資格・キャリア
介護施設の管理者・施設長になるには|仕事内容・必要な要件・キャリアの道すじ
現場で何年か介護を続けてきて、ふとこう思う瞬間があるのではないでしょうか。「この施設の運営を、もっとこうしたい」「後輩が働きやすい職場を、自分の手で作れたら」——あるいは、腰や体の負担、夜勤の重さを感じ始めて、「そろそろ、別の形で介護に関わる道はないだろうか」と。その先に見えてくる道のひとつが、施設の管理者や施設長です。
ここで、この記事だけの視点を先にひとつお伝えします。管理者・施設長というのは、「介護のプロとして、いちばん上手にケアをする人」がなる役職ではありません。むしろ、自分の手でケアをするのをいったん手放し、「ケアが続いていく仕組み」を守る側へ回る仕事です。だから、現場でどれだけ介助が上手かということと、良い管理者になれるかは、別の話。求められる力そのものが、現場とは変わるのです。ここを最初に押さえておくと、この記事の全体が、すっと入ってくるはずです。
この記事では、まず管理者・施設長が実際にどんな仕事をしているのかをやさしくお伝えします。そのうえで、多くの人がつまずく「なるための要件」を——これはサービスの種類によって大きく違います——順番に整理します。さらに、現場との違い、目指すメリットと大変さ、今日からできる準備まで、公的な情報をもとにお話しします。読み終わるころには、「自分にとって、この道は目指せそうか」の見当が、きっとつくはずです。
運営する側へ回る前に、押さえたい3つのこと

こまかい話に入る前に、この記事のいちばん大事なところを、3つだけ先にお伝えします。
- 管理者・施設長の仕事は、「直接ケアをする」から「ケアが続く仕組みを整える」へと変わります。 職員の育成、シフトや労務、施設の稼働や収支、行政対応、地域や家族との連携——人と経営を見る仕事が中心になります。
- なるための要件は、サービスの種類によってまったく違います。 デイサービスや訪問介護などは特定の資格が要らない一方、グループホームなど認知症対応型のサービスは所定の研修が必須。特別養護老人ホームの施設長にも要件があります。「介護の管理者になる要件はこれ」と一言では言えない、ということをまず知ってください。
- 給与が上がるかは職場の賃金規程しだいで、共通の公的平均はありません。 役職手当だけでなく、残業・兼務・休日対応まで含めて条件を確認する必要があります。
この3点を頭の隅に置いて、まずは「管理者・施設長とは、そもそも何をする人なのか」から見ていきましょう。
施設長・管理者とは、そもそも何をする人?

「施設長」「管理者」という言葉は聞いたことがあっても、毎日どんな仕事をしているのかは、意外と見えにくいものです。まずは、ここをはっきりさせておきましょう。
「施設長」と「管理者」は、同じ?違う?
まず、言葉の整理からです。この2つは、重なる部分も多く、現場では同じ意味で使われることもありますが、厳密には少しニュアンスが違います。
- 管理者(かんりしゃ):介護保険のサービスを運営するうえで、事業所ごとに「置きなさい」と法律で決められている責任者です。デイサービス、訪問介護、グループホームなど、サービスの種類ごとに「管理者を配置すること」が基準になっています。
- 施設長(しせつちょう):特別養護老人ホームのような「施設」の、いちばんの責任者を指す呼び方です。その施設全体の運営に責任を持つ、トップの立場です。
ざっくり言えば、「管理者」は制度上の役割の名前、「施設長」は施設のトップという立場の名前、というイメージです。小さな事業所では、管理者が実質的に施設長を兼ねることもあります。この記事では、両方をあわせて「運営を担う側の人」として、まとめてお話ししていきます。
仕事の中身は「5つの管理」
では、その運営を担う人は、毎日何をしているのでしょうか。仕事はとても幅広いのですが、大きく次の5つに整理すると分かりやすくなります。
- ① 職員の管理・育成:職員の採用、配置、育成、評価。新人が独り立ちできるよう教える仕組みを作り、職員一人ひとりの相談にのり、チームをまとめます。
- ② シフトと労務の管理:勤務表(シフト)を作り、夜勤や休みが偏らないように調整します。残業や有給休暇、働くルールが守られているかにも目を配ります。
