働き方

看護師と介護士の違いとは|介護職ができる医療ケアと給料の差

公開: 2026年8月3日 ・ 更新: 2026年10月19日 / 編集: 介護のしるべ編集部

内容確認: 2026年10月19日 ・ 次回確認期限: 2027年4月19日 ・ 編集部確認済み

「それは看護師さんの仕事だから」「それくらい介護でやって」。同じ利用者を支えているのに、看護師と介護士の役割の違いがあいまいで、どこまで自分がやってよいのか迷う場面はないでしょうか。看護師との給料の差に、もやもやした気持ちを抱えている人もいるかもしれません。

迷うのは、あなたの知識が足りないからではありません。介護職ができる医療的ケアの範囲は国の通知で少しずつ見直されていて、職場ごとのルールも違うからです。

この記事では、看護師と介護職の法律上の役割の違い、介護職ができる医療的ケアの線引き、職場での分担と給料の差を、法律と国の調査をもとに整理しました。同じ流れで、介護職から看護師を目指すときの道のりもお伝えします。

まず結論:看護師と介護職の違いは専門の違い

看護師と介護職の違いは、どちらが上かではなく、専門の違いです。看護師は病気やけがの人の療養と医師の診療の補助を、介護職は暮らし全体の介護を担います。最初に、押さえておきたい3つのことをお伝えします。

**1つ目は、看護師は資格がなければできない仕事で、介護は資格がなくても就ける仕事だということです。**この違いが、介護職ができる医療的ケアの範囲や給料の差のもとになっています。

**2つ目は、介護職ができる医療的ケアには、国が決めた線引きがあることです。**体温や血圧の測定は介護職もできる一方、摘便やインスリン注射は医師か看護師だけが行うと整理されました。

**3つ目は、給料の差の多くは基本給の差で、介護分野全体の賃金の低さも国の課題になっていることです。**介護の経験で看護師の受験資格が短くなることはないため、看護師を目指すなら年数と費用を比べて決めるのが現実的です。

看護師と介護職の資格と法律上の役割

看護師と介護福祉士は、もとになる法律も、法律で決められた仕事も違います。いちばん大きな違いは、看護師が資格のない人にはできない「業務独占」の資格であることです。

看護師の仕事は療養上の世話と診療の補助

看護師は、保健師助産師看護師法の第5条で、病気やけがの人の「療養上の世話」と、医師の「診療の補助」を仕事とする人と定められています。国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。

准看護師は同じ仕事を、医師や看護師の指示を受けて行う資格で、都道府県知事の免許になります。看護師も薬を与えることなどは主治医の指示がなければ行えないため、医師の指示の範囲で動く点は准看護師と共通です。

介護福祉士の仕事は心身に合わせた介護と指導

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法で、心身の状況に応じた介護と、本人や家族への介護に関する指導を仕事とする人と定められています。この介護には、条件つきでたんの吸引や経管栄養も含まれるのが特徴です。

同じ法律の第47条第2項が介護福祉士に求めているのは、医師などの保健医療サービスを提供する人を含む関係者と「連携を保つ」ことで、「看護師の指示に従う」という規定はありません。介護福祉士の資格がなくても介護の仕事には就けますが、訪問介護は介護福祉士か初任者研修などの修了者に限られます。

看護師は業務独占で介護は名称独占

看護師は、資格がなければその仕事ができない「業務独占」と、資格がなければ名乗れない「名称独占」の両方を持つ資格です。保健師助産師看護師法の第31条は、看護師でない人が看護の仕事をすることを禁じ、違反には2年以下の拘禁刑などの罰則があります。

項目看護師介護福祉士
もとになる法律保健師助産師看護師法社会福祉士及び介護福祉士法
資格の取り方国家試験と大臣の免許国家試験と登録
独占業務独占と名称独占名称独占のみ
法律上の仕事療養上の世話と診療の補助心身に応じた介護と介護の指導
主な学び方大学や3年課程など養成施設や実務3年と研修
直近の合格率88.3%70.1%

合格率は、看護師が2026年2月実施の第115回、介護福祉士が2026年1月実施の第38回の国家試験の結果です。介護福祉士は名称独占だけで、介護の仕事そのものに独占はありません。この違いが、介護職ができる医療的ケアの範囲や給料の差の土台になっています。

介護職ができる医療的ケアの線引き

介護職ができる医療的ケアは、国の通知で「原則として医行為ではない行為」と整理されたものと、研修と登録を経て行うたんの吸引などが中心です。通知にない行為は医行為かどうかを個別に判断するため、迷ったら看護師に確かめるのが基本です。

