給料・待遇
介護職は有給休暇を取れる?|法律で決まった権利と、取りにくいときの対処
「有給、取りたいけど……この人手で言い出せる雰囲気じゃない」。シフト表を見ながら、そう思ったことはありませんか。自分が一日抜けたら、その分だれかにしわ寄せがいく。フロアが回らなくなるかもしれない。そう考えると、休みたいと言うこと自体が、なんだか申し訳なくなってくる——。介護の現場で働く多くの人が、この後ろめたさを抱えています。
でも、ここで立ち止まって考えてみてほしいのです。「有給なんて取れない」という職場の空気は、当たり前のものなのでしょうか。 この記事だけの視点を、先にひとつお伝えします。それは、「取れないのが普通」という感覚は、あくまで“現場の空気”であって、“法律のルール”ではない、ということです。法律の側から見れば、有給休暇はあなたに保障された権利で、会社はそれを取らせなければならない立場にあります。この「空気」と「ルール」のズレを知ることが、あなたが抱えている後ろめたさを、そっと手放すための第一歩になります。
この記事では、有給休暇とは何なのか、なぜあなたに取る権利があるのかを、法律の言葉を使わずにやさしくお伝えします。そのうえで、パートや非常勤の人にも有給があること、2019年から始まった「年5日は必ず取らせる」というルール、そして介護の現場でそれでも取りにくいときの、具体的な伝え方まで、順に見ていきます。読み終わるころには、「有給を取りたい」という気持ちに、もう後ろめたさは必要ないと、きっと思えるはずです。
まず伝えたい、たったひとつのこと

こまかい話に入る前に、この記事でいちばん覚えて帰ってほしいことを、先にお伝えします。
有給休暇は、あなたの「権利」です。 お願いして分けてもらうものでも、職場の好意で特別にもらうものでもありません。働く人なら当然に手に入る、法律で守られた権利です。
「人手が足りないから」「みんな我慢しているから」——そういう理由で、この権利がなくなることはありません。あなたが有給を取ることに、本来、後ろめたさを感じる必要はないのです。むしろ、心と体を休めて、また元気に働くために、法律がわざわざ用意してくれた仕組みです。
もちろん、頭ではそう分かっていても、実際の現場で言い出すのは簡単ではない——その気持ちも、よく分かります。だからこの記事では、「権利だから当然だ」と正論を振りかざすだけで終わらせません。まずは権利の中身を正しく知り、そのうえで、介護の現場という現実のなかで、どう取っていけばいいかを一緒に考えていきます。
まずは、その「権利」の中身から、ていねいに見ていきましょう。
有給休暇って、そもそも何?

「有給休暇」という言葉はよく聞くけれど、正確なところはあいまい——そんな方も多いかもしれません。ここで、基本をおさえておきましょう。
「休んでも、給料が減らない休み」のこと
有給休暇は、正しくは**年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか)**といいます。名前が長いので、ふだんは「有給」「年休(ねんきゅう)」と呼ばれます。
意味はシンプルです。**「休んでも、その日の給料が減らない休み」**のこと。ふつう、仕事を休めばその分の給料は出ませんが、有給休暇を使えば、休んでもいつもどおり給料がもらえます。体調を整えたり、用事をすませたり、ただゆっくりしたり——理由は何でも構いません。
この仕組みは、**労働基準法(ろうどうきじゅんほう)**という、働く人を守るための国の法律で定められています。会社のルール(就業規則)で決めているのではなく、法律そのもので保障されている、というのが大事なところです。だから、職場が「うちには有給はない」と言うことは、そもそもできません。
なぜ、法律でわざわざ決めているのか
「休みくらい、わざわざ法律で決めなくても」と思うかもしれません。でも、法律であえて定めているのには、理由があります。
働く人が心と体の疲れを回復し、また元気に働けるようにする——それが、有給休暇の目的です。休みなく働き続ければ、だれでもいつか倒れてしまいます。特に介護のように、体も心も使う仕事では、意識して休むことがとても大切です。
厚生労働省も、有給休暇を「労働者が心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を送るための制度」と位置づけています。つまり、あなたが有給を取って休むことは、わがままでも甘えでもなく、法律が「そうしてください」と後押ししていることなのです。
なぜ、あなたに「取る権利」があるのか

