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成年後見制度とは|認知症の親のお金・契約を守るしくみをやさしく解説
親の物忘れが進んできたある日、銀行の窓口で「ご本人でないと引き出せません」と言われて、はっとした――。そんな経験をされたご家族は、少なくありません。今まで当たり前にできていた預金の引き出しや、施設の契約、保険の手続き。そのどれもが、本人の判断力が下がったとたん、家族であっても勝手には進められなくなります。目の前に親のお金があるのに手をつけられず、施設からは契約を急かされ、「いったいどうすればいいのか」と途方に暮れる。まさに今、そんな状況に置かれているのかもしれません。
このもどかしさの背景には、大事な考え方があります。それは、たとえ親子でも、本人のお金や契約は本人のものという原則です。だからこそ、判断力が下がった本人に代わって、家族などが正式にお金を管理したり契約したりするには、法律にもとづいた「手続き」が必要になります。その手続きの中心にあるのが、これからお話しする「成年後見制度(せいねんこうけんせいど)」です。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、むずかしく身構える必要はありません。この記事では、法律の知識がまったくない方に向けて、この制度がどういうものか、何ができて何ができないのか、お金はどれくらいかかるのか、そして注意すべき点は何かを、一つずつかみくだいて説明していきます。読み終えるころには、「まず誰に相談すればいいか」まで、道筋が見えているはずです。
なお、はじめにひとつだけお断りしておきます。この記事はあくまで一般的なしくみの説明です。実際に利用するかどうかや、個別の手続きの判断は、家庭裁判所や、司法書士・弁護士・社会福祉協議会・地域包括支援センターといった専門の窓口に相談して決めてください。法律にかかわることは、一人ひとりの事情で答えが変わるからです。
そもそも「成年後見制度」とは何をする制度か

まず結論からお伝えします。成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などで判断力が十分でなくなった人に代わって、お金の管理や契約ごとを、法律にもとづいて支える人をつける制度です。この「支える人」を、後見人(こうけんにん)などと呼びます。
ここで、いちばん大切なことを一つ。この制度は、本人を守るためのものだということです。家族が親のお金を自由に使えるようにする制度ではありません。むしろ逆で、判断力が下がった本人が、悪質な訪問販売にだまされて高額な契約をさせられたり、財産を勝手に減らされたりするのを防ぎ、本人の暮らしと権利を守ることを目的にしています。法務省も、この制度を「判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度」と説明しています(法務省「成年後見制度について」2024年時点)。
なぜ、わざわざこうした制度が必要なのでしょうか。判断力が下がると、次のような困りごとが起きやすくなるからです。
- 銀行が本人確認をできず、預金を下ろせなくなる(本人の財産を守るため、金融機関はしばしば口座の取引を止めます)
- 施設への入居や介護サービスの契約が結べない(契約は「内容を理解して同意する力」が前提だからです)
- 不動産の売却や、相続の手続きなど、大きな財産の動きが止まってしまう
- 判断力の弱さにつけこんだ悪質な契約の被害に遭いやすくなる
こうした「本人が自分では守りきれない場面」で、代わりに正式に動ける人を用意する。それが後見人の役割であり、この制度の出発点です。イメージとしては、本人の暮らしとお金に、法律という後ろ盾をつけて見守り役を置く、と考えると分かりやすいかもしれません。
2つの入り口 ― 「法定後見」と「任意後見」

成年後見制度には、大きく分けて2つの種類があります。すでに判断力が下がってから使うものと、まだ元気なうちに将来へ備えて使うものです。どちらの入り口に立っているかで、進み方がまるで変わります。
すでに判断力が下がっている場合 ―「法定後見」
親の認知症が進んでしまい、「もう自分ではお金の管理がむずかしい」という状態になってから使うのが、**法定後見(ほうていこうけん)**です。おそらく、この記事を読んでいる多くの方に関係するのは、こちらでしょう。