- ③ 稼働と収支の管理:施設の利用者数(稼働)を安定させ、収入と支出のバランス(収支)を見ます。介護報酬の請求が正しく行われているかも確認します。ここが、いわゆる「経営」の部分です。
- ④ 行政への対応:都道府県や市町村への届け出、報告書の作成、法令にもとづく運営がされているかの確認、監査(行政のチェック)への対応などを担います。
- ⑤ 地域や家族との連携:利用者やそのご家族との窓口になり、要望や苦情に対応します。地域の医療機関やほかの事業所、自治会などとつながり、施設を地域に開いていきます。
こうして並べると、身体介護そのものよりも、「人」と「お金」と「外との関係」を見る仕事だということが、伝わるでしょうか。介助の技術というより、人をまとめる力、数字を読む力、外部と交渉する力が求められる立場です。
なぜ「管理者」を置くと決められているのか
「そもそも、なぜ事業所ごとに管理者を置かなければならないの?」と思うかもしれません。理由はシンプルで、利用者の安全とサービスの質に、責任を持つ人が必要だからです。
介護は、利用者の命と暮らしを預かる仕事です。もし責任の所在があいまいなまま運営されれば、事故が起きたとき、ケアの質が下がったとき、誰も責任を取れません。だからこそ、国は「この事業所の責任者はこの人です」と明確にするために、管理者の配置を求めています。管理者・施設長とは、いわばその施設のケアの質と安全を、最後に引き受ける人なのです。
いちばん大事な話:要件はサービスの種類で変わる

ここからが、この記事の核心です。「介護施設の管理者になるには、何が必要ですか?」——この問いに、ひとつの答えはありません。サービスの種類によって、要件がまったく違うからです。ここを知らずに調べ始めると、混乱してしまいます。
大きく分けると、要件は次の2つのタイプに分かれます。
- タイプA:特定の資格・研修が「要らない」サービス(デイサービス、訪問介護、有料老人ホームなど)
- タイプB:特定の資格・研修が「要る」サービス(グループホームなど認知症対応型サービス、特別養護老人ホームの施設長など)
この違いはとても大切なので、次の章から、タイプごとにていねいに見ていきます。
ここで、あらかじめお願いです。介護の制度は、しばしば改正されます。ここでお伝えする要件は、記事を書いた時点で確認できた一般的な内容です。実際に目指すときは、必ず、そのサービスの最新の基準を、都道府県の窓口や厚生労働省の情報で確認してください。 この記事は、全体像をつかむための地図として使っていただければと思います。
タイプA:特定の資格が要らないサービス(デイサービス・訪問介護など)

まず知って驚く方が多いのが、多くの介護サービスでは、管理者になるために特定の資格が法律上は求められていない、という事実です。
たとえば、デイサービス(通所介護)、訪問介護(ホームヘルプ)、有料老人ホームといったサービスでは、管理者に「これを持っていないとなれない」という国家資格や特定の研修は、原則として定められていません(厚生労働省の人員基準より)。
では、何が求められるのか
「資格が要らないなら、誰でもすぐなれるの?」というと、そう単純でもありません。資格の代わりに、次のような条件が基準になっています。
- 常勤(じょうきん)であること:管理者は、その事業所に常勤(フルタイムで勤務する働き方。人員基準では、おおむね週の所定労働時間が32時間以上などが目安とされます)で配置されるのが原則です。
- 管理業務に専念できること:管理者は、原則として管理の仕事に専念する(専従)ことが求められます。ただし、「運営に支障がない範囲」で、ほかの職務やほかの事業所の管理者を兼ねること(兼務)が認められる場合が多くあります。小さな事業所で、管理者が現場のケアも一部担いながら運営する、というのはこのためです。
つまりタイプAでは、**「資格」よりも「常勤で、その事業所の運営に責任を持って専念できること」**が問われる、ということです。
資格が要らなくても、現場経験が土台になる
ただ、制度上は資格が不要でも、実際には、現場の経験を積んだ人がステップアップして管理者になるのが自然な流れです。職員をまとめ、シフトを組み、ケアの質を守るには、現場を体で知っていることが、大きな支えになるからです。