有給休暇が権利だとして、では、どういう人が、どれくらいもらえるのでしょうか。ここが分かると、「自分にはどれくらいの権利があるのか」が具体的に見えてきます。
もらえる2つの条件
有給休暇は、次の2つの条件を満たすと、法律上「当然に」与えられます。会社の許可やハンコは必要ありません。
- 入社してから6か月以上、続けて働いていること。
- その6か月の間に、働くはずだった日の8割以上、出勤していること。
この2つを満たせば、6か月がたった時点で、最初の有給休暇がもらえます。ふつうに勤めて、ふつうに出勤していれば、まず問題なくクリアできる条件です。
勤続年数が長いほど、日数は増えていく
では、何日もらえるのでしょうか。フルタイム(週5日など、いわゆる常勤)で働く人の場合、勤めた年数に応じて、次のように増えていきます。
| 続けて働いた期間 | もらえる有給の日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
(厚生労働省「確かめよう労働条件」より。いずれも、その期間に8割以上出勤していることが条件です。)
はじめは10日から。長く勤めるほど増えていき、6年半を超えると、毎年20日——つまり月に1〜2日は有給で休める計算になります。**「長く介護を続けてきた人ほど、休む権利も大きく育っている」**ということです。もし自分が今どれだけ有給を持っているか分からなければ、給与明細や、会社に確認すれば教えてもらえます。
使わなかった有給は、2年で消える
もうひとつ知っておきたいのが、有給の「期限」です。その年に使いきれなかった有給は、翌年にくり越せますが、2年たつと時効で消えてしまいます。
「忙しくて、気づいたら有給がたまっていた」という人は多いのですが、ためこんだままだと、せっかくの権利が消えていくことになります。年20日もらえる人が、毎年5日しか使わなければ、残りはどんどん時効で消えていく——これは、とてももったいないことです。だからこそ、「取れるうちに、少しずつでも取る」という意識が大切になります。
「パートだから有給はない」は、大きな誤解

有給休暇について、いちばん多い誤解が、これです。「自分はパート(非常勤)だから、有給なんてないだろう」——そう思い込んで、あきらめている人がとても多いのです。
でも、これははっきり誤解です。パートでも、アルバイトでも、非常勤でも、有給休暇はあります。
働く日数に応じて「比例して」もらえる
働く日数が少ない人には、その日数に応じた分の有給が与えられます。これを**比例付与(ひれいふよ)**といいます。「働いている割合に応じて、比例して分けられる」という意味です。
たとえば、週の勤務日数ごとに、入社6か月時点でもらえる日数は、次のようになります。
| 週に働く日数 | 入社6か月でもらえる有給 |
|---|---|
| 週4日ほど | 7日 |
| 週3日ほど | 5日 |
| 週2日ほど | 3日 |
| 週1日ほど | 1日 |
(厚生労働省「確かめよう労働条件」より。8割以上出勤が条件。勤続年数が延びれば、この日数も増えていきます。)
週3日のパート勤務でも、半年働けば5日分の有給がもらえるのです。「パートだから権利がない」のではなく、「働いた分だけ、ちゃんと権利がある」——これが正しい理解です。
なお、パート契約でも、週の労働時間が長かったり、週5日相当で働いていたりする場合は、フルタイムの人と同じ日数の有給がもらえます。「短時間だけどほぼ毎日出ている」という人は、正社員と同じ扱いになることもある、と覚えておいてください。
2019年から変わった、「年5日は必ず」というルール

有給休暇をめぐっては、近年、大きなルール変更がありました。これは、有給を取りにくいと感じているあなたにとって、心強い味方になる話です。
会社が「取らせる」義務を負うようになった
かつては、有給を取るか取らないかは、基本的に働く人まかせでした。だから「取れる権利はあるけれど、実際にはほとんど取れていない」という職場が、たくさんありました。
そこで国は、2019年(平成31年)4月から、新しいルールを始めました。それが、**「年5日の取得義務」**です。
内容はこうです。年に10日以上の有給が与えられる人については、そのうち少なくとも5日を、会社(使用者)が責任をもって取らせなければならない——というものです。ポイントは、義務を負うのが「働く人」ではなく「会社」だ、という点です。
つまり、「本人が取らないから、有給が消えていく」という状況を、国が「それはダメです、会社がきちんと取らせなさい」と改めた、ということです。10日以上有給がある人なら、正社員でも、条件を満たすパートでも、対象になります。
取らせなければ、会社に罰則がある
このルールには、しっかりとした後ろ盾があります。もし会社が年5日を取らせなかった場合、労働基準法にもとづき、30万円以下の罰金という罰則の対象になることがあります(厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得」)。
これは、あなたにとって何を意味するでしょうか。「有給を取りたい」というあなたの希望は、今や、法律が会社に守らせているものだ、ということです。「休ませてほしい」とお願いする立場ではなく、「取らせるのが会社の義務」なのです。
もちろん、罰則をふりかざして職場と対立してほしい、という話ではありません。ただ、「有給を取りたい」と口にすることが、決してわがままではなく、法律にきちんと支えられた当然のことなのだ——そう知っておくだけで、気持ちはずいぶん軽くなるはずです。
それでも、介護現場で取りにくいのはなぜ?