法定後見の特徴は、後見人などを選ぶのが、家族ではなく家庭裁判所だという点です。家族が「私がやります」と申し出ても、最終的に誰を選ぶかを決めるのは裁判所です(この点はのちほど詳しくお話しします)。
そして法定後見には、本人の判断力の程度に応じて、3つの型(類型)があります。
- 後見(こうけん)… 判断力がほとんど失われている状態。支える人は「成年後見人」と呼ばれ、支援の範囲がいちばん広くなります。
- 保佐(ほさ)… 判断力が著しく不十分な状態。支える人は「保佐人」。大きな契約など、重要な場面を中心に支えます。
- 補助(ほじょ)… 判断力が不十分だが、ある程度は自分でできる状態。支える人は「補助人」。本人が望んだ範囲にしぼって支えます。
なぜ3つに分かれているかというと、判断力の下がり具合は人それぞれで、必要な支えの大きさもちがうからです。ひとくくりにして全員に同じ強さの支援をつけると、まだ自分でできることまで取り上げてしまい、かえって本人のためになりません。本人にできることは本人に残しつつ、足りない部分だけを補う。そういう考え方から、段階が用意されています。どの型になるかは、医師の診断などをもとに家庭裁判所が判断します。
まだ判断力があるうちに備える場合 ―「任意後見」
もう一つが、**任意後見(にんいこうけん)**です。これは、本人がまだしっかり判断できるうちに、「将来もし判断力が下がったら、この人に支えてもらいたい」と、あらかじめ自分で相手を決めて契約しておくしくみです。
法定後見との一番のちがいは、支える人を自分で選べることです。「長男に頼みたい」「信頼している司法書士さんにお願いしたい」といった希望を、元気なうちに形にしておけます。この約束は、公証役場(こうしょうやくば。公的な文書を作る役所です)で正式な契約書を作って結びます。そして実際に判断力が下がったときに、家庭裁判所が「任意後見監督人」という見張り役をつけて、契約の効力がスタートします。
つまり、ざっくり整理すると――すでに困っている今の状況を何とかしたいなら「法定後見」、親がまだ元気で先々に備えたいなら「任意後見」、という覚え方でよいでしょう。この記事を読んでいる方の親御さんが、すでに判断力が下がっているのであれば、検討の中心は法定後見になります。
後見人にできること・できないこと ― ここを誤解しやすい

後見人という言葉を聞くと、「じゃあ、親のことは何でも代わりにやってもらえるんだ」と思われがちです。でも、ここに大きな落とし穴があります。後見人の役割には、はっきりした範囲があり、なんでもできるわけではないのです。ここを知らないと、後で「え、それはできないの?」と戸惑うことになります。
まず、後見人ができること。中心になるのは、お金と契約にかかわることです。
- 財産の管理(預貯金の出し入れ、通帳や印鑑の管理、収入・支出の把握など)
- 契約の代理(本人に代わって施設の入居契約や介護サービスの契約を結ぶ、など)
- 不利な契約の取消し(本人が判断力の弱さから結んでしまった契約を、後から取り消せる場合があります。悪質商法への備えです)
一方で、後見人が原則としてできないこととして、よく挙げられるのが次の点です。ここは特に誤解が多いところなので、しっかり押さえておきましょう。
- 医療への同意(医療同意) … 手術を受けるか、延命治療をどうするか、といった医療上の重い判断に、後見人が本人に代わって同意する権限は、後見人の職務には含まれないと一般に説明されています。
- 身元保証人になること … 施設や病院が求める「身元保証人」「身元引受人」の役割は、後見人の権限とは別のものと考えられています。後見人だからといって自動的に保証人になるわけではありません。
- 日常の細かな世話 … 実際に食事を作る、着替えを手伝う、買い物に付き添うといった、日々の身の回りの介助そのものは、後見人の仕事ではありません。後見人が手配や契約を整え、実際のケアは介護のサービスが担う、という役割分担です。
- 本人が亡くなった後の手続き全般 … 後見の役目は本人が亡くなると原則終わります。葬儀や遺産分けなどは、また別の手続きになります。
なぜ、こうした線引きがあるのでしょうか。それは、後見制度が「本人の財産と権利を守る」ことに軸足を置いているからです。医療同意のように、本人の体や命そのものにかかわる重い判断は、財産管理の延長では扱いきれない、という考え方に立っています。ここは制度の理解が分かれやすく、実際の場面での対応も個別性が高い部分です。「うちの場合はどうなるのか」という点は、必ず家庭裁判所や専門家に確かめてください。
