介護職全体の姿と完全に同じとは限らないことを踏まえて、「おおよその分布」として読んでください。それでも、「月4〜6回が約半数」という物差しがあるだけで、自分の回数が多いのか少ないのか、見当をつけやすくなるはずです。

夜勤の1日の流れ(2交替の一例)

夜勤が具体的にどう進むのか、2交替のイメージをつかんでおきましょう。あくまで一例で、施設によって時間帯や内容は変わります。

  • 夕方(申し送り):日勤の担当から、利用者さんの体調や日中の様子を引き継ぎます。この申し送りが、夜を安全に過ごすための土台になります。
  • 夜(就寝の介助・見守り):夕食・服薬の介助のあと、就寝の準備を手伝います。トイレの介助、体の向きを変える介助(床ずれを防ぐため)、ナースコールへの対応などを、静かに続けます。
  • 深夜(巡回・仮眠):定期的に居室を見回り、呼吸や体調に変わりがないかを確認します(巡回)。落ち着いた時間帯に、交代で仮眠をとります。
  • 早朝(起床の介助):起床、着替え、トイレ、朝食の準備の介助が始まります。夜勤で最も忙しくなりやすい時間帯です。
  • 朝(申し送り・退勤):日勤の担当に夜間の様子を引き継いで、勤務が終わります。

夜勤の間は、少ない人数で多くの利用者さんを見守ることになります。とくに深夜から早朝にかけては、急な体調の変化に一人で気づき、判断しなければならない場面もあります。この「静かだけれど気が抜けない」時間の積み重ねが、夜勤ならではの負担なのです。

仮眠は「取れる職場」と「取りにくい職場」がある

夜勤には、休憩・仮眠の時間が定められているのが一般的です。ただ、実際にしっかり眠れるかどうかは職場によって差があります。ナースコールが多い夜や、人手が薄い職場では、仮眠が細切れになったり、ほとんど取れなかったりすることもあります。白書2024でも、休憩が取れていないと答えた人が「取れない時間帯」として挙げた最多は日勤帯の78.5%ですが、夜勤帯も34.1%と、3人に1人が挙げています。

実際の夜がどんなものか、当事者の声をひとつ紹介します。特養で22時から翌9時まで、一人で2フロア・約20人の利用者さんを担当する介護職の方は、自身のnoteにこう綴っています。

「朝まで一人。孤独です。」「休憩は『みなし』。仮眠はなし。」

休憩が形のうえでは存在しても、実際には持ち場を離れられない——現場で「みなし休憩」と呼ばれる状態です。一方で、同じ方は同じ記事の中で、こうも書いています。

「尚、夜勤明けには朝ラーメンしてケーキを買って帰る。それがご褒美ルーティン。」

(出典: note「孤独のグルメ〜夜勤編」・2025年11月)

孤独な夜のしんどさと、明けの朝のささやかなご褒美。夜勤のつらさと楽しみは、別々の人の話ではなく、こんなふうに同じ人の中に同居しています。だからこそ、職場を選ぶときには「仮眠室があるか」だけでなく、「休憩・仮眠を実際に取れる体制か」「夜間は一人体制か、応援を呼べるか」まで確認しておくと、体の負担の見通しが立てやすくなります。

夜勤手当の相場は一律ではない——深夜割増と分けて見る

「夜勤って、手当はどのくらいつくの?」——ここが気になる方は多いと思います。結論からいうと、国が介護職の夜勤1回あたりの手当額を決めているわけではなく、全国一律の公的な相場はありません。 2交替か3交替か、勤務時間、地域、雇用形態、職場の賃金規程で変わります。

法律上共通するのは、22時から翌5時までの深夜労働には、原則として通常の賃金の25%以上を割り増して支払うことです。職場独自の「夜勤手当」は、この深夜割増とは別に払う場合と、一定時間分の深夜割増を含む場合があります。「夜勤手当○円」とだけ書かれていても、その中身が同じとは限りません。

