働き方
介護施設の種類別に働き方を比べる|特養・老健からデイ・訪問まで8種別の夜勤・給料・選び方
特養の重介護で体がもたない気がする。老健は回転が速いと聞く。デイは夜勤がないぶん給料が下がる。訪問は一人が不安——。種別を変えようかと考え始めると、断片的な情報ばかりが飛び交って、かえって決められなくなります。初めての職場選びで、特養・老健・グループホーム・サ高住と並ぶ求人を前に、そもそも何が違うのかから調べている人もいるはずです。
最初にお伝えしたいことがあります。**いまの職場で消耗しているのは、介護職に向いていないからでも、頑張りが足りないからでもありません。**同じ「介護職」の求人でも、種別が違えば、夜勤の組み方も、体の使い方も、給料の構造も、ほとんど別の仕事です。そしてその違いは、あなたの適性ではなく、制度の目的・利用者像・人員基準という「種別の設計図」で先に決まっています。設計図と自分の条件が合っていなければ、どれだけ要領よく働いても消耗します。逆に言えば、設計図から選び直すことができます。
この記事では、当サイトに個別の解説がある8種別——特養・老健・介護医療院・介護付き有料・サ高住・グループホーム・デイサービス・訪問介護——を、厚生労働省の給与データと夜勤基準、原典リンク付きの当事者の声で横断比較します。読み終えたとき、「どの種別が一番いいか」ではなく、「自分の優先軸なら、まずどの2〜3種別を検討するか」に自分で答えが出せるようになる。それがこの記事のゴールです。
まず結論:種別選びは「いい職場探し」の前の「合う構造探し」

細かい比較に入る前に、この記事の要点を3つにまとめます。
**1つ目。働き方の違いは、種別の「構造」で決まっています。**制度上の目的(生活の場か、在宅復帰か、通いか、自宅か)、利用者像、人員配置と夜勤の最低基準。この3つの設計図が違うから、同じ介護職でも夜勤の重さも体の負担も別物になります。個人の要領や適性の問題にする前に、構造の違いを知る価値があります。
**2つ目。比較は5つの軸で見れば整理できます。**夜勤、収入、体の負担と仕事の密度、医療との距離、利用者との関わり方。この記事では8種別をこの5軸で、公的データの数字と一緒に横断比較します。「どの種別が上か」というランキングは作れませんし、作りません。あるのは軸ごとの向き不向きだけです。
**3つ目。種別で決まるのは半分です。**残りの半分は、同じ種別の中の職場差(人員の上乗せ・教育・休憩や残業の運用)で決まります。だからこの記事の使い方は、「種別を1つに決める」ことではなく、「優先軸で2〜3種別に絞り、個別記事と見学で確かめる」ことです。絞り込みのためのマトリクスを後半に用意しました。
なぜ種別で働き方がこれほど違うのか

「介護の仕事はどこも同じようにきつい」という言い方は、半分しか合っていません。種別ごとの働き方の違いは気分や社風の話ではなく、制度の設計から順番に説明できます。理由は3つです。
**理由1:制度上の目的が違うから、1日の仕事の中心が違います。**特養は原則要介護3以上の人が暮らす「生活の場」で、身体介護と看取りが仕事の軸になります。老健は在宅復帰を目的にした中間施設で、入所を続けるかの検討が3か月ごとに行われるため、入退所の回転と多職種連携が日常です。介護医療院は長期の医療と生活を一体で支える療養の場。介護付き有料やサ高住は「住まい」が出発点で、グループホームは認知症の人が5〜9人のユニットで共同生活する場。デイは日帰りで送迎・入浴・レクが凝縮され、訪問介護は利用者の自宅で一人で完結するケアです。目的が違えば、同じ「介護職員」の募集でも中身は別物になります。
**理由2:利用者像が違うから、介助の重さと医療との距離が変わります。**要介護3以上が原則の特養と、自立に近い人も入居するサ高住では、1回の介助にかかる体の負荷がまったく違います。医療的な管理が必要な人が集まる介護医療院と、認知症はあっても身体は動く人が多いグループホームでは、求められる注意の質が違います。「きつい・楽」の一言で語られがちな差の正体は、多くがこの利用者像の差です。