手続きは、どんな流れで進むのか(法定後見の場合)

では、実際に法定後見を使うとなったら、どんな順番で進むのでしょうか。おおまかな流れをつかんでおきましょう。細かな書類や条件は各地の家庭裁判所や市区町村で確認するとして、ここでは全体像を示します。
大きくは、次の3つのステップで進みます。
- 家庭裁判所に「申立て」をする … 「この人に後見人などをつけてください」と、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し込みます。申立てができるのは、本人・配偶者・親族(一定の範囲)などと決められています。申立てのときには、本人の状態が分かる医師の診断書や、財産の状況をまとめた書類などが必要になります。
- 家庭裁判所による調査・面談、必要なら鑑定 … 裁判所の担当者が事情を確かめ、本人や申立てをした人と面談したりします。本人の判断力の程度をより慎重に見きわめる必要がある場合には、医師による「鑑定(かんてい)」(あらためて判断力を医学的に調べること)が行われることもあります。ただし、鑑定はすべての事案で必要になるわけではありません。
- 後見人などの選任 … 調査の結果をふまえ、家庭裁判所が誰を後見人などにするかを決めます(これを「選任」といいます)。ここで正式に後見人が決まり、はじめて後見人として動けるようになります。
多くの方が気になるのが、**「後見人には誰が選ばれるのか」**という点でしょう。ここは大事なので、はっきりさせておきます。
後見人を選ぶのは、あくまで家庭裁判所です。申立てのときに「家族のこの人を候補にしたい」と希望を伝えることはできますが、希望どおりに家族が選ばれるとは限りません。事情によっては、司法書士や弁護士、社会福祉士といった専門職が後見人に選ばれることもあります。財産が多い、親族の間で意見が分かれている、といった場合には、公平さや専門性の観点から専門職が選ばれやすい傾向がある、と説明されています。近年は専門職が選ばれる割合が高くなっているとも言われます。
これは「家族が信用されていない」という話ではなく、本人の財産を安全に守るための配慮です。ただ、誰が選ばれるかで、次にお話しする費用が変わってきます。ここを知らずに申立てをすると、想定外の負担に驚くことがあるので、あらかじめ理解しておきましょう。
費用のめやす ― 申立てのときと、その後で分けて考える

お金の話は、多くのご家族がいちばん心配される点だと思います。ここでは費用を「はじめにかかるもの」と「その後ずっとかかるもの」の2つに分けて考えると、すっきり整理できます。ただし、これから挙げる金額はすべて**「めやす」**であり、実際の額は事案によって変わります。正確なところは家庭裁判所や専門家に必ず確認してください。
まず、**はじめにかかる費用(申立てのときの費用)**です。
- 申立ての手数料や必要書類の実費 … 収入印紙代・郵便切手代・戸籍などの取り寄せ費用などで、合わせて数千円程度からが一つのめやすとされます。
- 医師の診断書などの費用 … 診断書を書いてもらう費用がかかります。医療機関によって異なります。
- 鑑定が必要になった場合の費用 … 前に触れた「鑑定」が行われる場合には、その費用が別途かかります。鑑定はすべての事案で行われるわけではなく、行われる場合の金額もケースによります。
次に、その後ずっとかかる可能性がある費用です。これがとても重要です。
- 専門職が後見人になった場合の報酬 … 司法書士や弁護士などの専門職が後見人になると、その働きに対して報酬が発生します。この報酬は、家庭裁判所が本人の財産の額や後見の内容をふまえて決め、多くの場合、月額のかたちで本人の財産から支払われます。金額は事案ごとに家庭裁判所が判断するため一律ではなく、財産が多いほど高くなる傾向があるとされます。
ここで押さえておきたいのは、家族が後見人になった場合は、報酬を受け取らないことも選べるという点です。つまり、家族が務めれば、この月々の報酬の負担は生じないことがあります。ただし前にお話ししたとおり、誰が後見人になるかを決めるのは家庭裁判所であって、必ずしも家族が選ばれるとは限りません。「報酬を抑えたいから家族でやりたい」という希望が通るかどうかも含め、申立ての前に窓口で相談しておくと安心です。
