資格・キャリア

認知症ケア専門士とは|認定資格の取り方・実践者研修との違い・活かし方

公開: 2026年7月24日 / 編集: 介護のしるべ編集部

日々のケアの中で、認知症のある方と向き合う時間が増えてきた。ご本人の不安な気持ちに寄り添えたとき、少しだけ表情がやわらいだ——そんな瞬間に、「自分は認知症のケアを、もっと深く学びたいのかもしれない」と感じたことはありませんか。あるいは、周りに「認知症ケア専門士」を持っている先輩がいて、自分もあの専門性を、きちんとしたかたちで身につけたい、と思っている方もいるかもしれません。

この記事だけの視点を、先にひとつお伝えします。それは、認知症のケアに関する資格には「公的な研修」と「民間の認定」という、性格の違う二つの道があり、そのどちらなのかを知ることが、遠回りしないための第一歩になる、ということです。よく混同されるのが、この記事の主役である「認知症ケア専門士」と、名前の似た「認知症介護実践者研修」。前者は学会という民間の団体が試験で認定する資格、後者は自治体が行う公的な研修です。実施している主体そのものが違います。この違いさえ押さえれば、「自分が目指したいのはどちらか」が、ぐっと見えやすくなります。

この記事では、認知症ケア専門士とは何かから始めて、公的な実践者研修との違い、受験資格や試験・更新のしくみ、その上にある上級資格、そして職場でどう活かせるのかまで、日本認知症ケア学会の公式な情報をもとに、できるだけやさしい言葉でお伝えします。専門用語には、そのつど短い説明を添えます。読み終わるころには、この資格が「自分に合う道かどうか」を、落ち着いて考えられるようになっているはずです。

混同しやすい3点を、先にほどく

こまかい話に入る前に、混乱しやすいポイントを3つ、先にほどいておきます。ここだけ押さえれば、あとの説明がすっと入ってきます。

  • 認知症ケア専門士は「民間の認定資格」です。 一般社団法人 日本認知症ケア学会(にほんにんちしょうケアがっかい)という学術団体が認定しています。国家資格ではなく、自治体が行う研修でもありません。
  • 公的な「認知症介護実践者研修」とは、実施主体が違います。 実践者研修は、国の事業にもとづいて都道府県などが行う公的な研修。専門士は、学会が試験で認定する民間資格。ここが最大の分かれ目です。
  • 専門士は「試験に合格して取り、更新して保つ」資格です。 一次(筆記)と二次(論述)の試験があり、取ったあとも5年ごとに更新が必要です。学び続けることが前提の資格だと考えてください。

「公的な研修か、民間の認定か」——この一点を頭の隅に置いて、まずは認知症ケア専門士そのものから見ていきましょう。

認知症ケア専門士とは、学会が認める「認知症ケアの専門家」の証

はじめに、認知症ケア専門士がどんな資格なのかを整理します。

認知症ケア専門士は、一般社団法人 日本認知症ケア学会が認定する、民間の認定資格です。認知症のケアに関する高い知識・技術と、倫理観(人として守るべき考え方や姿勢)を備えた専門職を育てることを目的に設けられました。「認知症ケアのことを、体系立ててしっかり学び、それを客観的に示せるようにしたい」——そんな思いに応える資格だと考えてください。

ここで、言葉の整理をしておきます。「認定資格(にんていしかく)」とは、国ではなく、民間の団体(この場合は学会)が「この人はその分野の力を備えている」と認める資格のことです。介護の世界で唯一の国家資格である「介護福祉士」とは、認める主体が違います。国家資格ではないからといって価値が低いわけではなく、認知症ケアという専門領域に的をしぼった資格として、現場で広く知られています。

もうひとつ大切なのが、「更新制」であるという点です。一度取れば一生ものというわけではなく、取得後も学び続け、定期的に更新することで資格を保ちます(くわしくは後の章でお伝えします)。これは、認知症ケアの考え方や技術が日々あたらしくなっていく分野だからこそ、「専門士であり続けるなら、学びも止めない」という設計になっているのです。

なお、認知症ケアの現場そのものについてイメージがわかない方は、認知症のある方が少人数で暮らすグループホームで働くとはのページもあわせてご覧ください。この資格が、どんな仕事の場面で活きるのかが見えてきます。

いちばん混同しやすい「認知症介護実践者研修」との違い

この資格を調べるとき、多くの人がつまずくのが、名前のよく似た**「認知症介護実践者研修(にんちしょうかいごじっせんしゃけんしゅう)」**との違いです。「認知症の」「ケア/介護の」「専門的な学び」という言葉が並ぶため、同じもののように見えてしまいます。でも、実は性格がかなり違います。ここを、じっくり分けて説明します。