介護福祉士(介護で唯一の国家資格)を持ち、リーダーや主任を経験してから管理者へ、というルートを歩む人が多くいます。資格そのものは要件でなくても、現場での信頼と実績が、管理者への一番の近道になる——タイプAは、そう理解しておくとよいでしょう。資格を段階的に取っていく道のりは、介護の資格ロードマップのページでくわしくまとめています。
タイプB:特定の資格・研修が要るサービス

一方で、「これを満たさないと管理者・施設長になれない」と、はっきり要件が決められているサービスもあります。代表的な2つを見ていきましょう。
グループホーム(認知症対応型サービス)の管理者
グループホーム(正式には「認知症対応型共同生活介護」。認知症の方が少人数で共同生活を送る住まい)の管理者になるには、決められた要件を満たす必要があります。認知症の方のケアには高い専門性が求められるため、国が特に要件を定めているのです。
具体的には、次の条件を満たすこととされています(厚生労働省の基準より)。
- 3年以上、認知症の方の介護に従事した経験があること。
- 「認知症介護実践者研修」を修了していること。 これは、認知症ケアの実践的な知識と技術を学ぶ研修です。
- 「認知症対応型サービス事業管理者研修」を修了していること。 これは、認知症対応型サービスの事業所を管理・運営するための知識を学ぶ、管理者向けの研修です(各都道府県が実施します)。
これらの研修は、それぞれ日数や受講料が決まっており、都道府県が実施しています。「グループホームの管理者を目指したい」と思ったら、まず認知症介護の経験を積みながら、これらの研修を計画的に受けていくことになります。なお、こうした認知症対応型のサービスでは、管理者だけでなく、事業所を開く「開設者」にも別の研修が求められるなど、細かな仕組みがあります。正確な要件は、お住まいの都道府県の案内で確認してください。
特別養護老人ホームの施設長
特別養護老人ホーム(常時介護が必要な方が長く暮らす公的な施設。以下「特養」)の施設長にも、資格要件が定められています。特養は、社会福祉法にもとづく「社会福祉施設」にあたるため、その長には一定の基準が求められるのです。
国の通知(社会福祉施設の長の資格要件について)では、施設長は、おおむね次のいずれかに当てはまる者、とされています。
- 社会福祉主事(しゃかいふくししゅじ)の資格を持つ要件を満たす者。 社会福祉主事とは、福祉の相談援助などにあたる公的な任用資格の一種です。
- 社会福祉事業に、一定期間(2年以上など)従事した経験がある者。
- 厚生労働大臣が指定する「社会福祉施設長資格認定講習会」を修了した者。 これは、施設運営に必要な知識を学ぶための講習で、全国社会福祉協議会(全社協)の中央福祉学院などが実施しています。通信での学習とスクーリング(通学)を組み合わせた、数か月〜1年ほどの内容です。
つまり特養の施設長は、福祉の資格・経験があるか、所定の講習を修了しているかが問われる立場です。現場からステップアップして特養の施設長を目指す場合、この講習の受講が、現実的な道のひとつになります。
要件のちがいを、表で整理
ここまでの内容を、表にまとめておきます。ただし、これは全体像をつかむための整理であり、細かな条件や例外は必ず最新の基準で確認してください。
| サービスの例 | 管理者・施設長の要件(めやす) |
|---|---|
| デイサービス(通所介護) | 特定の資格は原則不要。常勤で管理業務にあたることなどが基準 |
| 訪問介護 | 特定の資格は原則不要。常勤で管理業務にあたることなどが基準(兼務が認められる場合あり) |
| 有料老人ホーム | 特定の資格は原則不要(施設の種類・自治体の基準による) |
| グループホーム(認知症対応型) | 3年以上の認知症介護経験+認知症介護実践者研修+認知症対応型サービス事業管理者研修の修了 |
| 特別養護老人ホーム(施設長) | 社会福祉主事の要件/社会福祉事業への一定の従事/社会福祉施設長資格認定講習会の修了 のいずれか |