民間調査で見る、夜勤手当の実態分布

では、実態としてどのくらい支払われているのでしょうか。白書2024(株式会社マイナビ/マイナビ介護職『介護職白書 2024年度版』・調査時期は2024年11月7日〜12月3日)によると、2交替で夜勤をしている人の夜勤手当は「5,000〜5,999円」が最多の21.8%でした。ただ、この「最多」も5人に1人ほどにすぎません。5,000円未満という人が19.8%いる一方で、10,000円以上という人も21.5%——つまり、5,000円未満から1万円以上まで、ほぼ同じくらいの割合で分かれているのです。同じ「介護の夜勤」でも、職場によって1回あたり5,000円以上の差がつくことは珍しくありません。

もうひとつ、白書2024には示唆的な結果があります。「どのような条件なら夜勤をしてもよいか」という問いへの答えは、1位が「夜勤手当が高い・別途手当がある」の45.4%、次いで「仮眠が取れるなど業務負担が少ない」の38.1%でした。働く当事者にとって、夜勤を続けられるかどうかは金額だけの問題ではなく、負担の軽さとの掛け算だということです。手当の高さに引かれて選んだ職場が、仮眠の取れないワンオペだった——そんなミスマッチを防ぐために、次の確認リストを使ってください。

夜勤がある職場を見極める確認リスト

手当が高く見えても、勤務時間が長い、固定の深夜割増を含む、仮眠が取りにくいということがあります。金額だけで職場の良し悪しを決めず、求人票と面接・見学で次の7つを確認してください。

まず、求人票と労働条件通知書で確認することは3つです。

  1. 夜勤1回あたりの手当額と、その対象になる勤務時間
  2. 法定の深夜割増を別に支払うのか、手当の中に含むのか
  3. 月の標準回数と、欠員時など追加夜勤があるときの扱い

そのうえで、面接や見学の場では、紙面ではわからない体制を確認します。

  1. 夜間は職員何人で、利用者さん何人をみる体制か(ワンオペかどうか)
  2. 休憩・仮眠は実際に取れているか。仮眠室や横になれる場所はあるか
  3. 夜間の急変時に、看護職への連絡や応援を呼べる仕組みがあるか
  4. 夜勤明けの翌日は休みになるシフトか(明け→休みの並びかどうか)

4〜7は、答えの中身と同じくらい「答え方」も情報になります。体制について具体的な数字がすっと出てくる職場は、夜勤の実態を隠す必要がない職場です。逆に言葉を濁されたら、それも大切な判断材料にしてください。

なお、給与全体の傾向については、介護職の月給が資格・夜勤回数・施設が取得している加算などで変わることが、厚生労働省の調査でも示されています。「今の夜勤手当や給料が、介護の限界」ではないということも、頭の片隅に置いておいてください。施設タイプや資格によって、めやすは変わってきます。

法定の深夜割増は最低基準です。職場独自の夜勤手当の額・計算方法は、就業規則や賃金規程、労働条件通知書で確認してください。

夜勤のつらさへの、具体的な対処

最初にお伝えしたいことがあります。夜勤のつらさの少なくない部分は、あなたの体力や気持ちの問題ではなく、職場の体制の問題です。

白書2024では、夜勤では不安やストレスが増えると思う人が68.5%にのぼりました。夜勤中の不安として最も多かったのは「トラブルが起きたときの対応」の36.2%。深夜に利用者さんの体調が急変したら、自分ひとりで判断しなければならない——その緊張は、あなたが心配性だから生まれるのではなく、「夜間に相談できる相手がいない体制」から生まれています。

介護歴15年以上の介護職の方は、自身のnoteで一人夜勤の経験をこう振り返っています。

「入居者が20〜30人いても、夜の見回り・排泄介助・ナースコール対応など、すべて1人でこなすケースが多いのです。」「当然、仮眠も休憩も取れないのが現実。」

そのうえでこの方は、1人夜勤・休憩なしは「当たり前ではなく異常な働き方」だと訴えています(出典: note「これって労働基準法違反じゃないの?介護職1人夜勤の闇」・2025年11月)。