違いその1:実施しているのが「学会」か「自治体」か

いちばん本質的な違いは、誰がやっているかです。

  • 認知症ケア専門士:一般社団法人 日本認知症ケア学会という、民間の学術団体が認定します。
  • 認知症介護実践者研修:厚生労働省の「認知症介護実践者等養成事業」という国の事業にもとづき、都道府県や指定都市(政令指定都市)が実施主体となって行う、公的な研修です。

冒頭でお伝えした「公的な研修か、民間の認定か」という分かれ目は、まさにこの一点のことです。実践者研修は、国の制度の中に位置づけられた公的な研修。専門士は、学会という民間の団体が独自に認定する資格。土台となるしくみが、そもそも別なのです。

違いその2:「試験に合格する」か「受講して修了する」か

もうひとつの大きな違いが、取り方です。

  • 認知症ケア専門士:認定試験を受け、合格して認定されます。後で述べるとおり、一次(筆記)と二次(論述)の試験があります。
  • 認知症介護実践者研修:決められたカリキュラム(講義・演習・実習)を受講して修了することで取得します。原則として、合格・不合格を分ける試験はありません。

つまり、専門士は「試験を突破して勝ち取る」資格、実践者研修は「必要な学びを積んで修了する」研修、という違いがあります。どちらが上・下という話ではなく、目的も性格も異なる別の道だということです。

違いその3:「介護報酬の加算」との関わり

少し専門的になりますが、実務に関わる大切な違いなので、やさしく触れておきます。

介護の世界には、**介護報酬(かいごほうしゅう)の加算(かさん)**というしくみがあります。これは、ざっくり言えば「一定の条件を満たした事業所に、介護サービスの対価として、国の定めるお金が上乗せされる」制度のこと。この加算の中には、「認知症ケアに関する公的な研修を修了した職員が配置されていること」が条件になっているものがあります。

ここで関わってくるのが、公的な研修である認知症介護実践者研修や、その上位のリーダー研修です。これらは公的な位置づけのため、こうした加算の要件として扱われることがあります。一方、民間の認定資格である認知症ケア専門士は、そのままでは加算の要件にはなっていません。

誤解のないように補っておくと、これは「専門士に価値がない」という意味では決してありません。加算という制度上の役割を担うのは公的研修、専門性を客観的に示す個人の認定は専門士、と役割が違うというだけのことです。ご自身が「制度上の要件を満たす研修が必要なのか」「認知症ケアの専門性を示す認定が欲しいのか」を考えると、どちらに進むべきかが見えてきます。

ここまでの違いを、表に整理しておきます。

見るところ認知症ケア専門士認知症介護実践者研修
実施している主体日本認知症ケア学会(民間の学術団体)都道府県・指定都市(国の事業にもとづく公的研修)
性格民間の認定資格公的な研修
取り方認定試験(一次・二次)に合格カリキュラムを受講して修了(原則、合否の試験なし)
更新あり(5年ごと)修了資格(更新のしくみは研修による)
介護報酬の加算そのままでは加算の要件ではない公的研修として加算の要件になることがある

「名前が似ているから、たぶん同じようなもの」と流してしまうと、遠回りのもとになります。公的研修と民間認定、この二つは別の道——まずはそこを、しっかり分けて覚えておいてください。

認知症ケア専門士の受験資格

では、認知症ケア専門士を受けるには、何が必要なのでしょうか。ここは制度で決まっている大事な部分なので、公式の情報にそって正確にお伝えします。

受験資格は、ひとことで言えば**「認知症ケアの実務経験が、一定期間あること」**です。日本認知症ケア学会の案内では、次のように定められています。

  • 試験を実施する年からさかのぼって、過去10年間のうちに、3年以上の認知症ケアの実務経験があること(たとえば2026年度の試験なら、2016年4月1日〜2026年3月31日の間で3年以上、というかたちで示されます)。

この「実務経験」については、いくつか知っておくと安心なポイントがあります。

  • 認知症を専門とする職場である必要はありません。 特別養護老人ホームやデイサービスなど、認知症のケアに携わる場であれば幅広く対象になります。
  • 職種や職務内容の制限も、基本的にありません。 認知症ケアに関わっている限り、いろいろな立場での経験が対象になります。
  • ただし、ボランティア活動や実習は、実務経験には含まれません。 仕事として認知症ケアに携わった期間が対象、と考えてください。