厚生労働省の通知とガイドライン、国の整理をまとめると、次のようになります。

区分主な行為条件
介護職が行える体温測定、自動血圧計での測定、パルスオキシメーター病状が安定している人
条件つきで行える飲み薬や湿布の介助、たんの吸引、経管栄養医療職の確認や研修と登録
医師か看護師だけ摘便、処方された浣腸、インスリン注射介護職は行えない

体温や血圧の測定などは介護職もできる

体温の測定、自動血圧測定器での血圧測定、パルスオキシメーターの装着などは、国の通知で「原則として医行為ではない行為」とされ、介護職が行えます。入れ歯の着脱や日常的な口腔ケア、爪や周りに異常のない人の爪切りなども同じ扱いです。

ただし、アネロイド式や水銀の血圧計での測定はできず、測った値をもとに薬を飲むかどうかを判断することもできません。病状が不安定な人など、専門的な管理が必要な場合は医行為になりえます。

国のガイドラインが、事前に示された範囲を外れた値が出たら医師や看護職員に報告するよう求めている点も、押さえておきましょう。

薬の介助は看護職の指導のもとで行う

一包化された飲み薬の内服、点眼、坐薬の挿入、軟膏の塗布や湿布の貼付などの介助も、条件がそろえば介護職が行えます。2025年12月の通知では、お薬カレンダーへの薬のセットや、飲む直前にPTPシートから薬を取り出すことなども加わりました。

条件は、入院の必要がなく容態が安定していること、副作用や量の調整のための経過観察が要らないこと、誤嚥のおそれなど専門的な配慮が要らないことの3つで、医師や看護職員が確認して本人や家族に伝えていることが前提です。

施設での服薬の介助は看護職員が行うのが望ましく、看護職員がいる場合はその指導のもとで行うべきとされています。「頼まれたからやる」のではなく、施設のマニュアルと看護師の確認を経た範囲で行うことが、自分を守ることにもつながるはずです。

たんの吸引と経管栄養は研修と登録が条件

たんの吸引と経管栄養の5つの行為は、研修を受け、都道府県に登録した事業所で働く介護職だけが行えます。介護福祉士は実地研修を終えて登録証に登録した行為を、それ以外の介護職は喀痰吸引等研修を修了して都道府県の認定を受けた行為を担当する仕組みです。

事業所の登録には、医師の文書による指示や、看護職員との連携・役割分担が要件として入っています。病院や診療所はこの仕組みの対象外で、研修の内容は喀痰吸引等研修とはの記事でまとめています。

摘便やインスリン注射は医師か看護師だけ

厚生労働省は、介護現場で看護師などが行っている次の7つの行為について、「医師又は看護師でなければ実施できない行為」として整理するとの結論を示しました。この結論は、2026年7月21日に閣議決定された規制改革実施計画にも記載されています。

  • 目視で便が確認できる場合の摘便
  • 処方されたグリセリン浣腸
  • インスリン注射
  • 在宅酸素の機械のオン・オフや流量の変更
  • 在宅酸素から酸素ボンベへの切り替え
  • 経管栄養のチューブからの薬の注入
  • 真皮を超えない褥瘡の処置

市販の使い捨てグリセリン浣腸は介護職も使える一方で、処方された浣腸はできないなど、似た行為でも線が引かれている点に注意が必要です。在宅酸素も、着ける前に医師の指示どおりの流量に合わせる準備や片付けなら、介護職が行えます。

7つの行為は、准看護師も医師や看護師の指示を受けて行えますが、介護職は行えません。頼まれたら、引き受けずに看護師へつなぐのが正しい対応になります。

介護施設での看護師との役割分担

介護施設での看護師との分担は、施設の種類によって大きく変わります。厚生労働省の2016年度の調査研究事業で答えた特養1,502か所では、9割で看護職員の夜勤・当直がなく、夜は介護職だけで看護師に電話で相談する体制が多数でした。

施設ごとに違う看護職員の人数

看護職員の配置の基準は、施設の種類ごとに国の運営基準で決まっています。介護職員との人数の比は、厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査(2024年10月1日時点)の人数(非常勤を含む実人員)をもとにした目安で、基準のほうは常勤換算で決まっています。

施設看護職員の基準介護職員と看護職員の比
特養入所者30人以下で1人以上など約6.8対1
老健看護と介護の職員の7分の2程度約2.6対1
特定施設利用者30人以下で1人以上など約4.8対1
デイサービス単位ごとに1人以上を確保約3.3対1
グループホーム配置の決まりなし—