個別の職場が法律に違反しているかどうかは、勤務形態や個々の事情によるため、この記事で判断することはできません。ただ、一般的なルールとして、労働基準法では8時間を超える勤務には少なくとも1時間の休憩を、業務から離れられる形で与えることが原則とされています。「夜勤で休憩が取れないのは当たり前」と思い込んで、我慢を続ける必要はありません。気になる場合は労働条件通知書や就業規則を確認したうえで、総合労働相談コーナー(各都道府県労働局などにある無料の相談窓口)に相談する道もあります。

そのうえで——体制は今日すぐには変えられなくても、自分でできる工夫はあります。ここでは、生活リズム・仮眠・体調の3つの面から、今日から試せる対処法をお伝えします。無理なくできそうなものから、ひとつずつ取り入れてみてください。

生活リズムを、できる範囲で整える

夜勤で乱れやすいのが、体内時計(人の体に備わった、朝と夜を刻むリズム)です。これを完全に整えるのは難しくても、光のコントロールで負担を減らせます。

  • 夜勤明けの帰り道は、強い光を避ける。 朝日を浴びると体は「今から活動する時間だ」と勘違いして、眠りにくくなります。サングラスをかけたり、帽子をかぶったりして、光をやわらげると眠りに入りやすくなります。
  • 明けの日の昼寝は、数時間まで。 疲れているとつい何時間も眠ってしまいがちですが、寝すぎると夜に眠れなくなり、翌日以降のリズムがさらに崩れます。昼寝は2〜3時間ほどにとどめ、夜は普段どおりの時間に眠るのがコツです。
  • 夜勤前は、軽く仮眠をとっておく。 勤務前に少し眠っておくと、夜の眠気による集中力の低下をやわらげられます。

仮眠は「質」を意識する

夜勤中の仮眠は、短くても質を高める工夫で、回復の効果が変わります。

  • 仮眠の前に、カフェインを控える。 コーヒーや栄養ドリンクは目が覚めてしまい、せっかくの仮眠を浅くします。
  • 短時間でも横になる。 完全に眠れなくても、目を閉じて体を横たえるだけで、体はある程度回復します。
  • 仮眠のあとは、少し時間をおいてから動く。 起きた直後はぼんやりしがちです。数分、体を慣らしてから業務に戻ると、判断ミスを防げます。

体調を守る、日々の小さな習慣

夜勤を続けるうえで、体調管理は何より大切です。特別なことでなくてよいので、次のような小さな習慣を積み重ねてみてください。

  • 食事は、夜勤中に重いものを食べすぎない。 消化に負担がかかると、眠気やだるさにつながります。夜勤中は軽め・消化のよいものがおすすめです。
  • こまめに水分をとる。 夜間は水分が不足しがちです。少しずつ飲むよう心がけましょう。
  • アルコールに頼らない。 「眠るためのお酒」は、かえって睡眠の質を下げます。寝つきはよくなっても、眠りが浅くなりやすいのです。
  • 不調が続くときは、早めに相談する。 眠れない・気分が落ち込む・体が回復しないといった状態が続くなら、我慢せず医療機関や職場に相談してください。気分の落ち込みが長引くときは、厚生労働省の働く人向け相談窓口「こころの耳」(電話・SNS・メールで無料相談できます)を頼る方法もあります。夜勤は体への負担が大きい働き方だからこそ、無理は禁物です。

これらは、厚生労働省の健康情報サイト「KENNET」でも紹介されている、交代制勤務と上手に付き合うための考え方に沿ったものです。全部を一度にやろうとせず、「これならできそう」というものから始めれば十分です。