大切なのは、特別な学歴や、事前の指定資格がなくても、現場での実務経験を土台に挑戦できるということです。「認知症ケアの経験を、3年ほど積んできた」という方なら、受験資格の面ではまず入り口に立てる、と考えてよいでしょう。

なお、受験資格の細かな条件や対象期間は、年度によって表記が変わることがあります。実際に申し込む前には、必ず日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士認定試験)の最新の案内で、ご自身が条件を満たすかを確認してください。 この記事では「過去10年で3年以上の実務経験」という、おおよその目安として覚えておいてください。

介護の実務経験は、こうした認知症ケア専門士だけでなく、国家資格である介護福祉士の受験資格にもつながっていきます。資格全体の中での位置づけを知りたい方は、介護の資格ロードマップもあわせてご覧ください。

試験のしくみ:一次(筆記)と二次(論述)の2段階

受験資格の見通しが立ったら、次は「どんな試験なのか」です。認知症ケア専門士の認定試験は、一次試験と二次試験の、2つの段階に分かれています。順に見ていきましょう。

一次試験:4つの分野の筆記試験

一次試験は、筆記(マークシート形式)の試験です。認知症ケアに関する内容が、大きく4つの分野に分けて出題されます。学会の案内によると、各分野で7割(70%)以上の正答が、合格の目安とされています。

ここで、多くの方が心強く感じるであろう、大切なしくみがあります。それは、合格した分野には「5年間」の有効期間があるという点です。これは何を意味するかというと、一度の試験で4分野すべてに合格できなくても、受かった分野は5年間有効なので、翌年以降に、残りの分野だけを受け直していける、ということです。

「4分野すべてを、一発で完璧に」と気負う必要はありません。得意な分野から一つずつ積み上げ、数年かけて全分野をそろえていく——そんな計画的な取り方ができるように作られています。仕事をしながら学ぶ人にとって、これは負担を分散できる、ありがたいしくみです。

二次試験:事例をもとにした論述

一次試験(の全分野)に合格すると、次は二次試験に進みます。二次試験は、認知症ケアの事例をもとにした論述(ろんじゅつ)試験です。学会の案内では、事例問題に対して3題の論述が課される、とされています。

論述とは、決められた答えを選ぶのではなく、自分の考えを文章で書いて答える形式のこと。「こういう状況の利用者さんに、あなたならどう対応し、なぜそう考えるのか」といった、実践に即した思考が問われます。これは、暗記だけでは越えられない、現場での経験と考える力が試される部分です。逆に言えば、日々のケアで悩み、工夫を重ねてきた経験そのものが、大きな力になる試験でもあります。

一次で知識を、二次で実践的な思考を——この2段階を通して、「知っている」だけでなく「現場で活かせる」専門性を確かめる。それが、認知症ケア専門士の試験の組み立てです。

難易度は「経験を土台に、計画的に準備すれば届く」

「試験が二つもあるなんて、難しそう」と感じたかもしれません。たしかに、決してやさしい試験ではありません。ただ、必要以上に身がまえることもありません。理由は2つあります。

1つ目は、先ほどの分野ごとに5年間持ち越せるしくみがあること。一度に全部を仕上げなくてよいので、無理のないペースで臨めます。2つ目は、そもそも認知症ケアの実務経験がある人が受ける試験だということ。まったくの白紙から挑むわけではなく、日々のケアで得た実感を、知識で裏づけていく作業に近いのです。市販のテキストや問題集、学会が示す出題の範囲を手がかりに、こつこつ準備を進めれば、十分に手が届く資格だと考えてよいでしょう。

取ったあとが本番:5年ごとの「更新」

認知症ケア専門士で、忘れてはいけない特徴が**「更新制」**です。この資格は、合格して終わりではなく、取得したあとも5年ごとに更新して、資格を保ち続けるしくみになっています。

具体的には、5年間のうちに30単位(たんい)以上を取得し、更新料の納付などの所定の手続きを行うことで更新できます。「単位」とは、学びの積み重ねを数で表したもの。学会が主催・認定する学術集会や講演会に参加したり、機関誌に論文を発表したりすることで、こつこつ貯めていきます。更新の際には、更新料(一定の費用)もかかります。

そして大切な注意点として、更新の手続きを行わないと、資格は失効します。せっかく取った資格を手放してしまわないよう、5年という期間を意識して、少しずつ単位を積んでおくことが必要です。

