資格・キャリア
介護の資格ロードマップ|無資格から介護福祉士・ケアマネまで、給料と次に取る資格の地図
「今の仕事を、もっと長く続けたい」「せめて、あと少しだけ給料を上げたい」——そう考えたとき、多くの人が最初に思い浮かべるのが「資格」だと思います。ところが、いざ調べ始めると、初任者研修、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャー……名前が似ていて、何がどう違うのか、どこから手をつければいいのか、迷ってしまいますよね。
先にお伝えしたいのは、その迷いは、あなたの理解力が足りないからではない、ということです。介護の資格は、制度が変わるたびに名前や要件が少しずつ移り変わってきた、もともと分かりにくいものです。名前を見ただけでは順番が分からないのは、ごく自然なことです。
でも、安心してください。介護の資格には、はっきりした「順番」があります。やみくもに勉強を始める必要はありません。地図(ロードマップ)のように、一段ずつのぼっていける道すじが決まっていて、しかもそのほとんどが「働きながら」取れるように作られています。
この記事では、資格の全体像から、それぞれの資格で何ができるのか、取り方・費用のめやす、そして「資格が上がると給料と働き方がどう変わるのか」までを、厚生労働省の公的データをもとにお伝えします。さらに、あなたが「今どの段階にいて、次に何を取ればいいか」を自分で決められる早見表もご用意しました。読み終わるころには、次の小さな一歩が、きっと見えてくるはずです。
まず結論:この地図で覚えてほしい3つのこと

細かい話に入る前に、いちばん大事なことを3つ、先にお伝えします。
- 資格は「無資格→初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネ」の順に進むのが王道です。 一段ずつのぼる階段のようなもので、迷ったら入り口の初任者研修からで大丈夫です。
- ほとんどの資格は「働きながら」取れます。 お給料をもらいながら、夜間・土日・通信の講座で学べます。焦って仕事を辞めて学校に通う必要はありません。
- 資格が上がると給料のめやすも段階的に上がる傾向がありますが、資格だけで決まるわけではありません。 勤続年数・夜勤・施設の種類なども効いてきます。「資格は、選べる道を増やすための投資」と考えてみてください。
たとえるなら、資格取得は山登りに似ています。頂上(ケアマネや、その先)だけを見ると遠く感じますが、目の前の一合目(初任者研修)に集中すれば、一歩は意外と軽いものです。まずは全体の地図を、一緒に眺めていきましょう。
介護資格の全体像:5つのステップと「その先」

介護の主な資格は、大きく次のように並びます。下にいくほど、できることが増え、給料のめやすも上がっていく、というイメージです。この表が、資格の「地図」であり「受験ルートの早見表」になります。
| ステップ | 資格の名前 | ひとことで言うと | 主な受講・受験の条件 |
|---|---|---|---|
| 0 | 無資格 | 資格がなくても働ける(入職後に認知症介護基礎研修) | なし |
| 1 | 介護職員初任者研修 | 介護の「入門資格」。訪問の身体介護ができる | 誰でも受講できる |
| 2 | 介護福祉士実務者研修 | 医療的ケアの基礎。実務経験ルートの受験要件 | 誰でも受講できる(初任者研修なしでも可) |
| 3 | 介護福祉士 | 介護で唯一の「国家資格」 | 実務経験ルートは原則3年以上の実務経験+実務者研修 |
| 4 | ケアマネジャー(介護支援専門員) | ケアプランを作る専門職 | 介護福祉士などで原則5年以上の実務経験+試験 |
| その先 | 認定介護福祉士 など | 上級・専門を深める道 | 介護福祉士としての実務経験+研修 |
はじめに知っておくと安心なポイントが、3つあります。
- ステップ0の「無資格」から始めてまったく問題ありません。 介護は、資格がなくてもスタートできる、数少ない仕事のひとつです。