ここまで読んで、「権利があるのは分かった。でも、現場ではやっぱり取りにくいんだよ」と感じている方も多いと思います。その感覚は、決して気のせいではありません。介護ならではの、取りにくい事情が確かにあるのです。
シフトと人手が、有給を取りにくくする
介護の現場が有給を取りにくいのには、大きく2つの理由があります。
ひとつは、シフト制であること。介護は、利用者さんの暮らしを24時間・365日支える仕事です。だれかが休めば、そのシフトを別のだれかが埋めなければなりません。工場のラインのように「今日は生産を止める」というわけにはいかないのです。だから、一人が休むことの影響が、ほかの職種より見えやすくなります。
もうひとつは、慢性的な人手不足です。ただでさえ人が足りないなかで働いているので、「自分が休んだら、残った人がもっと大変になる」という気持ちが強くなります。責任感のある人ほど、この思いから、有給を言い出せなくなってしまいます。
「取りにくい」のは、あなたのせいではない
ここで、はっきりお伝えしたいことがあります。有給が取りにくいのは、あなたの心がけの問題ではなく、職場の体制の問題です。
本来、だれかが有給で休んでも回るように人を配置しておくのは、職場の役目です。それがうまくいっていないから、しわ寄せが現場の一人ひとりに来てしまう。つまり、あなたが後ろめたさを感じる必要は、本当はないのです。休めない空気をつくっているのは、あなたではありません。
このあたりの「人手不足のなかで無理を抱え込んでしまう構造」については、介護の仕事がきつい・つらいと感じるときのページでもくわしく触れています。有給が取りにくいと感じる背景には、この記事で扱っている「きつさ」と同じ根っこがあります。
大切なのは、この現実を前に「だから仕方ない」とあきらめるのではなく、「取りにくい現場でも、取るための工夫はある」と知ることです。次の章で、その具体的な方法をお伝えします。
取りにくい職場で、それでも有給を取るための考え方

権利があると分かっていても、実際に取るには、少しのコツと勇気がいります。介護の現場という現実のなかで、角を立てずに有給を取っていくための、具体的な考え方をお伝えします。
コツ1:とにかく「早めに」伝える
いちばん効くのが、これです。できるだけ早く、シフトが組まれる前に申し出ること。
シフトが確定したあとに「この日を休みたい」と言うと、組み直しが必要になり、職場も身構えてしまいます。でも、シフトを組む前の段階で「来月のこのあたりで1日いただきたいのですが」と伝えておけば、職場は最初から人の手配を計算に入れられます。早めの一言が、お互いの負担を減らし、取りやすさを大きく変えます。
コツ2:理由は、細かく言わなくていい
「有給の理由を、どう説明しよう」と悩む人は多いのですが、ここは肩の力を抜いて大丈夫です。有給を取るのに、理由を細かく説明する義務は、法律上ありません。
「私用のため」「家庭の都合で」——これで十分です。通院なのか、旅行なのか、ただ休みたいのか、正直に事情を話す必要はありません。もちろん、話しやすい職場なら軽く伝えても構いませんが、「言いたくないことは言わなくていい」と知っておくだけで、申し出のハードルはぐっと下がります。
コツ3:日にちに「幅」をもたせて相談する
「どうしてもこの1日でなければ困る」という用事でなければ、日にちに幅をもたせて相談すると、うまくいきやすくなります。
たとえば「来週のどこかで1日休めたら助かるのですが、いつがいちばんご迷惑になりませんか」と聞いてみる。こう伝えると、職場も「じゃあ、この日なら」と調整しやすくなります。会社には、事業がどうしても回らないときに休む日をずらしてもらうよう頼む権利(時季変更権)がありますが、これはあくまで「日にちの調整」であって、「取らせない」ことではありません。幅をもたせた相談は、その調整をスムーズにする、賢い伝え方です。
コツ4:まず1日から、少しずつ取ってみる
「まとめて連休を取りたい」と考えると、言い出すのに勇気がいります。でも、まずは1日から始めてみてください。
平日のなかの1日、あるいはもともと休みの日にくっつけて1日——小さな有給を取ることに慣れていくと、だんだん申し出やすくなります。そして、あなたが取ることで、ほかの人も「取っていいんだ」と思えるようになる。有給を取りやすい職場は、そうやって一人ひとりの小さな一歩からできていきます。あなたの1日が、職場の空気を少しずつ変えていくのです。
どうしても取れないときは、相談窓口へ
早めに、幅をもたせて、理由も言わずに申し出た。それでも「絶対に取らせない」という対応をされる——もしそんな状況が続くなら、それは職場の側に問題があります。
そのときは、無料で相談できる公的な窓口があります。労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ)や、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーでは、有給を取らせてもらえないといった働き方の悩みを、無料で相談できます。一人で抱え込まず、こうした窓口の力を借りることも、自分を守る大切な選択です。
有給を取りやすい職場かどうか、見分けるヒント