一見、手間に感じるかもしれません。けれど見方を変えれば、この更新制は**「専門士であり続けるなら、学びも止めない」という約束**でもあります。認知症ケアの知識や技術は、年々あたらしくなっていきます。更新のために学会の集まりに参加することが、そのまま最新の学びに触れる機会になる——そう捉えると、更新は負担というより、専門性を保つための健康診断のようなものだと考えられます。

さらに上を目指すなら「上級認知症ケア専門士」

認知症ケア専門士には、その上に位置づけられる上位資格があります。それが**「上級認知症ケア専門士(認知症ケア上級専門士)」**です。認知症ケアの専門性を、指導する立場・より深い実践の立場へと高めていきたい人のための道です。

上級を目指すには、認知症ケア専門士であることを土台に、いくつかの条件を満たす必要があります。学会の案内をもとにすると、おおむね次のような要件が求められます。

  • 認知症ケア専門士としての、一定年数(数年)の経験があること。
  • 認知症ケア専門士としての単位を、一定数以上(30単位以上など)取得していること。
  • 指定された研修会(上級専門士の研修)を修了していること。
  • 事例発表や論文発表などの実績があること。

このように、上級は「専門士になってから、さらに経験と学びを積んだ人」が挑戦する資格であり、認知症ケア専門士よりも難易度は高くなります。取得者には、認知症ケアに関する指導や、ケアの組み立てを考える役割が期待されます。現場のリーダーや、後輩を育てる立場を担う人が、その専門性を一段引き上げるための目標、と考えるとよいでしょう。

ひとつ注意しておきたいのは、上級を取った後も、土台である認知症ケア専門士の更新は続けて必要だという点です。専門士の更新を怠って資格が失効すると、上級の資格にも影響します。上級は、専門士という土台の上に積み上がっている——そのイメージを持っておくと安心です。

すぐに上級を目指す必要はありません。まずは認知症ケア専門士を取り、日々のケアで活かしながら、「もっと深めたい」と感じたときに、次の目標として視野に入れる。それくらいの気持ちで大丈夫です。

この資格を、職場でどう活かせるか

最後に、いちばん気になるであろう、「取ると、実際にどう役立つのか」という点をお伝えします。ここは、事実として言えることと、職場によって変わることを、きちんと分けて考えるのが大切です。

まず、確かに言えるのは、認知症ケアの専門性を、客観的なかたちで示せるということです。「認知症のケアが得意です」と自分で言うのと、「認知症ケア専門士の資格を持っています」と示せるのとでは、伝わる説得力が違います。認知症のケアに力を入れている施設や、認知症のある方が多く暮らす場では、この専門性が歓迎されやすいでしょう。転職や職場選びの場面で、自分の強みを裏づける材料のひとつになります。

次に、手当や職場での評価につながる場合がある、という点です。職場によっては、認知症ケア専門士の資格を「資格手当(資格を持っていることに対して支給される手当)」の対象にしていたり、人事の評価で考慮したりすることがあります。ただし、ここは必ずそうなるとは限りません。手当の有無や金額、評価への反映のされ方は、職場ごとの方針によって大きく変わり、個人差・職場差が大きい部分です。「この資格を取れば、必ず給料が上がる」と約束できるものではない、という点は、正直にお伝えしておきます。

だからこそ、もし手当や評価も期待して取得を考えるなら、気になる職場に「認知症ケア専門士は、手当や評価の対象になりますか」と確認してみるのが確実です。面接や見学の場でこうした点を尋ねるのは、失礼にはあたりません。介護の資格が手当や給料にどう関わるかという全体像は、介護福祉士になるにはのページでも、国家資格の例を通してくわしく触れています。あわせて読むと、資格とお金の関係が立体的に見えてきます。

そして、金額のこと以上に大きいかもしれないのが、学びそのものが、日々のケアの質を高めてくれることです。認知症のある方の行動の背景を理解し、その人らしさを大切にした関わり方を体系的に学ぶ。それは、資格の有無にかかわらず、あなたの目の前の利用者さんとの時間を、より穏やかで確かなものにしてくれます。手当という目に見える見返り以上に、この「ケアが変わる実感」こそが、多くの人がこの資格に向かう理由なのだと思います。

自分に合うのは、どちらの道か

この記事の出発点だった見取り図を、あらためて広げておきます。認知症のケアに関する資格には、「公的な研修」と「民間の認定」という、性格の違う二つの道があります。

  • 制度上の要件(介護報酬の加算など)を満たす、公的な位置づけの学びが必要なら——認知症介護実践者研修という、自治体が行う公的研修の道があります。
  • 認知症ケアの専門性を、試験に裏づけられたかたちで、客観的に示したいなら——認知症ケア専門士という、学会が認定する民間資格の道があります。