**理由3:人員配置と夜勤の最低基準が、種別ごとに別の決まり方をしているからです。**特養・老健・介護医療院・介護付き有料といった入所系の多くは、看護・介護職員を合わせて「入所者3人に1人以上(常勤換算)」が配置の基本線です。ただし常勤換算は在籍ベースの計算なので、早番・遅番・夜勤・休みにばらけた実際の勤務帯で「3人に1人」いるわけではありません。さらに夜勤の最低人数は国の告示(平成12年厚生省告示第29号)で種別ごとに定められており、従来型特養は入所者数の規模別に1〜4人以上、ユニット型特養は2ユニットごとに1人以上、グループホームはユニット(共同生活住居)ごとに1人以上です。グループホームの夜勤が「ワンオペ」になりやすいのは、その職場が特殊だからではなく、基準の構造がそうなっているからです。
この構造は、実際に種別をまたいで働いてきた人ほど実感しています。介護歴18年・転職7回を経て40歳でグループホームに移った介護福祉士の方は、note の記事「40歳で介護職2回目の転職」で、最初の転職先について「思っていた以上に大変で、結果として1年で退職しました」と振り返り、「スキルよりも『どこで働くか』で働きやすさが変わると感じました」と書いています(当事者の声としての紹介です)。腕を磨いても、構造が合っていなければ続かない。逆に、構造が合えば同じ自分でも働き続けられる——種別の比較は、そのための下調べです。
8種別を一覧で比べる(入所・通所・訪問)

8種別は、暮らしの場に入る「入所系」、日帰りで通ってもらう「通所系」、自宅へ出向く「訪問系」の3グループに分かれます。まず全体を1枚の表で見比べてください。種別名から、それぞれの個別解説に飛べます。
| 種別 | 制度上の性格 | 仕事の中心 | 夜勤 | 平均給与額(月給・常勤)※ |
|---|---|---|---|---|
| 特養 | 原則要介護3以上の生活の場 | 身体介護・看取り | あり(2交替が中心) | 361,860円 |
| 老健 | 在宅復帰を目指す中間施設 | 生活支援とリハ補助・多職種連携 | あり | 352,900円 |
| 介護医療院 | 長期療養と生活の一体提供 | 医療的ケアと療養生活の支援 | あり(看護と協働) | 330,030円 |
| 介護付き有料 | 特定施設の指定を受けた住まい | 身体介護と接遇 | あり | 361,000円(特定施設) |
| サ高住 | 安否確認・生活相談付きの賃貸住宅 | 生活支援中心(介護型は身体介護も) | 職場による | 単独の公表値なし |
| グループホーム | 認知症の人の少人数共同生活 | 認知症ケア・家事を含む生活支援 | あり(ユニットごと1人が基準) | 302,010円 |
| デイサービス | 日帰りの通所介護 | 送迎・入浴・レク・記録 | なし | 294,440円 |
| 訪問介護 | 自宅での身体介護・生活援助 | 一人で完結する訪問ケア | なし(夜間対応型は別サービス) | 349,740円 |
※給与欄は厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」(令和6年9月時点)による、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額です。基本給(月額)+手当+一時金(4〜9月支給額の6分の1)で、手取りでも求人票の基本給でもありません。調査対象サービス全体の平均は338,200円。「特定施設」には介護付き有料以外の指定施設も含まれます。訪問介護の数値は常勤・月給の職員に限った平均で、現場に多い時給制の登録ヘルパーは含みません。サ高住は介護保険サービスの区分ではないため単独の平均はなく、併設事業所の雇用条件によります。
この表は「どの種別が上か」を決めるためのものではありません。各区分で職員の年齢・勤続年数・資格構成も違うため、順位として読むと確実に判断を誤ります。ここからは、表の裏側にある構造を5つの軸で見ていきます。
軸1:夜勤——「あるか」ではなく「何人で・どの範囲を」で比べる