今の職場でどうしても有給が取れず、転職を考えている——という方もいるかもしれません。次の職場では、有給が取りやすいところを選びたいですよね。ここでは、応募や面接の段階で、取りやすさを見分けるヒントをお伝えします。
面接で「有給の実績」を聞いてみる
いちばん確実なのは、面接や見学のときに、直接たずねることです。聞き方の例をいくつか挙げます。
- 「有給休暇の取得実績は、どのくらいですか」
- 「みなさん、だいたい年に何日くらい取られていますか」
- 「有給は、希望どおりに取りやすい雰囲気でしょうか」
こうした質問をするのは、失礼にはあたりません。働く条件をきちんと確認する、まじめな姿勢として受け止められます。むしろ、こういう質問にきちんと答えられるかどうかで、職場の姿勢が見えてきます。
有給を取りやすい職場なら、「うちは年に○日くらいは取れていますよ」「連休を取って旅行に行くスタッフもいますよ」と、具体的な数字や実例がすっと返ってきます。逆に、言葉をにごされたり、「うちは忙しいから、なかなか難しくてね」と言われたりする場合は、少し注意したほうがよいサインかもしれません。
「年5日」を答えられるかは、ひとつの目安
先ほどお伝えしたとおり、今は「年10日以上ある人には、会社が最低5日は取らせる」ことが法律上の義務です。ということは、まともに運営している職場なら、「最低でも年5日はみなさん取っていますよ」と当たり前に答えられるはずなのです。
この質問にあいまいな答えしか返ってこない職場は、法律で決められた最低ラインすら、きちんと守れていない可能性があります。「年5日、みんな取れていますか」——このシンプルな質問が、職場の健全さをはかる、ひとつの物差しになります。
職場選びそのものの進め方については、転職の進め方(後悔しない職場の選び方)のページで、確認すべきポイントを順にまとめています。有給の取りやすさも、この「後悔しない選び方」の大事な一項目として、あわせてチェックしてみてください。
なお、有給の消化率や休みやすさは、給料と同じくらい「働きやすさ」を左右する要素です。目先の給料だけでなく、こうした休みの取りやすさも含めて職場を比べたい方は、介護職の給料の実際のページで、待遇全体の見方も確認しておくとよいでしょう。
世の中全体でも、有給は「取る」流れになっている
最後に、心強いデータをひとつ。厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、日本全体の有給休暇の取得率(もらった有給のうち、実際に取れた割合)は、近年、着実に上がってきています。かつては5割ほどでしたが、直近では過去最高の66.9%(令和6年の状況・令和7年調査)まで上昇しました。この10年ほどで、働く人全体の有給の取り方が、はっきりと変わってきているのです。
これは、「年5日の取得義務」をはじめとする国の後押しが、少しずつ効いてきている証拠です。「有給は取りにくいもの」という時代の空気そのものが、世の中全体で変わりつつある——この大きな流れは、介護の現場にも、これから確実に届いていきます。あなたが有給を取ることは、その流れの先を行く、まっとうな行動なのです。
この記事のまとめ