いずれにしても、費用は「一度きり」で終わらず、専門職がつけば続いていく性質のものです。この点を、次の注意点のところでもう少し掘り下げます。
始める前に知っておきたい、注意点

成年後見制度は、困っているご家族にとって大きな助けになる一方で、「思っていたのとちがった」という声が出やすい面もあります。後悔しないために、始める前に知っておきたい注意点を、正直にお伝えします。
一つめ。原則として、途中でやめられません。 一度後見が始まると、本人の判断力が回復するなどの特別な事情がない限り、本人が亡くなるまで続くのが基本です。「施設の契約さえ済めば終わり」「預金を下ろす手続きだけできればいい」というつもりで始めても、その一つの用事が終わったからといって、やめられるわけではないのです。財産管理はずっと続きます。ここは、始める前にいちばん理解しておきたい点です。
二つめ。お金は「本人のため」にしか使えません。 後見人が管理するのは、あくまで本人の財産です。たとえ家族であっても、後見人が本人のお金を、家族のために使ったり、自分の判断で親族に贈与したりすることは、原則としてできません。「これまで親の口座から家族の生活費もまかなっていた」といった場合、後見が始まると、そうしたやりくりがしにくくなることがあります。良かれと思ってのことでも、本人の財産を守るルールが優先されるのです。
三つめ。専門職後見人だと、報酬の負担が続きます。 費用のところでお話ししたとおり、専門職が後見人になれば、月々の報酬が本人の財産から支払われ続けます。本人が長生きするほど、その総額は積み上がっていきます。これ自体は専門家が責任をもって財産を守る対価ですが、家計への影響として、頭に入れておく必要があります。
こうして並べると不安になるかもしれませんが、これらは「制度が悪い」という話ではありません。本人の財産を、家族の都合からもしっかり切り離して守るという、この制度の性格の裏返しです。だからこそ、「わが家にとって、本当に今この制度が必要か」を、始める前によく考えることが大切なのです。
そのうえで、知っておいてほしい別の選択肢があります。もし困っていることが「毎月の年金の管理」「公共料金の支払い」「福祉サービスの利用手続き」といった、日常のお金の管理レベルのことであれば、成年後見制度まで使わなくても済む場合があります。その受け皿になるのが、社会福祉協議会(しゃかいふくしきょうぎかい。地域の福祉を支える公的な団体です)が行う**「日常生活自立支援事業」**です。これは、判断力に不安のある方の日常的なお金の管理や、福祉サービスの利用を手伝ってくれるしくみで、比較的軽い負担で使えるのが特徴です。
大きな財産の売却や、重い契約の代理までは要らず、「日々のお金の出し入れを見守ってほしい」という段階なら、まずこちらが合うこともあります。どちらが今の状況に向いているかは、次にご紹介する相談窓口で聞いてみるのが確実です。
どこに相談すればいいか ― まず頼れる窓口

ここまで読んで、「大事なことは分かったけれど、実際にどこへ行けばいいの?」と感じているかもしれません。安心してください。この制度は、家族だけで抱え込むものではなく、相談に乗ってくれる公的な窓口がいくつも用意されています。最後に、その頼り先を整理しておきます。
- 地域包括支援センター … お住まいの地域にある、高齢者の介護や生活の相談を無料で受けてくれる公的な窓口です。「親の判断力が下がって、お金の管理に困っている」という段階から相談できます。成年後見制度が向いているのか、日常生活自立支援事業のほうがよいのか、といった入り口の整理を手伝ってくれます。まずここに電話するのが、いちばん取りかかりやすい一歩です。
- 社会福祉協議会 … 各市区町村にある福祉の団体です。前にお話しした「日常生活自立支援事業」の窓口であり、成年後見についての相談を受けているところも多くあります。
- 成年後見の中核となる相談機関 … 国は制度を使いやすくするため、地域ごとに相談の中心となる窓口(中核機関などと呼ばれます)を整えることを進めています(厚生労働省「成年後見制度の利用促進」2024年時点)。地域によって名称や窓口は異なるため、お住まいの市区町村に「成年後見の相談はどこでできますか」と尋ねてみてください。
- 家庭裁判所 … 法定後見の申立てをする先です。手続きの書類や進め方について、案内を用意しているところが多くあります。実際の申立てを考える段階になったら、管轄の家庭裁判所に確認します。