特定施設は、介護付き有料老人ホームなどのことです。特養では介護職員が看護職員の約7倍いて、暮らしの大半を介護職が支える一方、老健は医療寄りの体制になっています。

夜間は介護職だけでオンコールが多い

夜勤をする職員の最低基準では、特養も老健も、夜勤者が看護職員である必要はありません。厚生労働省の2016年度の調査研究事業で1,502か所の特養が答えた結果では、90.0%が「原則、看護職員の夜勤・当直はない」とし、そのうち93.0%が夜間はオンコール体制をとっていました。

オンコールとは、看護師が自宅などで待機し、電話で相談を受けて必要なら駆けつける体制のことです。国は、看護職員を手厚く置き、施設や外部の看護職員と24時間連絡できる体制を整えた特養を、看護体制加算(Ⅱ)という報酬で評価しています。

看護師に報告する基準を先に決めておく

夜間に看護師へ電話してよいか迷う場面は、報告の基準を事前に決めておくと減らせます。国の「原則として医行為ではない行為に関するガイドライン」が紹介するのは、利用者が発熱したときに看護師へ報告する数値の基準を先に定めて、連携している事業所の例です。

職場で次のような点を看護師と話し合っておくと、迷う時間が短くなります。

  • 何度の発熱で看護師に連絡するか
  • 夜間の連絡先と連絡する順番
  • 救急車を呼ぶ判断を誰がするか
  • 連絡したあとの記録の残し方

同じガイドラインは、介護職がいつでも医療職に相談できる環境づくりも求めています。訪問先で写真をタブレットで送り、看護師とその場で相談している例もあり、言葉だけでは伝えにくい変化を共有する工夫として参考になるでしょう。

上下ではなく専門の違いで連携する

「看護師のほうが上」と感じる場面があっても、法律上の上下関係はありません。看護師は療養上の世話と診療の補助、介護福祉士は心身に応じた介護と指導と、それぞれの専門が別の法律で定められているからです。

医療の判断が必要な場面では看護職が起点になる一方、特養では介護職員が看護職員の約7倍いて、毎日の暮らしの変化に気づきやすいのは介護職でしょう。国の審議会も、介護福祉士に現場のケアの中核的な役割を求めています。

日本看護協会も、介護施設の看護職員を「医療と介護をつなぐ」役割と位置づけているところです。気づいたことを具体的な事実で伝え、医療の判断は看護師に委ねるという分担が、利用者にとっても自分にとっても安全な連携につながります。

看護師と介護職の給料の違いと理由

介護事業所で働く看護職員の平均給与は、介護職員より月4.6万円ほど高くなっています。差の多くは基本給の差で、介護分野全体の賃金の低さも国が課題として挙げているところです。

介護事業所の看護職員は月4.6万円高い

厚生労働省が2024年10月に全国の介護施設・事業所8,180か所から回答を得た令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、2024年9月の平均給与額は看護職員が38万4,620円、介護職員が33万8,200円でした。

職種平均給与額基本給手当平均年齢
看護職員384,620円241,680円85,260円51.8歳
介護職員338,200円192,660円97,980円45.7歳

平均給与額は、基本給と手当に一時金の月割りを足した額で、処遇改善加算を取っている事業所の月給制・常勤の職員が対象です。同じ調査で2023年9月の給与と比べると差は4,600円縮まりましたが、看護職員のほうが平均年齢が6歳ほど高い点も、この差に含まれていることに注意が必要です。

差の多くは基本給で手当は介護職が多い

差の中身を見ると、基本給は看護職員が4万9,020円高い一方で、手当は介護職員のほうが1万2,720円多くなっています。基本給の差の背景として考えられるのは、看護職員(看護師・准看護師)が業務独占の資格で、2〜4年の養成を経ていることです。

手当が多い理由までは調査で示されていないため、自分の給料明細で夜勤手当や処遇改善の手当がどう入っているかを確かめると、差の中身が見えてきます。明細の読み方は介護職の手取りと給料明細の見方でまとめているので、あわせて確かめてみてください。

介護分野の賃金そのものが低いという課題

差の背景には、介護分野全体の賃金の低さもあります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、2025年の介護職員の賞与込み給与は月31.4万円で、役職者を除く全産業平均の39.6万円より8.2万円低い結果でした。

厚生労働省が同じ調査の2024年の数字を介護の分野だけで特別に集計した結果では、介護の事業所で働く看護師も、看護師全体より月6万円ほど低くなっていました。看護師か介護職かの差だけでなく、介護分野の賃金そのものが低いことが分かります。