最後に、大切なところを振り返ります。
- 有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法で保障された、働く人すべての権利。介護職も、人手不足の職場も、例外ではありません。
- 入社6か月+8割以上の出勤で、最初の有給がもらえ、勤続とともに増えていく(6年半以降は年20日)。使わないと2年で消えます。
- パート・非常勤でも、働いた日数に応じて有給はもらえる(比例付与)。「パートだからない」は誤解です。
- 2019年4月から、年10日以上ある人には、会社が最低5日を取らせる義務があり、守らないと会社に罰則がある。あなたの「取りたい」を、法律が後押ししています。
- 取りにくいのは、あなたのせいではなく職場の体制の問題。早めに・理由は細かく言わず・日にちに幅をもたせて申し出るのがコツ。取れないときは相談窓口へ。
- 次の職場を選ぶなら、面接で有給の取得実績を聞くのがいちばん。「年5日、みんな取れていますか」は、職場の健全さの物差しになります。
いちばん覚えて帰ってほしいのは、やはりこの一点です。「有給なんて取れない」という職場の空気は、あくまで“現場の空気”であって、“法律のルール”ではありません。 ルールの側から見れば、有給はあなたの権利で、会社はそれを取らせる立場にあります。この事実を知ることが、あなたが長いあいだ抱えてきた後ろめたさを、そっと手放すきっかけになります。
有給を取ることは、逃げでも、わがままでもありません。また明日、笑顔で利用者さんの前に立つための、大切な立て直しです。まずは、来月のどこかに1日、自分のための休みを思い描いてみてください。その小さな一歩を、法律も、時代の流れも、ちゃんとあなたの背中を押してくれています。
よくある質問
介護でも、有給休暇は取れますか?
はい、取れます。有給休暇(正しくは年次有給休暇)は、労働基準法という法律で保障された、働く人すべての権利です。介護職だから取れない、人手が足りないから取れない、ということは法律上ありません。会社(使用者)は、事業がまわらなくなるような特別な事情があるときに休む「日にち」をずらしてもらうよう頼むこと(時季変更権)はできますが、「取らせない」ことはできません。「忙しいから」という理由だけで断るのは、認められていません。まずは「有給は取れて当たり前のもの」と知ることが、第一歩です。
パートや非常勤でも、有給休暇はありますか?
あります。「正社員だけのもの」という誤解が多いのですが、パートやアルバイト、非常勤でも、働いた日数に応じて有給休暇が与えられます。これを「比例付与(ひれいふよ)」といいます。たとえば週3日ほど働く人なら、入社して6か月たった時点で5日分の有給がもらえます(全労働日の8割以上出勤している場合)。働く日数が多いほど、もらえる有給の日数も増えます。「パートだから有給はない」とあきらめる必要はまったくありません。
「年5日の取得義務」とは、どういう意味ですか?
2019年(平成31年)4月から、年に10日以上の有給が与えられる人については、そのうち年5日を必ず取らせることが、会社(使用者)の義務になりました。つまり「取るか取らないかは本人の自由」ではなく、「会社が責任をもって、最低でも5日は取らせなければならない」というルールです。もし取らせなかった場合、会社には労働基準法にもとづく罰則(30万円以下の罰金)の対象になることがあります。これは、あなたが有給を取ることを、法律が後押ししてくれている、ということでもあります。
有給を取りたいけれど、言い出しにくいときは、どう伝えればいいですか?
コツは3つあります。1つ目は「早めに伝える」こと。シフトが組まれる前に申し出れば、職場も人の手配がしやすく、角が立ちにくくなります。2つ目は「理由を細かく言わなくてよい」と知っておくこと。有給を取るのに理由の説明は法律上いりません。「私用で」「家庭の都合で」で十分です。3つ目は「日にちに幅をもたせて相談する」こと。「この週のどこかで1日いただきたいのですが」と伝えると、職場も調整しやすくなります。それでも取れない状況が続くなら、労働基準監督署などの無料の相談窓口もあります。
取りやすい職場かどうかは、どうやって見分ければいいですか?
いちばん確実なのは、面接や見学のときに直接聞くことです。「有給の取得実績はどのくらいですか」「みなさん、だいたい年に何日くらい取られていますか」と質問してみましょう。有給を取りやすい職場なら、具体的な数字や実例がすっと返ってきます。逆に、言葉をにごされたり「うちは忙しいから難しい」と言われたりする場合は、注意したほうがよいかもしれません。国が「年5日は必ず取らせる」と定めている今、有給の実績を答えられることは、まともな職場の一つの目安になります。
退職するとき、残っている有給休暇はどうなりますか?
原則として、退職日までの間に消化することができます。退職が決まったら、残りの日数を確認し、「退職までにこの有給を使いたい」と、できるだけ早めに職場へ相談してください。引き継ぎの期間などとも重なるため、早く伝えるほど調整しやすくなります。なお、残った有給を会社が買い取ること(お金に換えて支払うこと)は、法律上の義務ではなく、買い取りを前提に消化を拒むことは認められていません。使いきれずに退職日を迎えると、その有給は消滅してしまうため、「残日数の確認」と「早めの相談」が、権利を無駄にしないための鍵になります。円満な辞め方や引き継ぎの進め方は、転職・退職の記事もあわせて参考にしてください。
出典
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