施設タイプで、夜勤はこう違う

同じ「介護の夜勤」でも、施設のタイプによって体制や負担は大きく変わります。ここが、夜勤との付き合い方を考えるうえで、とても重要なポイントです。

負担の差を生む大きな理由のひとつが、国が定める夜勤の最低人数の基準(厚生省告示第29号)です。たとえば従来型の特別養護老人ホームは、入所者25人以下なら1人、26〜60人なら2人、61〜80人なら3人、81〜100人なら4人が夜勤の最低人数と決められています(ユニット型は2ユニットに1人以上)。グループホームは1ユニット(9人以下)に1人以上、介護老人保健施設は原則2人以上(入所者40人以下で夜間に連絡が取れる体制なら1人以上でも可)が基準です。ここで知っておいてほしいのは、いわゆる「ワンオペ夜勤」は、この最低基準の範囲内で起こりうる働き方だということ。一人夜勤そのものがただちに違法というわけではなく、つらさは「基準ぎりぎりの人数で回す」体制の側から生まれます。だから、法律に触れるかどうかで思い悩むより、「その人数で自分が回せるか」を物差しに職場を見るほうが、判断の助けになります。

たとえば、**特別養護老人ホーム(特養)**では、2交替の16時間夜勤か3交替が一般的です。夜勤は複数のフロアを少人数で担当することが多く、体力面の負担があります。そのぶん夜勤手当が収入の柱の一つになる、という面もあります。特養での働き方の実際は、特別養護老人ホームで働くとはのページで、人員配置や夜勤体制とあわせて確認できます。

一方、**グループホーム(認知症の人が9人以下の少人数で家庭的に暮らす施設)**では、夜勤の性格が少し違います。夜勤は1つのユニット(9人以下の生活単位)を、職員一人で担当することが多いのです。いわゆる「ワンオペ」——一人で夜間の全対応を担う体制——になりやすく、少人数ゆえの責任・緊張感があります。認知症の人の夜間の対応を一人で受けとめることになるため、体力とは別の負担があるのです。グループホームの夜勤の実際は、グループホームで働くとはのページで、ワンオペ体制や確認しておきたい点とあわせて見ておくと安心です。

ワンオペ夜勤がどういうものか、内側から明かした当事者の声があります。介護施設で働く介護福祉士の方が、自身のブログで、早朝の時間帯についてこう書いています。

「ワンオペ夜勤をしている介護施設では、早出職員が出勤してくるまで1人の職員で約20人の利用者の介護をします。」

この方は、一人で全員の起床介助をこなすために「転倒などのリスクが低い方から起こす」といった、職員の都合を優先せざるを得ない運用が生まれる構造を、後ろめたさを隠さずに綴ったうえで、こう結んでいます。

「我々現場職員は利用者により良いケアを提供したいと思っています。しかしそのためには、まずは自分を守らないと共倒れになってしまいます。」

(出典: 個人ブログ「介護施設のワンオペ夜勤の暗黙の了解『利用者を起こす順番』」・2019年3月)

良いケアをしたい気持ちと、一人では守り切れない現実。この葛藤は、働く人の頑張りでは解消できず、体制でしか解決できません。だからこそ、施設を選ぶときには「夜間は職員何人で、利用者さん何人をみるのか」を、具体的な数字で確認してほしいのです。

このほか、**介護老人保健施設(老健。リハビリと在宅復帰を支える施設)や介護医療院(長期の医療と介護を一体で行う施設)のように、看護職と一緒に夜勤を担う職場では、医療的な対応の場面がある一方で、応援を求めやすい安心感があります。介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(介護型)**でも夜勤はありますが、施設の規模によって担当する人数が変わります。

つまり、「夜勤がきついかどうか」は、施設のタイプと体制で大きく変わるということです。同じ夜勤でも、複数人で回す職場と、一人で担う職場では、負担がまるで違います。「夜勤がつらい」と感じているなら、夜勤そのものをやめる前に、体制の違う職場に移るという選択肢があることを、覚えておいてください。

施設タイプごとの夜勤の傾向は、施設タイプ別の「働き方」を比べるページで一目で見比べられます。今つらいと感じている点が、施設を変えることで解決できるかもしれません。