- 必ずしも1→2の順でなくてもかまいません。 初任者研修を飛ばして実務者研修から始めることもできます。ただ、まったくの未経験なら、負担の軽い初任者研修から入る人が多いです。
- 働きながら進むルートでは「実務経験」が土台になります。 介護福祉士の実務経験ルートとケアマネの受験には実務経験が必要です。一方、介護福祉士には養成施設や福祉系高校のルートもあり、その場合は必要な条件が変わります。
ここからは、あなたが今どこにいるかを確かめる早見表を見たあと、それぞれの資格を一段ずつ、くわしく見ていきましょう。
あなたの現在地から、次の一歩を決める早見表

地図の全体像がわかったら、次に大切なのは「自分が今どこにいて、次に何をすればいいか」です。遠くの頂上ではなく、目の前の一段が見えると、行動に移しやすくなります。下の表で、あなたに近い状況を探してみてください。
| あなたの今の状況 | おすすめの次の一歩 | ざっくりの目安 |
|---|---|---|
| これから介護を始める/無資格で働き始めたばかり | 働きながら初任者研修を受ける | 働きながらおよそ3〜4か月 |
| 初任者研修を持っている/実務経験を積み始めた | 実務者研修(介護福祉士の受験要件)に進む | 働きながらおよそ6か月 |
| 実務者研修を修了し、実務経験3年が見えてきた | 介護福祉士 国家試験に挑戦する | 試験は年1回・現在は筆記のみ |
| 介護福祉士として数年働いている | ケアマネを視野に入れる/専門(認知症・医療的ケア等)を広げる | ケアマネは実務5年以上が目安 |
| 資格はあるのに給料が上がらないと感じる | 資格を活かせる働き方・職場を見直す | まず給与明細と求人票を確認 |
この表は、あくまで代表的な道すじです。家庭の状況や体力、やりたい仕事の中身によって、進む順番やペースは人それぞれで大丈夫です。「今日、どの一段に手をかけるか」だけを決めれば、それで十分に前進です。ここからは、各ステップの中身を順番に見ていきます。
ステップ0:無資格・未経験からのスタート

「資格がないと、介護の仕事はできないのでは?」と思う方もいるかもしれません。でも、実際にはその逆で、無資格・未経験から始められる職場はたくさんあります。特別養護老人ホーム(常時介護が必要な方が長く暮らす公的な施設。以下「特養」)や、有料老人ホーム、グループホーム(認知症の人が少人数で暮らす住まい)などの多くが、無資格の人を受け入れています。最初は先輩について、食事や移動のお手伝い、見守り、掃除や配膳といった仕事から少しずつ慣れていきます。
知っておきたい「認知症介護基礎研修」
ひとつだけ知っておいてほしいのが、2024年4月から、無資格で介護に直接携わる職員(医療・福祉の資格を持たない人)に「認知症介護基礎研修」の受講が義務づけられたことです。これは、認知症ケアの基本を学ぶ短い研修で、身体介護をする人に限らず、介護に直接かかわる無資格の職員が広く対象になります(東京都福祉局などの公的な案内より)。
とはいえ、身がまえる必要はありません。新しく入った人には入職後おおむね1年の猶予があり、多くの自治体で**eラーニング(インターネットで受ける学習)**として、低額で受けられるよう整えられています。多くは職場が受講の機会を用意してくれます。初任者研修や介護福祉士などの資格をすでに持っている人は、この研修は免除されます。
「向いているか」を確かめる期間でもある
無資格で働くことは、「自分に介護が向いているかを確かめる期間」でもあります。現場を体で知ってから初任者研修に進むと、勉強の内容もぐっと理解しやすくなります。実際、50代・未経験で介護に入ったある女性は、「無資格可能」の求人に応募したら面接で実は要資格と分かり、まず併設のデイサービスで働きながら初任者研修を受け始めた、という経緯をブログにつづっています(当事者の声・原典より。真偽を保証するものではありません)。求人の表示と実際が食い違うことは起こりえますが、「まず働きながら資格を取る」という進み方は、こうして現実に選ばれています。未経験からの職場選びは、未経験から介護の仕事を始めるにはもあわせてご覧ください。
ステップ1:介護職員初任者研修(介護の入門資格)

何ができるようになる?