この表からも分かるとおり、「介護の管理者になるには、まずこの資格」と一本道で言えるものではありません。だからこそ、あなたが目指すサービスの種類を先に決め、そのサービスの要件を調べることが、遠回りに見えて、いちばん確実な進み方になります。
現場職と、ここが変わる

要件の話が続いたので、あらためて「管理者・施設長になると、日々がどう変わるのか」を、現場との対比で見ていきましょう。ここは、進むかどうかを考えるうえで、いちばん大切なところかもしれません。
冒頭でお伝えした視点を、もう一度。管理者・施設長は、自分の手でケアをするのを手放し、「ケアが続く仕組み」を守る側へ回る仕事です。この変化を、表にすると次のようになります。
| くらべる点 | 現場の介護職 | 管理者・施設長 |
|---|---|---|
| 仕事の中心 | 身体介護・生活援助(体を使うケア) | 職員・シフト・収支・行政対応(人と経営を見る仕事) |
| 利用者との関わり方 | 毎日、直接お世話をする | 全体を見わたし、間接的に支える |
| 体への負担 | 身体介護で腰・体に負担がかかりやすい | 身体的な負担は比較的軽い(そのぶん精神的な責任が重い) |
| 大きな心配ごと | 目の前のケアをどう良くするか | 施設全体をどう安定して回すか |
| 評価されること | ケアの丁寧さ・現場での信頼 | 職員が定着し、経営が安定し、事故がないこと |
ここで、誤解してほしくないことがあります。それは、「どちらが上」ということではないという点です。利用者に直接触れ、日々のお世話でその人を支える現場の仕事には、管理者にはできない尊さがあります。管理者・施設長は、その現場を「別の角度から支える」役割です。
そして、正直にお伝えすべきことがあります。役割が変わることで、「利用者と直接関わる時間が減って、さみしい」と感じる人もいます。ケアが好きで介護の道に入った人ほど、そう思うのは自然なことです。管理者になることは、「出世」であると同時に、「これまで大好きだった現場のケアから、少し離れる」ことでもある——この両面を知ったうえで、自分はどちらのやりがいに、より心が動くかを考えてみてください。この点は、施設タイプ別の「働き方」を比べるページで、それぞれの現場の実際を見比べながら考えると、イメージがつかみやすくなります。
目指すメリットと、背負う大変さ

進むかどうかを決めるには、良い面も、大変な面も、両方を知っておくことが大切です。ここでは、その両方を正直にお伝えします。
メリットになり得るもの:給与と裁量(自分で決められる範囲)
管理者・施設長を目指す大きな魅力は、主に2つあります。
ひとつは、給与が上がる可能性です。役職手当を設ける職場はありますが、厚生労働省の介護従事者給与調査には、全サービス共通の「施設長・管理者」という集計区分がありません。そのため、「管理者なら全国平均でいくら」「現場職より必ず高い」とは言えません。
昇格の打診を受けたら、基本給と役職手当だけでなく、管理監督者としての扱い、時間外手当、現場との兼務、休日・夜間の連絡対応、賞与の算定基礎を確認してください。責任が増えるのに年収や休みがほとんど変わらないケースもあり得ます。給与全体の仕組みは、介護の資格ロードマップも参考にしてください。
もうひとつのメリットが、**裁量(さいりょう)**です。裁量とは、「自分の判断で決められる範囲」のこと。管理者・施設長になると、「どんなケアの方針でいくか」「どう職員を育てるか」「どんな職場の雰囲気を作るか」を、自分の考えで動かせる部分が大きくなります。「現場でこうしたら良くなるのに」と感じてきたことを、自分の手で形にできる——これは、現場職では味わいにくい、大きなやりがいです。
大変さ:責任の重さ
一方で、その裏側には、責任の重さがあります。ここは、きれいごとを言わずにお伝えします。
管理者・施設長は、その施設で起こることの、最後の責任を負う立場です。利用者の事故、職員の労務トラブル、経営の悪化、行政からの指摘——こうした場面で、矢面に立つのは管理者です。夜中に施設から連絡が入ることもあり、心が休まりにくい、と感じる人もいます。