国は2026年6月から処遇改善加算を拡充し、介護職員は定期昇給を含めて最大で月1.9万円の賃上げを見込んでいます。加算率を計算する対象が介護職員から介護従事者全体に広がり、看護職員にも配分しやすくなったため、看護職員との差がこの先どう動くかは、職場ごとの配分しだいです。くわしくは処遇改善加算とはで整理しています。

介護職から看護師を目指すときの道のり

介護職から看護師を目指す場合、介護の経験で受験資格が短くなることはなく、准看護師か看護師の養成校で学び直す必要があります。年数と費用、家庭との両立を並べて考えるのが現実的です。

介護の経験で受験資格は短くならない

看護師の国家試験を受けるには、大学や3年以上の養成校を卒業するか、准看護師になってから2年課程を修了する必要があります。保健師助産師看護師法の受験資格には、介護の資格や実務経験で期間を短くする規定はありません。

2026年2月に実施された第115回看護師国家試験では、新卒の合格率が94.1%だったのに対し、既卒はおよそ3割にとどまりました。学び直すなら、卒業する年に合格できるだけの学習時間を確保できるかも、大切な判断材料になります。

准看護師から看護師になるルート

働きながら看護師を目指すときの選択肢のひとつが、准看護師を経るルートです。准看護師は2年の養成を受けて都道府県の試験に合格すると免許を得られ、その後に2年課程へ進むと看護師の受験資格を得られます。

2年課程に入るには、准看護師として3年以上働くか、高校を卒業していることが条件です。通信制の2年課程は、2026年4月から准看護師としての就業5年以上が入学の条件になり、以前の7年から短くなりました。

学費は教育訓練給付で一部戻る

看護師や准看護師の養成課程には、雇用保険の「専門実践教育訓練」の対象になっているものがあります。条件を満たせば受講費用の50%、資格を取って就職すると70%、2024年10月以降に始まる講座で賃金が5%以上上がると80%まで給付され、年間の上限はそれぞれ40万円・56万円・64万円です。

対象の講座かどうかは厚生労働省の検索システムで、受け取れる条件はハローワークで確認できます。介護福祉士の養成講座も対象になりうるため、看護師を目指すか介護福祉士として深めるかを、同じ物差しで比べられるはずです。

まとめ:違いを知ると看護師と対等に連携できる

看護師と介護職の違いは、上下ではなく専門の違いです。看護師は療養と診療の補助を担う業務独占の資格で、介護職は暮らし全体を支える専門職として、国が決めた線引きの範囲で医療的ケアにも関わります。

まずは、職場で看護師に報告する基準と、介護職が行ってよいケアの範囲を確かめてみてください。看護師を目指すか介護で深めるかは、年数と費用、家庭との両立を並べたうえで、自分のペースで決めれば十分です。迷ったときは、職場の看護師や上司に、今の分担の考え方を聞いてみるのも一歩になります。

よくある質問

看護師にできて介護職にできないことは?

診療の補助にあたる医療行為の多くは、看護師にはできて介護職にはできません。規制改革実施計画(2026年7月閣議決定)に記載された国の整理では、目視で便が確認できる場合の摘便、処方された浣腸、インスリン注射、在宅酸素の機械のオン・オフや流量の変更、酸素ボンベへの切り替え、経管栄養のチューブからの薬の注入、真皮を超えない褥瘡の処置などが、医師か看護師でなければできない行為とされました。

介護職は利用者に薬を渡してもいいですか?

一包化された飲み薬を飲む介助などは、容態が安定しているなどの条件を医師や看護職員が確認していれば、介護職も行えます。施設では看護職員が行うのが望ましく、看護職員がいる場合はその指導のもとで行うのが基本です。測った値をもとに薬を飲むかどうかを判断することはできません。

看護師が介護職として働くことはできますか?

可能です。看護師などの資格がある人は、介護職員初任者研修を修了した人と同じ扱いで、訪問介護員として働くこともできます。ただし訪問介護員として雇われた場合に担うのは介護の仕事で、看護の仕事ではないと国の通知で整理されています。

看護師が介護福祉士を取るには?

看護師として介護施設で働いた期間は、介護福祉士の受験に必要な実務経験に数えられません。介護職員など介護を主な仕事とする職種で、在職1,095日以上かつ実際に働いた日540日以上を満たして実務者研修を修了するか、養成施設を卒業する必要があります。

准看護師と看護師の違いは何ですか?

看護師は国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受ける国家資格で、准看護師は都道府県の試験に合格して知事の免許を受ける資格です。仕事の内容は同じですが、准看護師は医師や看護師の指示を受けて働くと法律で定められています。准看護師は2年、看護師は大学や3年課程などで学びます。

出典


本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。

運営: 株式会社街中文学