施設選び

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用|家賃・サービス費の内訳と、契約前の注意点

公開: 2026年7月27日 / 編集: 介護のしるべ編集部

離れて暮らす親が、まだ身のまわりのことは自分でできている。でも、電話に出ないと「倒れていたらどうしよう」と胸がざわつく。台所の火や、夜中の転倒も気になる。かといって、本人はまだ元気で「施設に入るほどじゃない」と言う——。そんな、少し先を見据えて住まいを探し始めた方に、よく候補として挙がるのが「サービス付き高齢者向け住宅」です。長いので、ふだんは「サ高住(さこうじゅう)」と呼ばれます。

名前に「サービス」と「住宅」が両方入っているとおり、サ高住は「見守りが付いた住まい」です。ただ、いざ費用を調べ始めると、パンフレットに家賃・管理費・サービス費・食費……と項目が並び、「結局、月にいくらかかるの?」が分かりにくい。さらに「一般型」「介護型」という言葉が出てきて、どちらを選べばいいのか迷う方も多いはずです。

この記事では、サ高住の費用を「何にいくら払うのか」という内訳から整理します。そのうえで、費用の仕組みがまったく変わる一般型と介護型の違い、有料老人ホームとの使い分け、そして契約前にいちばん確かめておきたいポイントまで、順番にご案内します。金額はすべて「めやす」で、施設ごとの差がとても大きい点を先にお伝えしておきます。

サ高住は「施設」ではなく、見守りの付いた「賃貸住宅」に近い

費用の話に入る前に、まずここだけ押さえてください。サ高住は、いわゆる老人ホームのような「施設」とは、契約のかたちが違います。

サ高住の契約は、建物賃貸借契約(けんものちんたいしゃくけいやく)が基本です。むずかしく聞こえますが、要するに「部屋を借りる」ふつうの賃貸マンションと同じ考え方です。アパートを借りるときに大家さんと結ぶ契約と、仕組みは近いと思ってください。この住まいに、高齢の方に必要な二つのサービスが最初から付いているのがサ高住です。

  • 安否確認(あんぴかくにん):職員が「今日も元気に過ごしているか」を毎日確かめてくれる見守り。定時の訪問や、居室のセンサーで動きを確認する方法などがあります。
  • 生活相談:暮らしのなかで困ったこと(役所の手続き、病院のこと、日々の心配ごと)を相談できる窓口。

この二つは、サ高住が国に登録するときの条件になっている、いわば「基本サービス」です。サ高住は国土交通省と厚生労働省が共同で所管する登録制度で、一定の広さ(原則25平方メートル以上など)やバリアフリー構造といった基準を満たした住まいが登録されています(厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅について」・国土交通省 登録制度、2024年時点)。

ここで大事なのは、**「賃貸住宅に近い=介護そのものは、住まいの家賃には含まれていない」**という点です。見守りと相談は付いていますが、体を実際に介助する「介護」は、また別の話になります。この「介護をどう受けるか」の違いが、のちほど出てくる一般型と介護型を分ける、費用のいちばんの分かれ道です。

サ高住の費用は「初期費用」と「月額」の二階建て

サ高住にかかるお金は、大きく二つに分けると整理しやすくなります。

初期費用は「敷金」が中心

入居するときにまとまって払うお金は、敷金(しききん)が中心です。金額のめやすは、家賃の数か月分が一般的です。これは、ふつうの賃貸住宅で最初に敷金を払うのと同じ考え方です。

ここがサ高住の分かりやすいところで、有料老人ホームでよくある「入居一時金(数百万円になることもある前払い金)」が、サ高住ではかからない施設が多いのです。初期の負担を抑えやすいのは、住まいを探し始めたばかりのご家族にとって、検討しやすいポイントの一つでしょう。ただし敷金の月数や金額は施設によって差があるため、必ず見学時に確認してください。

月額は「4つ+1つ」でできている

毎月かかるお金は、次のような項目に分かれます。まず住まいと基本サービスの部分がこちらです。

  • 家賃:部屋そのものの賃料。立地(都心か郊外か)や部屋の広さで、いちばん差が出る部分です。
  • 管理費(共益費):共用部分の維持や、水道光熱の一部などにあてられる費用。
  • 食費:食堂で食事を提供する施設の場合。3食すべてか、頼んだ分だけかは施設によります。
  • 基本サービス費:さきほどの安否確認・生活相談にあたる費用。