夜勤は、種別選びで最初に決めるべき軸です。デイと訪問介護は日中中心で夜勤がなく、入所系6種別は原則夜勤があります。ただし本当に比べるべきは有無ではなく、夜間に何人で、どの範囲を受け持つ構造かです。
前の章で見たとおり、夜勤の最低人数は告示で種別ごとに決まっています。同じ「夜勤あり」でも、従来型特養のように施設規模に応じて複数人が置かれる形と、ユニット型特養の「2ユニットに1人以上」、グループホームの「ユニットごとに1人以上」では、一人で背負う範囲がまるで違います。また、老健や介護医療院は夜間も看護職員と組みやすい構造ですが、老健の夜間配置は「看護職員又は介護職員」とされているため、介護職だけで回しオンコールで看護につなぐ施設もあります。基準はあくまで下限で、上乗せ配置は施設の判断です。求人票の「夜勤あり」の一行から読み取れないこの部分こそ、面接で数字で聞く価値があります。
手当の実態も幅で見ておきましょう。株式会社マイナビが運営する「マイナビ介護職」の『介護職白書 2024年度版』(調査時期:2024年11月7日〜12月3日・介護職976人が回答。転職サービスの登録会員への調査のため、転職を意識する層寄りのサンプルです)によると、2交替夜勤の手当は1回「5,000〜5,999円」が最多の21.8%ですが、「5,000円未満」が19.8%ある一方で「10,000円以上」も21.5%と大きく分散しています。同じ調査で「夜勤をしてもよい条件」の1位は「夜勤手当が高い・別途手当がある」45.4%。つまり当事者の相場感でも、夜勤は手当の単価と引き換えに引き受けるものであり、単価が安く範囲が広い夜勤は条件として見劣りする、と整理できます。
判断基準はシンプルです。夜勤を収入源として活かすなら、「手当の単価×月の回数×一人で見る範囲」をセットで比べる。夜勤自体を避けたいなら、通所系・訪問系か、入所系の日勤のみ相談可の求人に絞る。夜勤の負担と手当の考え方は介護の夜勤の実際で、体制ごとの確認項目は各種別の個別記事で詳しく整理しています。
軸2:収入——平均給与額は「順位」ではなく「構造」で読む

一覧表の給与欄をもう一度見てください。特養361,860円からデイ294,440円まで、約67,000円の開きがあります。この数字は本物ですが、「特養に行けば7万円近く上がる」と読むのは誤りです。差の構造を3つに分解します。
**第一に、差の大きな部分は夜勤手当の有無です。**上位に並ぶ特養・特定施設・老健はいずれも夜勤のある入所系で、平均給与額には夜勤手当が含まれています。夜勤のないデイとの差は、月数回の夜勤を引き受けた対価の差でもあります。夜勤なしの働き方を選ぶことは、その分の手当を収入から外す選択だと理解しておくと、期待値がずれません。
**第二に、訪問介護の349,740円は読み方に注意が要ります。**この数字は「月給・常勤」で働く人だけの平均で、訪問介護の現場に多い時給制の登録ヘルパーは含まれていません。同じ調査で訪問介護の集計対象は平均年齢49.2歳と施設系より高く、サ責などの中核人材が多く含まれる構成と考えられます。「訪問は給料が高い」と単純化せず、自分が想定する雇用形態(常勤月給か、登録型か)の条件で確かめてください。移動時間の賃金やキャンセル時の扱いという訪問特有の論点は、訪問介護で働く実際にまとめています。
**第三に、同じ種別の中の幅は、種別間の差より大きいことがあります。**同じ調査では、特養の介護職員(月給・常勤)の平均給与額は経営主体別に、地方公共団体417,780円・社会福祉法人360,690円・社会福祉協議会316,760円と、約10万円の開きがあります。地域・法人規模・処遇改善の配分方法でも変わります。種別で「傾向」を掴んだら、最後は応募先ごとに、基本給・毎月の固定手当・夜勤手当の単価・賞与の算定基礎・処遇改善分の支給方法を分けて聞く。これが数字に裏切られない唯一の方法です。給料の全体像は介護職の給料の実際、明細の読み方は手取りと給料明細の見方が使えます。
軸3〜5:体の負担・医療との距離・利用者との関わり方