また、「職員」と「経営」と「利用者・家族」の間で、板ばさみになることもあります。職員はもっと人を増やしてほしい、でも経営は簡単ではない、家族からは高い要望が寄せられる——そのすべてに向き合い、折り合いをつけていくのが、この仕事の難しさです。
だからこそ、繰り返しになりますが、メリットと大変さは、いつも一組です。給与や裁量という「得られるもの」と、責任という「背負うもの」を、両方ふまえたうえで、「それでも、この役割をやってみたい」と思えるかどうか。そこが、進む・進まないの分かれ目になります。
管理者・施設長を目指すなら、今日からできること

「いつか運営する側に回りたい」と思ったとき、今日から始められる準備があります。難しく考えず、できることから一つずつ進めていきましょう。
- まず、目指すサービスの種類を考える。 デイサービスか、訪問介護か、グループホームか、特養か——サービスによって要件がまったく違うので、ここが出発点です。今いる職場の種類から考え始めても構いません。
- そのサービスの要件を、早めに調べる。 タイプA(資格が要らない)なら現場経験を土台に、タイプB(研修などが要る)なら必要な研修や講習を確認します。制度は変わるので、都道府県の窓口や厚生労働省の情報で、最新のものを確認してください。
- 現場で、リーダー・主任の経験を積む。 資格が要件でないサービスでも、人をまとめ、シフトを組み、後輩を育てた経験は、管理者になったとき、そのまま力になります。小さな「まとめ役」から始めてみましょう。
- 必要な資格・研修を、逆算して取り始める。 グループホームなら認知症介護実践者研修から、特養なら施設長資格認定講習会を視野に。介護福祉士など、土台になる資格を取っておくのも有効です。
- 職場の支援制度や、上司への相談を活用する。 「将来、管理の仕事に関わりたい」と上司に伝えておくと、育成の機会をもらえることがあります。研修費用の補助制度がある職場も少なくありません。まず「使える制度はありますか」と聞いてみましょう。
大切なのは、いきなり完璧な計画を立てることではありません。「自分が目指すサービスの要件を、一つ調べてみる」——それだけで、道のりは動き始めます。
運営する側の道を、選ぶあなたへ

この記事の要点を、もう一度ふり返ります。
- 管理者・施設長の仕事は、職員の管理・育成、シフトや労務、稼働や収支、行政対応、地域や家族との連携。現場の身体介護から、「人と経営を見る仕事」へと軸足が移ります。
- なるための要件は、サービスの種類でまったく違います。デイサービス・訪問介護などは特定の資格が原則不要、グループホームなど認知症対応型は所定の研修が必須、特養の施設長にも要件があります。必ず、目指すサービスの最新の基準を確認してください。
- 役職手当がついたり、裁量(自分で決められる範囲)が広がったりするのがメリット。ただし、全サービス共通の公的な給与平均はなく、責任が増えても年収がほとんど変わらないこともあるため、条件は書面で確認を。責任の重さという大変さと、いつも一組です。
- どちらが上ということではなく、自分がどのやりがいに心が動くかで考えることが、後悔しない選択につながります。
この記事を通してお伝えしてきた芯を、あらためて。管理者・施設長は、いちばん上手にケアをする人がなる役職ではなく、「ケアが続いていく仕組み」を守る側へ回る仕事です。あなたが現場で磨いてきた、利用者を思う気持ちや、丁寧なケアの感覚は、決して無駄にはなりません。それは、「どんな施設にしたいか」を描くときの、いちばん確かな土台になります。手を動かしてケアをするあなたから、その手が動き続けられる場所を守るあなたへ——その役割の変化を、少しでも前向きに考えられたなら、うれしく思います。
動き出すなら、まずは小さな事実確認から。今いる職場が、どのサービスの種類にあたるのか。その管理者には、どんな要件があるのか。それを一つ調べてみることが、今日できる最初の一歩です。運営側に近い資格の道すじを確かめたいときは介護の資格ロードマップを、相談・調整の専門職という別の道も気になるならケアマネジャー(介護支援専門員)になるにはを、あわせてのぞいてみてください。あなたのこれからの歩みを、心から応援しています。
よくある質問
介護施設の施設長・管理者になるには、資格は必要ですか?