初任者研修(正式には「介護職員初任者研修」)は、介護の入り口となる基本の資格です。介護の基礎知識と、体に負担をかけない介助の技術(食事・入浴・排せつのお手伝いなど)を身につけた証明になります。
特に大きいのが、訪問介護(利用者さんの家を訪ねて行う介護)で、身体介護ができるようになることです。訪問介護で体に触れる介助をするには、原則この初任者研修以上の資格が必要とされています。無資格ではできなかった仕事の幅が、ここで広がります。
どう取る? 働きながら取れる?
初任者研修は、年齢や学歴、実務経験を問わず、誰でも受講できます。決められた時間(およそ130時間)の講義と演習を受け、最後に修了試験(落とすためではなく、理解を確かめるための試験)に合格すると修了できます。
期間は、通うペースにもよりますが、最短で1〜1.5か月、働きながらだと3〜4か月ほどが一般的です。夜間コースや土日コース、通信を組み合わせた講座が各地にあるので、仕事を続けながら無理なく取れます。先ほどの女性のように、デイサービスで働きながら週3回の初任者研修に通う、といった両立の仕方も珍しくありません。
費用の確認ポイント
受講料には全国一律の金額はありません。地域、研修を行う団体、日程、教材費を含むかどうかで総額が変わります。まずは公式の料金表で受講料・教材費・追試料などを確かめたうえで、次の支援制度も確認してください。
- 職場の資格取得支援制度:勤め先が受講料を負担・補助してくれる場合があります。
- ハローワークの職業訓練(ハロートレーニング):条件に合えば無料または低額で受けられます。
まずは職場やハローワークに「使える制度はありますか?」と聞いてみる。これだけで、費用の負担がぐっと下がることがあります。取り方の詳細は介護職員初任者研修とはでまとめています。
ステップ2:介護福祉士実務者研修(医療的ケアと受験要件)

何ができるようになる?
実務者研修(正式には「介護福祉士実務者研修」)は、初任者研修より一段深い内容を学ぶ研修です。いちばん大きな役割は、実務経験ルートで介護福祉士国家試験を受けるための要件であること。働きながらこのルートで介護福祉士を目指すなら、実務者研修の修了が必要です。
もうひとつ、実務者研修では**「喀痰吸引(かくたんきゅういん)」や「経管栄養(けいかんえいよう)」といった医療的ケアの基礎**を学びます。これは、たんの吸引や、チューブを使った栄養の管理など、以前は限られた職種しか担えなかったケアの一部を、研修を受けた介護職も行えるようにするための制度です(厚生労働省「喀痰吸引等制度」。実際に行うには、別途、実地の研修と事業所の登録などが必要です)。医療的なケアが必要な方を支える職場では、こうした知識が強みになります。くわしくは喀痰吸引等研修とはをご覧ください。
どう取る? 働きながら取れる?
実務者研修も、実務経験がなくても、誰でも受講できます。初任者研修を持っていなくても受けられますが、初任者研修をすでに持っている場合は、その分の科目が免除され、受講時間や費用が軽くなります。
修了までの時間は、持っている資格によって変わります。無資格から受ける場合はおよそ450時間、初任者研修を持っている場合は一部が免除されます。期間の目安は、働きながらでおよそ6か月。通信での学習を中心に、スクーリング(通学)を組み合わせる形が一般的なので、仕事との両立がしやすいように工夫されています。
費用の確認ポイント
受講料は、持っている資格と免除される科目によって変わります。さらに研修を行う団体や地域でも異なるため、一般的な金額をそのまま自分の費用とは考えられません。公式の料金表で総額を比べ、職場の支援制度や教育訓練給付、ハローワークの職業訓練などの対象になるかも確認しましょう。「介護福祉士を取りたい」と思ったら、この実務者研修が最初の関門です。試験日から逆算して、早めに計画を立てておくと安心です。詳細は実務者研修とはでも解説しています。
ステップ3:介護福祉士(介護で唯一の国家資格)

何ができるようになる?