残りの3軸は、数字にしにくいぶん入職後の消耗に直結する部分です。まとめて見ていきます。
**体の負担は「重さ」だけでなく「密度と継続」で比べます。**特養と介護医療院は、重い身体介護が年単位で続く負担。老健は介助の重さは中程度でも、入退所の回転が速く、利用者ごとの介助方法を短期間で覚え直し続ける負担。デイは夜勤がない代わりに、利用者がいる6〜7時間へ送迎・入浴・レク・記録が詰め込まれる時間密度の負担。訪問は1件ずつの介助に加えて、移動と「一人で完結させる」責任の負担。グループホームは介助が比較的軽めでも、調理や掃除を含む生活全体を回しながらの見守りが続きます。どれも「きつさの質」が違うだけで、楽な種別があるわけではありません。自分がどのきつさなら回復できるか、で考えるのが現実的です。
種別をまたいだ当事者の実感も紹介します。特養・老健の重介護を経てサ高住に移った介護職の方は、note の体験談で「これ私がやらなきゃいけないの?っていう業務の曖昧さが少ない気がする」「体力的にも、精神的にも、今のところ一番続けやすい職場だと正直思う」と書いています(当事者の声としての紹介で、サ高住の利用者層と業務は事業所差が大きい点に注意してください)。重介護からの住み替え先として生活支援寄りの種別を選ぶ、という動線は現場で実際に使われています。
**医療との距離は、学びたい人と距離を置きたい人で逆向きの軸になります。**医師が常勤し看護職・リハ職と日常的に組むのは老健と介護医療院で、喀痰吸引等研修など医療的ケアに踏み込む機会も得やすい環境です。特養は生活の場ですが看取りが近く、夜間は看護職のオンコールと組む構造が典型です。グループホーム・サ高住・デイは相対的に生活寄りで、医療的な判断を日常的に迫られる場面は少なめです。「医療に強くなりたい」も「医療の緊張感から離れたい」も、どちらも正当な希望です。方向だけ自分で決めてください。
**利用者との関わり方は、やりがいと消耗の両方の源泉です。**特養とグループホームは同じ人と年単位で付き合い、最期まで寄り添うことがあります。老健は在宅へ「送り出す」関わり。デイはその日ごとの関わりを大人数と。訪問は1対1を積み重ねます。深く関わる種別は喪失の痛みも深く、回転の速い種別は達成感が細切れになりがちです。同じ人の中に「この関わりが好きだ」と「この関わりに疲れた」が同居するのは自然なことで、いまのあなたがどちらに傾いているかで、合う種別は変わります。
優先軸マトリクスで、候補を2〜3種別に絞る

ここからが、この記事でいちばん持ち帰ってほしい部分です。手順は3ステップ。①いま最優先にしたい軸を1つだけ選ぶ → ②マトリクスで候補を2〜3種別に絞る → ③個別記事と公表情報・見学で職場差を確かめる。
コツは、優先軸を本当に1つに絞ることです。5軸すべてを満たす種別は存在しません。2つ目以降の希望は「あれば嬉しい」に格下げして、まず1つ目で絞ってください。
| 最優先にしたい軸 | まず検討したい種別 | あわせて確認すること |
|---|---|---|
| 夜勤なしで生活リズムを守りたい | デイ・訪問介護 | 早出遅出の時刻。記録やレク準備が時間内に終わる体制か |
| 夜勤手当で収入を底上げしたい | 特養・介護付き有料・老健 | 手当の単価と月の回数。夜間に一人で見る範囲と仮眠の実際 |
| 重い身体介護を減らしたい | サ高住・デイ | 利用者の平均要介護度。二人介助・リフトの運用と入浴の分担 |
| 医療・リハの経験を積みたい | 老健・介護医療院 | 夜間の看護体制。喀痰吸引等研修を受ける機会があるか |
| 認知症ケアを深めたい | グループホーム | ワンオペ夜勤時の応援の仕組み。ユニット数と職員の固定度 |
| 1対1のケア・直行直帰で働きたい | 訪問介護 | 移動時間の賃金とキャンセル時の扱い。同行訪問の期間 |
表の「まず検討したい種別」は入口の候補であって、答えではありません。たとえば「重い身体介護を減らしたい」でサ高住を見に行ったら、実際は要介護度の高い入居者が中心だった、ということは普通にあります。だからこそ右の列——種別の傾向を、その職場の実際で上書きする確認——までがセットです。