このどちらが「正解」ということはありません。あなたが今いる場所と、これから向かいたい方向によって、選ぶ道は変わります。そして、この二つは対立するものでもなく、どちらも学び、両方を持っている人も現場には少なくありません。大切なのは、名前の似た二つを混同したまま、なんとなく選んでしまわないこと。それぞれが何なのかを分かったうえで、自分の意思で選ぶことです。

もし、あなたが認知症ケア専門士に心を惹かれたなら、次の一歩は、とても小さくてかまいません。「自分の実務経験が、受験資格の3年に届いているかを数えてみる」「日本認知症ケア学会の公式サイトで、次の試験の案内を眺めてみる」——それだけで、あなたの学びの計画は動き始めます。

認知症のある方に、より深く寄り添いたい。その気持ちそのものが、この資格に向かうための、いちばん確かな出発点です。学んだことを活かせる職場を探したくなったら、認知症ケアの現場であるグループホームで働くとはのページから、ゆっくり眺めてみてくださいね。あなたのこれからの学びを、心から応援しています。

よくある質問

認知症ケア専門士とは、どんな資格ですか?

一般社団法人 日本認知症ケア学会が認定する民間資格です。認知症ケアに関する知識・技術・倫理観を備えた専門職を育てることを目的につくられた、更新制の認定資格です。国家資格ではなく、また自治体が行う公的研修とも実施主体が異なります。認知症ケアに力を入れたい人が、その専門性を客観的なかたちで示す手段のひとつとして選ぶことが多い資格です。

認知症介護実践者研修とは、何が違いますか?

いちばんの違いは「誰がやっているか」です。認知症介護実践者研修は、厚生労働省の事業にもとづき、都道府県や指定都市が実施主体となって行う公的な研修で、決められたカリキュラムを受講すれば修了できます(原則として合格・不合格を分ける試験はありません)。一方、認知症ケア専門士は、学会という民間の団体が認定する資格で、認定試験(一次の筆記+二次の論述)に合格する必要があります。「公的な研修を修了する」か「学会の試験に合格して認定される」か、という性格の違いだと考えると分かりやすいです。

認知症ケア専門士の受験資格や難易度は?

受験資格は、試験実施年からさかのぼって過去10年間のうちに、3年以上の認知症ケアの実務経験があることです(認知症専門の職場である必要はなく、職種の制限もありませんが、ボランティアや実習は含みません)。試験は一次(筆記)と二次(論述)の2段階です。一次は4分野の筆記で、各分野で7割以上の正答が求められます。合格した分野は5年間有効なため、一度で全分野に受からなくても、翌年以降に残りの分野へ挑戦していくこともできます。二次は事例をもとにした論述です。決してやさしくはありませんが、現場経験を土台に、計画的に準備すれば十分に手が届く資格です。

認知症ケア専門士は、資格を取ったら更新は必要ですか?

はい、更新が必要です。認知症ケア専門士は更新制の資格で、5年ごとに更新します。具体的には、5年間で30単位以上を取得し、所定の手続き(更新料の納付など)を行う必要があります。単位は、学会が主催・認定する学術集会や講演会への参加、機関誌への論文発表などで取得できます。更新をしないと資格は失効するため、取得後も学び続けることが前提の資格だと考えておくとよいでしょう。

認知症ケア専門士の上に、さらに上位の資格はありますか?

あります。「上級認知症ケア専門士(認知症ケア上級専門士)」という上位の資格です。認知症ケア専門士として一定の経験と単位を積み、指定の研修会の修了や、事例・論文の発表といった条件を満たした人が挑戦できる資格で、認知症ケア専門士よりも難易度は高くなります。現場でリーダーや指導的な役割を担う人が、さらに専門性を高めるための道と位置づけられています。

認知症ケア専門士は、どんな職種の人が受けていますか?

受験資格に職種の制限がないため、認知症ケアに関わる幅広い職種の人が取得しています。介護職員や介護福祉士はもちろん、施設や病院の看護師、生活相談員、ケアマネジャー(介護支援専門員)、理学療法士・作業療法士といったリハビリ職など、認知症のある方に関わる立場であれば、いろいろな職種の人が対象になります。多職種が同じ資格を学ぶことで、認知症ケアについての「共通の言葉」を持てるのも、この資格の良い面です。自分が今の仕事で認知症ケアに携わっているなら、職種を問わず挑戦を考えられます。

出典


本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。

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