介護福祉士は、**介護の分野で唯一の「国家資格」**です。国が「介護の専門家である」と認める資格で、持っていることが知識・技術の確かな証明になります。
介護福祉士になると、現場のリーダーや、チームをまとめる役割を任されることが増えます。新人への指導や、ケアの計画づくりに関わる機会も広がります。施設によっては介護福祉士であることが手当の対象になったり、給料のベースが上がったりする傾向もあります(くわしくは後の章で)。そして介護福祉士は、次のステップであるケアマネジャーへの入り口にもなります。
どう取る? どのくらいの実務経験が必要?
介護福祉士になるにはいくつかのルートがありますが、働きながら目指す人の多くが選ぶのが**「実務経験ルート」**です。このルートの受験資格は、大きく次の2つです。
- 原則3年以上の実務経験(従業期間が1,095日以上、かつ実際に働いた日数が540日以上)
- 実務者研修の修了(ステップ2)
この2つを満たしたうえで、年に1回行われる介護福祉士国家試験に合格すると、介護福祉士になれます。試験は現在、実技試験が廃止され、筆記試験のみです(社会福祉振興・試験センターより。第39回試験は令和9年1月31日に実施予定)。実務者研修は「実技免除のため」ではなく、実務経験ルートの受験資格として修了するものです。
近年は、試験全体で不合格だった人について、筆記試験を科目のまとまり(パート)ごとに合否判定する**「パート合格」**の仕組みが導入されました。前回の試験でパート合格した人は、次の試験でそのパートの受験を免除して申し込めます。初めて受験する人や、パート合格がない人は、全パートを受験します。細かい取り扱いは変わることがあるため、パート合格の案内など試験センターの最新情報を確認してください。
なお、介護福祉士には養成施設ルートや福祉系高校ルートもあり、必要な条件が異なります。また、実務経験の年数の数え方や、どの職種・どの施設での勤務が対象になるかも定められています。受験資格の正確な条件は、試験を実施している「社会福祉振興・試験センター」の最新の案内で必ず確認してください(制度は年度で変わることがあります)。
働きながら取れる?
はい。むしろ実務経験ルートは、「働きながら取る」ことが前提の仕組みです。日々の仕事そのものが受験資格(実務経験)につながり、実務者研修も通信を中心に両立できます。あとは、試験に向けた勉強の時間をどう作るかがカギです。市販の問題集や職場の勉強会、通信講座などを活用して、無理のないペースで準備する人が多くいます。働きながらの勉強の進め方は、介護福祉士 国家試験の勉強法や介護福祉士になるにはにまとめています。
ステップ4:ケアマネジャー(ケアプランを作る専門職)

何ができるようになる?
ケアマネジャー(正式には「介護支援専門員」)は、利用者さん一人ひとりに合った介護の計画書「ケアプラン」を作る専門職です。「この方には、週に何回のデイサービスと、何時間の訪問介護が必要か」——そうした支援の組み立てを考え、利用者さん・家族・各サービス事業者の間をつなぐ、いわば介護の「司令塔」のような役割です。
直接の身体介護からは少し離れ、相談・調整が仕事の中心になります。デスクワークや関係者との連絡・調整が増えるぶん、これまでとは違うタイプのやりがいがあります。夜勤のない働き方を選びやすくなるのも、ケアマネの特徴のひとつです。
どう取る? どのくらいの実務経験が必要?