サービスの種類によって違う、というのが正確な答えです。デイサービス(通所介護)や訪問介護、有料老人ホームなどの多くのサービスでは、管理者になるために特定の資格は法律上は求められていません(原則として資格は不問で、常勤で配置されることなどが基準です)。一方で、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)のような認知症対応型のサービスでは、決められた研修の修了が必要です。また、特別養護老人ホームの施設長には、社会福祉主事の要件を満たすことや、所定の講習の修了といった要件が定められています。目指すサービスの種類ごとに、都道府県や国の最新の基準を確認するのが確実です。
サービスによって、管理者の要件はどう違うのですか?
大きく分けると、「特定の資格・研修が要らないサービス」と「要るサービス」があります。前者は、デイサービス・訪問介護・有料老人ホームなど。管理者は原則として資格不問で、常勤で管理業務にあたることなどが基準です。後者の代表がグループホームなどの認知症対応型サービスで、「3年以上の認知症介護の実務経験」に加えて「認知症介護実践者研修」「認知症対応型サービス事業管理者研修」の修了が必要とされています。特別養護老人ホームの施設長にも、社会福祉主事の要件・一定の従事経験・所定の講習修了のいずれか、という要件があります。細かな条件は制度改正で変わるため、必ず最新の情報を確認してください。
管理者・施設長になると、現場の仕事とはどう変わりますか?
いちばん大きな変化は、「直接ケアをする仕事」から「ケアが続く仕組みを整える仕事」へと、役割そのものが変わることです。食事・入浴・排せつの介助といった身体介護(体に直接触れる介護)の時間は減り、代わりに、職員の採用・育成やシフト作り、労務管理、施設の稼働や収支の管理、行政への届け出、地域や利用者家族との連携などが仕事の中心になります。人と経営を見る仕事へと軸足が移る、と考えると分かりやすいです。求められる力そのものが、現場とは変わります。
管理者・施設長になると、給料は上がりますか?
必ず上がるとは限りません。公的な介護従事者の給与調査には、すべてのサービスに共通する「施設長・管理者」という集計区分がないため、全国平均として一つの金額は示せません。管理職手当が付いても、残業代の扱いや現場との兼務、賞与の算定方法で年収は変わります。昇格前に、基本給、役職手当、固定残業、賞与、休日の連絡対応を含む労働条件を書面で比べてください。
現場の経験が浅くても、管理者は目指せますか?
サービスの種類によります。特定の資格・研修が要らないサービスなら、制度上は経験年数の縛りが管理者にかからない場合もあります。ただ、実際には、職員をまとめ、ケアの質と経営の両方を守る立場である以上、一定の現場経験を土台にステップアップしていく人が多数です。一方、グループホームなどは「3年以上の認知症介護の実務経験」が要件に含まれます。まずは現場で力をつけながら、目指すサービスの要件を早めに調べ、逆算して準備を進めるのが現実的です。
管理者は、現場のケアと兼務することはできますか?
サービスによりますが、多くのサービスでは「事業所の運営に支障がない範囲」で、ほかの職務や別の事業所の管理者を兼ねること(兼務)が認められています。とくに小規模な事業所では、管理者が現場のケアも一部担いながら運営する、という形は珍しくありません。一方で、管理業務に専念(専従)することが原則とされ、兼務に条件がつくサービスもあります。「管理者になったら現場を完全に離れる」とは限らず、逆に「ずっと現場と兼務できる」とも限りません。目指すサービスの人員基準で、専従・兼務の扱いがどう定められているかを確認しておくと、入職後のギャップを防げます。
出典
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(各サービスの管理者・人員基準) (平成11年厚生省令第37号)
- 厚生労働省「社会福祉施設の長の資格要件について」(施設長の資格要件) (昭和53年)
- 厚生労働省 老健局「認知症対応型サービス事業管理者研修」ほか(認知症対応型サービスの管理者要件)
- 厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」 (2024年度(令和6年度))
- 公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働実態調査」 (2024年度(令和6年度))
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。
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