そして、これに介護サービス費が加わります。介護が必要になったときに、その介護に対して払うお金です。この「介護サービス費が、どういう仕組みで、いくらかかるのか」が、一般型と介護型でまったく違います。ここからが本題です。

費用の分かれ道:「一般型」と「介護型」で仕組みがまるごと変わる

サ高住には、大きく二つのタイプがあります。見た目やパンフレットが似ていても、介護の受け方と費用の考え方がまったく違うので、ここは丁寧に見ていきましょう。

一般型:介護は「外の事業者」から、使った分だけ

一般型は、住まいと見守りが基本で、介護は外部の事業者から個別に受けるタイプです。たとえば、体の介助が必要になったら訪問介護のヘルパーさんに来てもらう、日中はデイサービスに通う、といったかたちです。これらは、自宅に住みながら介護保険サービスを使うのと、基本的に同じ仕組みです。

費用の特徴は、介護サービス費が「使った分だけ」の従量制であることです。つまり、まだ介護があまり要らないうちは、介護費が少なくて済みます。

月額のめやすは、約10〜20万円+利用した外部の介護サービス費です(家賃・管理費・食費・基本サービス費でこの範囲、そこに使った分の介護費が加わるイメージ・めやす)。

自立度が高いうちは費用を抑えやすいのが一般型の良さです。一方で、要介護度が上がって介護をたくさん使うようになると、介護費が増えていくという性質があります。この点は、あとで出てくる「介護保険の利用上限」の話と深く関わります。

介護型:建物内の職員が介護、介護費は定額に近い

介護型は、正式には「特定施設入居者生活介護(とくていしせつにゅうきょしゃせいかつかいご)」の指定を受けたサ高住です。むずかしい名前ですが、要はその建物にいる施設の職員が介護をしてくれるタイプ、と覚えてください。介護付き有料老人ホームと近い仕組みです。

費用の特徴は、介護サービス費が要介護度に応じた「定額に近い」かたちであることです。使った回数ごとに積み上がる一般型と違い、要介護度が決まればおおよその介護費の見通しが立ちやすい、という違いがあります。

月額のめやすは、約12〜25万円です(家賃・食費・介護費などを含む・めやす)。一般型より上のほうに幅があるのは、介護費が最初から含まれているためです。

介護型の職員配置は、介護・看護職員が入居者3人に対して1人以上(3対1)が基準とされています。建物内で介護を受けられるぶん、介護が必要になっても住み替えずに暮らしやすいのが、介護型のいちばんの安心材料です。

二つのタイプを並べて見る

言葉だけだと混乱しやすいので、要点を並べます。

  • 介護のしかた:一般型=外部の事業者から/介護型=建物内の施設職員から
  • 介護費の払い方:一般型=使った分だけ(従量制)/介護型=要介護度に応じた定額に近い形
  • 月額のめやす:一般型=約10〜20万円+外部の介護サービス費/介護型=約12〜25万円(介護費込み)
  • 向いている状態:一般型=自立〜介護が軽めの時期に費用を抑えたい/介護型=すでに介護が必要、または将来重くなっても同じ場所で暮らしたい

どちらが良い・悪いではなく、今の親の状態と、これから先の見通しで選ぶものだと考えてください。今はまだ元気でも、数年先に介護が重くなる可能性まで見据えると、選び方が変わってきます。

有料老人ホームとの違いと、どう使い分けるか

サ高住を調べていると、必ず「介護付き有料老人ホーム」という選択肢が並んで出てきます。似ているようで、出発点が違います。

大きな違いは二つです。一つは契約のかたち。サ高住は賃貸借契約が基本で、初期費用は敷金が中心。有料老人ホームは施設への入居契約で、入居一時金がかかる施設もあるという点です。もう一つは介護の付き方。サ高住の一般型は介護が「外付け」ですが、介護付き有料老人ホームは、介護型サ高住と同じく建物内の職員が介護を担います。

ざっくりした使い分けの考え方は、こうです。

  • まだ介護は軽く、自由度や初期費用の低さを重視するなら:サ高住の一般型が候補になりやすい。
  • すでに介護が必要、または重くなっても同じ場所で暮らしたいなら:サ高住の介護型、または介護付き有料老人ホームが候補になりやすい。