ケアマネジャーになるには、介護福祉士などの国家資格を持ったうえで、原則5年以上(かつ900日以上)の実務経験を積み、都道府県が行う**「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、そのあとの実務研修**を修了する必要があります。つまり多くの人にとってケアマネは、介護福祉士を取り、さらに数年の経験を重ねた先にある目標です。受験資格は制度改正で変わることがあるため、挑戦を考えるときは、お住まいの都道府県の最新の案内を必ず確認してください。
給料・待遇の現実も知っておく
給料の面では、後の章で見るとおり、資格が上がるほど平均は高くなる傾向があります。同じ令和6年度調査の職種別では、ケアマネジャー(介護支援専門員)として働く人の平均給与額は**375,410円(月給・常勤・処遇改善加算取得事業所。基本給に手当・一時金を加えた平均です)**でした。
ただし、これはあくまで平均です。資格を取れば必ず待遇が伴う、とは限らないのが現実です。福祉職16年・ケアマネ11年目というある方は、自身の基本給が18万円で、「資格手当や住宅手当など、わずかな加算はあるものの……正直、生活保護レベルだと思います」と率直な思いをnoteにつづっています(当事者の声・原典より。真偽を保証するものではありません)。ケアマネを目指すなら、こうした光と影の両方を知ったうえで、事業所ごとの条件を見比べることが大切です。仕事の中身や働き方の傾向は、ケアマネジャーになるにはでくわしく解説しています。
資格が上がると、給料と働き方はどう変わる?

ここが、多くの方がいちばん気になるところだと思います。「資格を取ると、実際にどれくらい給料が変わるの?」——厚生労働省の令和6年度「介護従事者処遇状況等調査」では、介護職員の平均給与額を保有資格別に見ることができます。処遇改善加算を取得している事業所の、月給・常勤の介護職員が対象です。
| 保有資格 | 平均給与額(月給・常勤) | その資格を持つ人の平均勤続年数 |
|---|---|---|
| 保有資格なし | 290,620円 | 5.8年 |
| 介護職員初任者研修 | 324,830円 | 8.8年 |
| 実務者研修 | 327,260円 | 6.9年 |
| 介護福祉士 | 350,050円 | 10.4年 |
数字だけを見ると、「資格が上がるほど給料も上がる」ように見えますし、傾向としてはそのとおりです。ただ、ここで右端の「平均勤続年数」に注目してください。保有資格なしの人は平均5.8年、介護福祉士は10.4年と、資格が上がるほど勤続年数も長くなっています。
つまりこの差は、「資格そのものの効果」と「長く働いて経験を積んだ効果」が混ざったものです。資格を取った瞬間に、無資格との差額(約6万円)がまるごと給料に乗る、という意味ではありません。実際、実務者研修を持つ人は初任者研修を持つ人より平均勤続年数が短く、給与の差もわずかです。数字は、定義や集団の違いを踏まえて読む必要があります。
それでも、この表から確かに言えることが1つあります。介護福祉士まで進んだ人たちの平均が、無資格の人たちの平均をはっきり上回っている——これは、資格を活かす働き方を長く続けることが、給料の面でも報われやすいことを示す手がかりです。
なお、この平均給与額は、基本給・手当に一時金(4〜9月支給分の6分の1)を加えた統計上の平均で、求人票の「月給」とは定義が異なります。額面と手取りの違いは、介護職の手取りと給料明細の見方で確かめられます。
給料は、資格だけで決まるわけではない
実際の給料は、次のような要素が組み合わさって変わります。
- ① 保有資格(無資格→初任者研修→実務者研修→介護福祉士、と上がるほど高くなる傾向)
- ② 夜勤の回数(夜勤手当がつくため、回数が多いほど月収は上がりやすい)
- ③ 身体介護の負担度(負担の大きい職場ほど手当がつくことがある)
- ④ 施設が取得している「介護職員等処遇改善加算」の区分(介護職の賃上げのために国が事業所へお金を上乗せする仕組み。2024年に複数の加算が一本化されました)