夜勤なし・夜勤専従という選び方

夜勤との付き合い方は、「夜勤ありの施設で働く」以外にもあります。ここでは、「夜勤なし」と「夜勤専従」という2つの選び方を紹介します。

夜勤なしで働きたいなら

「夜勤の負担がどうしてもつらい」「家庭と両立したい」——そんな方には、そもそも夜勤のない働き方があります。夜勤なしは、決して特別な選択ではありません。前述の白書2024でも、「日勤のみ」で働く介護職は52.2%と半数を超えていました。

  • デイサービス(通所介護):日中だけ利用者さんが通う施設です。原則として夜勤がなく、日中のシフト中心で働けます。家庭との両立がしやすいことで人気があります。
  • 訪問介護:利用者さんの家を訪ねて介護をする働き方です。日中のシフトが中心で、夜勤なしで働けることが多いです。
  • 入居施設の日勤のみ募集:特養などの入居施設でも、「日勤のみ」の募集をしている場合があります。夜勤を避けたい旨を伝えて探すこともできます。

夜勤がないぶん、夜勤手当は付きません。そのため月収の傾向は夜勤ありの職場より控えめになりやすい面はありますが、「体の負担を減らして、長く続けられる」ことを優先するなら、十分に検討する価値のある選び方です。生活の安定と収入のバランスを、自分の物差しで考えてみてください。

夜勤専従という働き方

反対に、「夜勤を集中的にこなして、効率よく稼ぎたい」という方には、夜勤専従という選び方があります。これは、日勤には入らず、夜勤だけをまとめて担当する働き方で、前述の白書2024では介護職の7.9%がこの形を選んでいます。

夜勤専従には、こんな利点があります。

  • 収入を確保しやすい。 夜勤手当が積み重なるため、勤務日数のわりに収入を得やすい傾向があります。
  • 日中の時間を自由に使える。 昼間に用事を済ませたり、家庭の事情に合わせたり、Wワークをしたりしやすくなります。
  • 勤務のリズムが一定になる。 夜勤だけなので、日勤と夜勤が入り混じる不規則さがなく、リズムを作りやすい面があります。

一方で、注意したい点もあります。

  • 昼夜逆転しやすい。 生活が完全に夜型になるため、体調管理の難しさがあります。
  • 家族や友人と時間が合いにくい。 日中に活動する人とのすれ違いから、孤独を感じることもあります。
  • 体力的な向き不向きがはっきりする。 夜勤が続く働き方なので、体が合わないと負担が大きくなります。

夜勤専従は、利点と負担がどちらもはっきりした働き方です。「日中の時間を大切にしたい」「効率よく稼ぎたい」という目的が明確で、体調管理に自信がある方には、選択肢のひとつになります。逆に、生活リズムを崩したくない方には、無理におすすめはしません。自分の体力と暮らし方に照らして、じっくり考えてみてください。

まとめ:夜勤との付き合い方は、あなたが選んでいい

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 介護の夜勤には2交替と3交替があり、施設タイプと体制で負担が大きく変わる。「夜勤がきついか」は、職場しだいで変わる。
  • 夜勤手当に全国一律の公的相場はない。民間調査では5,000円未満から1万円以上まで分散。深夜割増と分けて、確認リストで中身を見る。
  • つらさには工夫で和らぐものと、体制の問題であるものがある。「休憩が取れないのが当たり前」と、我慢し続けなくていい。
  • 夜勤との付き合い方は選べる。日勤のみで働く人は半数超。夜勤なしの通所・訪問も、夜勤専従もある。今の自分に合う形でいい。

夜勤を続けることも、夜勤の少ない職場に移ることも、夜勤なしの働き方に切り替えることも——どれもあなたの立派な選択です。大切なのは、我慢して体をすり減らすことではなく、無理なく続けられる形を見つけることです。

夜勤を続けるあなたの体は、思っている以上に力を使っています。まずは今日、しっかり体を休めてください。そのうえで、もし「別の働き方も見てみたい」と思ったら、施設タイプ別の「働き方」を比べるページから、自分に合いそうな職場を探してみるのが、次の小さな一歩になります。あなたが元気に働き続けられることが、いちばん大切です。

よくある質問

介護の夜勤手当は、1回あたりどのくらいが相場ですか?