ただし、これはあくまで一般的な傾向です。同じ「サ高住」でも施設ごとに中身がかなり違うので、名前だけで判断せず、次にお話しする「介護が重くなったとき」の確認をしていただくのが確実です。

契約前にいちばん確かめたいこと:介護が重くなっても住み続けられるか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。サ高住を選ぶときに、費用の総額よりも先に確認していただきたいのが、**「介護が重くなったとき、ここに住み続けられるのか」**という点です。

なぜなら、多くのご家族が「見守りがあれば安心」とサ高住を選び、数年後に介護が重くなってから、住み替えを迫られて困る——という順番でつまずきやすいからです。せっかく慣れた住まいを、体が弱ってから移ることになるのは、本人にとってもご家族にとっても大きな負担です。

確認のしかたは、選んだタイプによって少し変わります。

一般型を検討している場合は、二つのことに注意してください。

一つ目は、介護保険の利用上限です。介護保険には、要介護度ごとに「1か月にここまでは保険が使えます」という上限額が決められています。これを**区分支給限度基準額(くぶんしきゅうげんどきじゅんがく)**といいます。名前は覚えなくて大丈夫です。大事なのは、この上限を超えて介護サービスを使うと、超えた分は全額自己負担になるということです(厚生労働省 区分支給限度基準額、2024年時点)。

一般型は介護を外部から「使った分だけ」受けるため、介護が重くなって必要なサービスが増えると、この上限に届き、超えた分の負担がふくらむことがあります。ですから、契約前に「もし要介護3や4になったら、月にいくらぐらいかかりそうか」を、ケアマネジャー(介護の計画をつくる専門職)に試算してもらうと、あとで慌てずに済みます。

二つ目は、その建物で重い介護まで支えきれるかです。一般型はあくまで住まいなので、24時間の介護や、たん吸引などの医療的なケアが必要になったとき、外部サービスだけで対応しきれず、結局は別の施設への住み替えが必要になる場合があります。

介護型を検討している場合は、建物内の職員が介護をしてくれるぶん住み続けやすいですが、それでも医療・看護の体制や、看取り(みとり)まで対応できるかは施設によって差があります。「介護型だから最後まで安心」と決めつけず、必要になりそうなケアが実際に受けられるかを確認してください。

いずれのタイプでも、見学のときに次のように具体的に尋ねてみてください。

  • 「介護が重くなったとき、退去をお願いされる基準はありますか?」
  • 「たんの吸引や胃ろうなど、医療的なケアが必要になっても住み続けられますか?」
  • 「夜間や急変時は、どういう体制で対応してもらえますか?」

なお、一般型では、同じ運営法人の訪問介護やデイサービスに利用が偏る「囲い込み」が指摘されることがあります。ケアプラン(介護の計画)は本来、必要なサービスを本人に合わせて組むものです。事業者を自由に選べるか、そのプランで自己負担がいくらになるかも、あわせて確認しておくと安心です。

敷金と退去のこと:入居一時金とは仕組みが違う

最後に、見落とされがちな「出ていくとき」の話です。

サ高住の初期費用の中心は敷金でした。この敷金は、退去のときに、原状回復(部屋を元の状態に戻すこと)などの費用を差し引いたうえで返還されるのが基本です。ふつうの賃貸住宅の敷金と同じ考え方です。有料老人ホームの入居一時金のように、入居期間に応じて少しずつ償却されていく(返ってこなくなっていく)仕組みとは異なります。

とはいえ、何がどこまで差し引かれるか、どういう条件で返還されるかは、契約書で決まっています。ここがあいまいだと、退去時に「思ったより返ってこなかった」というすれ違いが起きます。契約前に、次のことを確認しておきましょう。

  • 敷金は家賃の何か月分か
  • 退去時に差し引かれる範囲(清掃費・修繕費など)はどこまでか
  • どういう場合に退去が必要になるか(前の章の「重度化したとき」とも関わります)

また、家賃や食費は、介護保険の「負担限度額認定(所得の低い方の食費・居住費を軽くする制度)」の対象外です。一方で、介護費の自己負担には、所得に応じた月ごとの上限を設ける「高額介護サービス費」という仕組みがあり、上限を超えた分はあとで払い戻されます(厚生労働省 高額介護サービス費、2024年時点)。使えるかどうかは状況によりますが、こうした軽減の仕組みがあることも、頭の片隅に置いておいてください。