- ⑤ 地域区分(都市部など、地域によって基準が異なる)
これらは、特定の施設が高い・低いという話ではなく、種別ごとの一般的な傾向です。裏を返せば、同じ資格でも「どんなタイプの施設で、どんな働き方をするか」で手取りは変わります。だからこそ、資格を取ったら、その資格を活かせる働き方・職場を選ぶことが大切です。給料を上げる考え方は介護職の給料の実際、処遇改善のしくみは処遇改善加算とはにまとめています。実際の条件は、必ず求人票や労働条件通知書、面接で確認してください。
無理なく資格を取っていく、5つのコツ

「資格を取りたい気持ちはあるけれど、仕事も家庭もあって、続けられるか不安」——そう感じるのは、とても自然なことです。無理なく続けるためのコツを、5つにまとめました。
- まずは入り口の初任者研修から、一段ずつ。 最初から介護福祉士やケアマネを見上げると遠く感じます。目の前の一段に集中すれば、一歩は軽くなります。
- 職場の支援制度を、遠慮なく使う。 受講料の補助や、勉強のためのシフト調整をしてくれる職場は少なくありません。「使える制度はありますか?」と聞くだけでも負担が変わります。
- ハローワークの職業訓練を調べてみる。 条件に合えば無料または低額で研修を受けられます。これから介護に入る方や、再スタートの方に心強い選択肢です。
- 試験日から逆算して、早めに計画する。 介護福祉士の試験は年に1回。実務者研修の修了時期も含めて逆算すると、あわてずに済みます。
- 勉強は「短く・こまめに」続ける。 まとまった時間が取れなくても、通勤の合間や休憩中に少しずつ、が長続きのコツです。がんばりすぎて息切れするより、細く長くのほうが結果的に近道です。
大切なのは、完璧を目指すことではなく、「今日できる小さな一歩」を積み重ねることです。合わなければ、ペースを落としてもいい。資格取得は、あなたのペースで進めていい道のりです。
まとめ:資格は、あなたの選択肢を広げてくれる

最後に、この記事の要点をふり返ります。
- 介護の資格は、「無資格→初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネ」の順に進むのが王道。迷ったら、入り口の初任者研修からで大丈夫です。
- ほとんどの資格は「働きながら」取れるように作られています。夜間・土日・通信を活用すれば、仕事や家庭と両立できます。
- 介護福祉士の実務経験ルートとケアマネの受験には実務経験が必要。介護福祉士には養成施設など別のルートもあります。
- 令和6年度調査の平均給与額は、無資格290,620円・初任者研修324,830円・実務者研修327,260円・介護福祉士350,050円。勤続年数の違いも含む統計上の平均で、資格だけで差額どおり上がることを示す数字ではありません。
- 費用は、職場の支援制度やハローワークの訓練で軽くできる場合があります。まずは「使える制度はありますか?」と聞いてみましょう。
資格は、あなたを縛るものではなく、選べる道を増やしてくれるものです。給料のこと、働き方のこと、将来のこと——一つひとつの不安を、資格が少しずつ軽くしてくれます。
道のりは、まっすぐでなくてもかまいません。一度は「もう介護の仕事はしない」と決めた56歳の元書店員の方が、父親の「優しさもあるが厳しさもあるから、介護には向いているんじゃないか」という一言に背中を押されて現場に戻った経緯を、noteにつづっています(当事者の声・原典より)。行きつ戻りつしながら、自分に合う場所を見つけていく——それも、立派な一つの道です。
次の一歩は、とても小さくてかまいません。「初任者研修の講座を、ひとつ調べてみる」「今の職場に、支援制度があるか聞いてみる」——それだけで、あなたのロードマップは動き始めます。資格を活かせる職場を探したくなったら、施設・職場の基本情報を地域から調べる(求人ではありません)ところから、ゆっくり始めてみてください。あなたのこれからの歩みを、心から応援しています。
よくある質問
介護の資格は、どんな順番で取るのがいいですか?