絞り込みの結果が2〜3種別になったら、それぞれの個別記事を読んでください。各記事には、その種別特有の確認ポイント(特養なら夜勤の受け持ち範囲と看取り、老健なら回転と記録量、デイなら送迎とレク準備、訪問なら移動時間の賃金など)を、面接でそのまま使える形でまとめてあります。
種別で決まるのは半分。最後は「その職場」を確かめる

ここまで種別の構造を比べてきて、最後に逆のことを言います。種別を正しく選んでも、職場選びの半分しか終わっていません。
前出の『介護職白書 2024年度版』(株式会社マイナビ/マイナビ介護職・調査時期:2024年11月7日〜12月3日)では、仕事のストレスの対象の1位は「上司や同僚との人間関係」59.1%で、「利用者との関係」22.7%を大きく上回ります。入職前の不安の1位も「職場の上司やメンバーとなじめるか」55.6%。人間関係や休憩・残業の運用は、種別ではなく職場ごとに決まる領域です。種別を変えても、この領域の問題はついてきますし、逆に同じ種別のまま職場を変えるだけで解決することもあります。
だから、候補の種別が絞れたら、どの種別でも共通の5点を職場単位で確認してください。
- 夜間・最少時間帯の職員数と、一人で受け持つ範囲(基準より上乗せがあるか)
- 休憩は誰と交代して取るか。取れなかった日の扱いはどうなるか
- 独り立ちまでの同行期間と、不安が残ったときに延長できるか
- 基本給・夜勤手当の単価・処遇改善分の支給方法(毎月か一時金か)
- 記録・レク準備・委員会資料を勤務時間内に終えられる体制か
面接の前には、厚生労働省の介護サービス情報公表システムで候補事業所の職員体制や夜間の人数を調べておくと、質問を具体的にできます。数字で聞いて数字で答えが返ってくるか、公表内容と食い違いがないか——そのやり取り自体が、体制を把握して隠さない職場かどうかの判断材料になります。曖昧な答えではぐらかす職場は、入職後もその調子だと考えて差し支えありません。
次の一歩:気になった種別の「実物」を1つ確かめる

種別選びを今日終わらせる必要はありません。次の一歩は、いまの状況に合わせて1つ選べば十分です。
**いまの職場がつらくて読み始めた人は、**まず自分のつらさを「構造の問題か、職場の問題か」で切り分けてみてください。夜勤・介助の重さ・仕事の密度が原因なら、該当する軸の章に戻って、負担の質が違う種別を候補にする。人間関係や休憩・残業の運用が原因なら、種別を変えるより同じ種別の別の職場を確かめるほうが早いかもしれません。つらさの整理そのものに手を貸す記事として、介護の仕事がきつい・つらいときの整理法もあります。
**種別を変えると決めかけている人は、**マトリクスで絞った2〜3種別の個別記事を読み、見学を2〜3件申し込んで、同じ質問(前の章の5点から3つで十分です)をぶつけてください。答えを並べれば、種別の傾向と職場差の両方が一度に見えます。候補探しには、施設・職場の基本情報を地域から調べるページ(求人サイトではありません)も使えます。
**これから介護の仕事を始める人は、**マトリクスで気になった種別を1つ選び、未経験・無資格から介護の仕事を始めるにはとあわせて読んでみてください。最初の種別は「一生の選択」ではありません。この記事で見てきたとおり、種別ごとに負担の質は違うので、働きながら自分に合う構造を見つけて移っていくのは、介護職としてまっとうなキャリアの積み方です。
なお、すでに眠れない・食べられないほど消耗している人は、種別の検討より先に自分を守ってください。受診と、職場の労働条件の問題であれば記録を残したうえで労働基準監督署や総合労働相談コーナー(無料)への相談が先です。
同じ介護職でも、種別が違えば仕事は別物——それは、いまの場所で消耗しているあなたに、まだ試していない選択肢が残っているという意味でもあります。構造を知って、軸を1つ決めて、実物を確かめる。その順番で選んだ答えなら、「移る」も「とどまる」も、どちらも前向きな判断です。
よくある質問
介護職が働く職場には、どんな種類がありますか?