- 司法書士会・弁護士会 … 法律の専門家の団体です。手続きの代行や、専門職後見人としての就任を相談できます。費用が心配な場合は、無料相談の機会を設けていることもあるので、聞いてみるとよいでしょう。
大切なのは、「どこが正解の窓口か」を最初から完璧に見きわめようとしないことです。判断力の低下したご家族のお金の問題は、内容がこみ入っていて、素人が一人で最適な道を選ぶのは簡単ではありません。まずは地域包括支援センターや社会福祉協議会といった身近な窓口に、今の困りごとをそのまま話してみてください。そこから、あなたの家庭に合った次の一歩を、一緒に考えてくれます。
親のお金や契約を守ることは、財産の話であると同時に、これまで自分を育ててくれた人の暮らしと尊厳を守ることでもあります。制度の名前や手続きに気後れする必要はありません。分からないことを分かる人に聞きながら、一つずつ進めていけば大丈夫です。今日いちばんに動くとすれば、それは難しい書類を集めることではなく、地域包括支援センターの電話番号を調べて、「親のお金のことで困っています」と話してみること。その一本の電話が、こんがらがった状況をほどく、たしかな糸口になります。
よくある質問
成年後見制度とは、ひとことで言うとどんな制度ですか?
認知症・知的障害・精神障害などで判断力が十分でなくなった人に代わって、財産の管理や契約を法的に支える人(後見人など)をつける制度です。本人が不利な契約をさせられたり、財産を減らされたりするのを防ぎ、本人の暮らしと権利を守ることを目的にしています。もうけるための制度ではなく、あくまで本人を守るためのしくみです。
親の判断力が下がってからでも使えますか?
使えます。すでに判断力が低下している場合は「法定後見」を利用します。家庭裁判所に申立てをすると、本人の状態に応じて後見人などが選ばれます。判断力の程度によって「後見・保佐・補助」の3つに分かれます。まだ判断力があるうちに将来へ備えたい場合は、自分で相手を決めて契約しておく「任意後見」という別の方法があります。
後見人になると、親の医療や入院の同意もできますか?
原則としてできません。後見人ができるのは財産の管理や契約の代理などで、手術や延命治療といった医療への同意(医療同意)や、施設・病院の身元保証人になることは、後見人の権限には含まれないと一般に説明されています。ここは誤解の多いところなので、具体的な場面での対応は家庭裁判所や専門家に確認してください。
後見人の費用はどれくらいかかりますか?
大きく分けて、申立てのときの実費(数千円〜、鑑定が必要な場合は別途)と、司法書士・弁護士などの専門職が後見人になったときの報酬があります。報酬は家庭裁判所が本人の財産などをもとに決め、月額で本人の財産から支払われるのが一般的です。金額はあくまでめやすで、事案によって変わるため、家庭裁判所や専門家に確認してください。
いったん始めたら、途中でやめられますか?
原則として、本人の判断力が回復するなどの事情がない限り、本人が亡くなるまで続きます。「一度きりの手続きが終わったら終了」ではなく、財産管理が続くしくみです。専門職が後見人だと報酬も続きます。日常の少額なお金の管理だけで足りるなら、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」という別の選択肢もあります。どちらが合うかは相談窓口で確かめましょう。
認知症と診断されたら、必ず成年後見制度を使わなければいけませんか?
いいえ、必ず使わなければならないわけではありません。成年後見制度は、本人の財産や契約を守るために「必要になったとき」に使う制度で、認知症の診断があれば自動的に始まるものでも、義務でもありません。たとえば、大きな財産の売却や施設の契約、預金が凍結されて動かせない、といった具体的な必要が生じたときに検討します。困っているのが毎月のお金の管理や公共料金の支払いといった日常のことだけなら、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」で足りることもあります。「本当に今、うちに必要か」を、地域包括支援センターなどの窓口で相談してから決めて大丈夫です。あわてて始める必要はありません。
出典
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。
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