国が夜勤1回あたりの手当額を定めているわけではなく、全国一律の公的な相場はありません。民間調査の株式会社マイナビ・マイナビ介護職『介護職白書 2024年度版』(調査時期は2024年11月7日〜12月3日)では、2交替の夜勤手当は「5,000〜5,999円」が最多の21.8%で、5,000円未満が19.8%、10,000円以上が21.5%と職場による差が大きい結果でした。また、22時から翌5時に働いた時間には、原則として通常賃金の25%以上の深夜割増が別に必要です。求人票と労働条件通知書で、1回額、対象時間、深夜割増との関係、月の回数を確認してください。

介護の夜勤は月に何回くらい入るものですか?

公的に決まった回数はなく、職場と契約内容によって大きく変わります。株式会社マイナビ・マイナビ介護職『介護職白書 2024年度版』(調査時期は2024年11月7日〜12月3日)では、2交替夜勤の回数は月4〜6回と答えた人の合計が51.5%と約半数を占める一方、回答帯として最も多かったのは「月10回以上」の19.1%でした。月に何回までなら体がもつかは人それぞれです。求人票の「月◯回程度」の記載に加えて、欠員時や繁忙期に回数が増えることがあるかも、面接で確認しておくと安心です。

介護の夜勤はやっぱりきついですか?

体の負担があるのは事実です。株式会社マイナビの『介護職白書 2024年度版』(マイナビ介護職・調査時期は2024年11月7日〜12月3日)でも、夜勤では不安やストレスが増えると思う人が68.5%にのぼり、夜勤中の不安の1位は「トラブルが起きたときの対応」の36.2%でした。ただ、きつさの感じ方は施設のタイプや体制によって大きく変わります。夜間を一人で担う「ワンオペ」の職場は負担が重く、複数人で回す職場や仮眠がしっかり取れる職場は比較的楽に感じられます。工夫で和らぐ部分と、職場を変えないと解決しない部分を分けて考えることが大切です。

夜勤なしで働ける介護の職場はありますか?

あります。日中だけ利用者さんが通う「デイサービス(通所介護)」は、原則として夜勤がありません。利用者さんの家を訪ねる「訪問介護」も、日中のシフトが中心です。夜勤の負担がつらい方や、家庭と両立したい方には、こうした通所・在宅系の働き方が向いています。入居して暮らす施設(特別養護老人ホームなど)は夜勤があるのが一般的ですが、日勤のみの募集をしている場合もあります。

夜勤専従(夜勤だけの働き方)は稼げますか?

夜勤だけをまとめて担当する「夜勤専従」は、夜勤手当が積み重なるため、勤務日数のわりに収入を確保しやすい働き方です。日中の時間を自由に使えるのも利点で、Wワークや家庭の事情と両立しやすい面があります。一方で、生活リズムが昼夜逆転しやすく、体調管理の難しさや孤独感といった負担もあります。向き不向きがはっきりする働き方なので、体力や生活スタイルと相談して選ぶとよいでしょう。

夜勤明けは何をして過ごすのがいいですか?

まずは無理に活動しようとせず、体を休めることを優先してください。帰宅後にサングラスなどで強い光を避けると、眠りに入りやすくなります。長く眠りすぎると夜眠れなくなるため、昼寝は数時間程度にとどめ、夜は普段どおりの時間に眠るとリズムが戻りやすくなります。カフェインやアルコールは睡眠の質を下げやすいので、明けの日は控えめにするのがおすすめです。

出典


本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。

運営: 株式会社街中文学