サ高住を検討するときの、現実的な進め方

ここまでの内容を、実際に動くときの順番でまとめておきます。

  1. 今の親の状態を確認する:まだ自立に近いのか、すでに要介護認定を受けているのか。これで一般型か介護型か、おおよその方向が決まります。
  2. 月に払える金額を決める:一般型なら約10〜20万円+介護費、介護型なら約12〜25万円がめやす。無理のない範囲を先に決めておくと、候補をしぼりやすくなります。
  3. 「重くなったとき」を必ず聞く:見学時に、退去の基準・医療的ケアの可否・夜間の体制を具体的に確認します。
  4. 契約書の敷金と退去のルールを読む:返還条件や差し引かれる範囲を、入居前に確かめます。
  5. 迷ったら専門家に相談する:地域包括支援センター(お住まいの地域の高齢者相談窓口)やケアマネジャーは、費用の試算や施設選びの相談に無料で乗ってくれます。

サ高住は、「まだ元気だけれど、ひとりは少し心配」という時期の親にとって、住み慣れた暮らしに近いまま見守りを足せる、心強い選択肢です。だからこそ、今の費用の安さだけでなく、数年先に介護が重くなったときのことまで見て選ぶと、あとから住まいを移す負担を減らせます。この記事の数字はすべてめやすで、施設ごとの差はとても大きいものです。気になる施設が見つかったら、その施設に直接、費用の内訳と「重くなったときの対応」を確かめることを、次の一歩にしてください。

よくある質問

サ高住の月額費用はいくらくらいですか?

めやすとして、外部の介護サービスを使う「一般型」は月額 約10〜20万円+使った分の介護サービス費、建物内の職員が介護する「介護型」は月額 約12〜25万円(家賃・食費・介護費などを含む)が一つの目安です。ただし立地や広さ、食事の回数で差が大きく、あくまで「めやす」とお考えください。

サ高住と有料老人ホームの違いは何ですか?

サ高住は賃貸住宅に近く、契約は建物賃貸借契約が基本で、初期費用は敷金(家賃の数か月分が一般的)が中心です。有料老人ホームは施設への入居で、入居一時金がかかる施設もあります。介護の受け方も、サ高住の一般型は外部サービス、介護型や介護付き有料は建物内の職員が担う点が違います。

サ高住に入るとき最初にいくらかかりますか?

一般型・介護型ともに、初期費用は敷金が中心で、家賃の数か月分が一般的なめやすです。有料老人ホームのような高額の入居一時金がかからないことが多いのが特徴です。金額は施設ごとに差があるため、見学時に必ず確認してください。

介護が重くなってもサ高住に住み続けられますか?

建物内の介護体制によります。介護型(特定施設)は施設職員が介護を提供するため住み替えずに暮らしやすい一方、一般型は外部サービスが基本で、要介護度が上がると介護保険の利用上限を超えた分が全額自己負担になることがあります。重度化・医療が必要になったときの対応は契約前に必ず確認しましょう。

サ高住を退去するとき、敷金は返ってきますか?

敷金は原状回復などの費用を差し引いたうえで返還されるのが基本です。ただし返還の条件や差し引かれる範囲は契約書で決まっているため、入居前に退去時の精算ルールを確認しておくと安心です。入居一時金とは仕組みが異なります。

夜間に急に具合が悪くなったとき、サ高住では対応してもらえますか?

対応の手厚さは、住まいによって大きく違います。サ高住の基本サービスは「安否確認」と「生活相談」で、多くの住まいには居室に緊急通報のボタンやセンサーがあり、異変があればスタッフや外部の警備会社につながる仕組みになっています。ただし、夜間にスタッフが常駐しているか、看護職員がいるか、提携する医療機関や救急への手配がどうなっているかは、住まいごとに差があります。とくに一般型は「住まい+見守り」が基本で、夜間の医療対応までは想定していないことも多いので、見学のときに「夜間はどなたが、どんな体制で対応してくれますか」「急変時はどこの病院へ運んでもらえますか」と具体的に確認しておくと安心です。

出典


本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。

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