働きながら進むなら「無資格からスタート→介護職員初任者研修(入門資格)→介護福祉士実務者研修(実務経験ルートの受験要件)→介護福祉士(介護で唯一の国家資格)→ケアマネジャー(ケアプランを作る専門職)」が代表的な道すじです。ただし順番は固定ではなく、初任者研修を飛ばして実務者研修から始めることもでき、介護福祉士には養成施設や福祉系高校のルートもあります。迷ったら、まずは入り口の初任者研修からで大丈夫です。
未経験・無資格でも介護の仕事はできますか?
できます。多くの人が無資格・未経験で介護の世界に入り、働きながら資格を取っていきます。ただし2024年4月からは、無資格で介護に直接携わる職員(医療・福祉の資格を持たない人)に「認知症介護基礎研修」の受講が義務づけられました。新しく入った人には入職後おおむね1年の猶予があり、多くはeラーニングで受けられる短い研修です。身がまえる必要はありません。
働きながらでも資格は取れますか?
はい、多くの人が働きながら取っています。初任者研修や実務者研修は、夜間・土日・通信を組み合わせた講座が各地にあり、仕事と両立しやすいように作られています。介護福祉士の国家試験も、実務経験を積みながら受験するのが一般的です。勤め先が受講費用を補助してくれる制度や、ハローワークの職業訓練が使えることもあるので、まず職場やハローワークに確認してみてください。
介護福祉士になるには、どのくらいの実務経験が必要ですか?
働きながら目指す「実務経験ルート」の場合、原則として3年以上(従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上)の実務経験に加えて、実務者研修の修了が受験資格になります。年数や日数の数え方には細かな条件があるため、正確な要件は試験を実施する「社会福祉振興・試験センター」の最新の案内で必ず確認してください。養成施設ルートや福祉系高校ルートでは、必要な実務経験の条件が異なります。
資格を取ると、給料はどのくらい上がりますか?
厚生労働省の令和6年度調査では、処遇改善加算を取得した事業所の「月給・常勤」介護職員の平均給与額は、保有資格なし290,620円、介護職員初任者研修324,830円、実務者研修327,260円、介護福祉士350,050円でした(基本給・手当に一時金の一部を加えた統計上の平均で、求人票の月給とは定義が異なります)。ただし各資格群は平均勤続年数も異なる(無資格5.8年・介護福祉士10.4年)ため、資格取得だけで差額どおり上がることを示す数字ではありません。それでも、資格を活かして長く働くほど給料の面で報われやすい、という手がかりにはなります。
ケアマネジャー(ケアマネ)になるには何が必要ですか?
ケアマネジャー(正式には介護支援専門員)になるには、介護福祉士などの国家資格を持って原則5年以上(かつ900日以上)の実務経験を積んだうえで、都道府県が行う「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、実務研修を修了する必要があります。多くの人にとっては、介護福祉士を取り、さらに数年の経験を重ねた先にある目標です。受験資格は制度改正で変わることがあるため、お住まいの都道府県の最新の案内を必ず確認してください。
出典
- 厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」(保有資格別・職種別の平均給与額) (2024年度(令和6年度))
- 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター(介護福祉士国家試験・受験資格) (2026年度(令和8年度))
- 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「令和8年度 第39回介護福祉士国家試験(パート合格)」 (2026年度(令和8年度))
- 厚生労働省「介護職員の資格(介護職員初任者研修・実務者研修・介護福祉士)」 (2024年度)
- 厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(介護職の医療的ケア) (2024年度)
- 厚生労働省「ハロートレーニング(公的職業訓練)」 (2024年度)
- 東京都福祉局「認知症介護基礎研修eラーニングについて」 (2024年度)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。
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