大きく分けて、入所系(特養・老健・介護医療院・介護付き有料老人ホーム・サ高住・グループホーム)、通所系(デイサービスなど)、訪問系(訪問介護など)の3グループです。同じ介護職でも、種別によって夜勤の有無と体制、身体介護の比重、医療との距離、利用者との関わり方が大きく違います。求人を選ぶときは、施設名や月給の額面より先に「どの種別か」を確認すると、入職後のずれを減らせます。
給料が高い施設種別はどれですか?
公的調査の平均では特養が最も高い水準です。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」によると、処遇改善加算を取得する事業所の介護職員(月給・常勤)の平均給与額は、特養361,860円・特定施設(介護付き有料を含む)361,000円・老健352,900円・訪問介護349,740円・介護医療院330,030円・グループホーム302,010円・通所介護294,440円です(令和6年9月時点。基本給+手当+一時金の6分の1を含む額面)。差の主因のひとつは夜勤手当の有無で、同じ種別でも経営主体や地域による幅が大きいため、順位ではなく応募先ごとの内訳で確認してください。
夜勤がない施設種別はありますか?
あります。デイサービスなどの通所系と訪問介護は日中中心の働き方が基本で、夜勤はありません(お泊まりデイの宿直や、夜間対応型の事業を併設する職場は例外です)。入所系は原則夜勤がありますが、体制の最低基準は種別で構造が違い、たとえばユニット型特養は2ユニットごとに1人以上、グループホームはユニット(共同生活住居)ごとに1人以上と国の告示で定められているため、夜間に一人で受け持つ範囲が種別によって変わります(平成12年厚生省告示第29号)。
未経験から始めるなら、どの施設種別がよいですか?
「未経験ならこの種別」という決まった正解はありません。日中に複数の職員と動きながら覚えられる職場は独り立ちまでの不安が小さくなりやすい傾向はありますが、同じ種別でも教育体制の差が大きいためです。種別で迷い続けるより、面接で同行勤務の期間、夜勤に一人で入るまでの流れ、独り立ち後に相談できる相手が決まっているかを確認するほうが、入職後の安心につながります。
体力に不安があります。身体介護が軽めの種別はありますか?
傾向としては、自立度の高い入居者が中心になりやすいサ高住や、日帰りの通所系は、特養・介護医療院に比べて重い身体介護の比重が下がりやすいといえます。ただし利用者層は事業所ごとに違い、サ高住でも要介護度の高い入居者が多い職場はあります。種別の傾向は入口の目安にとどめ、応募先の利用者の平均要介護度、二人介助やリフトの運用、入浴介助の分担を確認してください。
いまの職場がつらいのは種別のせいでしょうか。種別を変えれば解決しますか?
切り分けが必要です。夜勤の負担、重い身体介護の継続、仕事の密度のように種別の構造からくるつらさは、種別を変えると軽くなる可能性があります。一方、人間関係や休憩が取れない運用のような職場ごとの問題は、同じ種別の別の職場でも改善し得ますし、種別を変えても再発し得ます。調査では介護職のストレスの対象の1位は上司や同僚との人間関係です。まず「構造の問題か、職場の問題か」を分けてから変える対象を決めるのが、遠回りに見えて確実です。
出典
- 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」 (2025年公表(令和6年9月時点))
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」(平成12年厚生省告示第29号) (2026年7月確認)
- WAM NET「介護サービスの解説(サービス一覧)」 (2026年7月確認)
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」 (2026年7月確認)
- 株式会社マイナビ/マイナビ介護職「介護職白書 2024年度版」(調査時期:2024年11月7日〜12月3日) (2025年)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。
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