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喀痰吸引等研修とは|介護職が「医療的ケア」を行うための資格をやさしく解説

公開: 2026年7月22日 / 編集: 介護のしるべ編集部

ある朝、ふだんと同じように出勤したら、先輩からこう言われる——「◯◯さん、来月からたんの吸引もお願いすることになりそうだから」。あるいは、日々のケアのなかで、経管栄養の管につながれた利用者さんを前に、「これって、自分がやっていい範囲なんだろうか」と、ふと手が止まる。介護の現場で働いていると、そんな瞬間に出会うことがあります。

たんの吸引や経管栄養——いわゆる「医療的ケア」を任される場面が増え、うれしさよりも先に、不安がこみ上げてくる。「失敗して、利用者さんに何かあったらどうしよう」「そもそも、資格もないのにやっていいの?」——そう感じているなら、その戸惑いは、とてもまっとうなものです。人の命や体調に直接ふれるケアなのですから、簡単に「はい、できます」とは言えなくて当然です。

この記事だけの視点を、先にひとつお伝えします。それは、「できてしまう」と「やっていい」は、まったく別のことだ、という点です。たんの吸引は、器械の使い方さえ覚えれば、手先としては「できてしまう」かもしれません。でも、それを仕事として安全に「やっていい」ようにするには、法律にもとづいた手続きと学びが必要です。その道すじを用意してくれるのが、**喀痰吸引等研修(かくたんきゅういんとうけんしゅう)**です。この記事は、その研修が何なのか、あなたに何ができるようになるのか、そしてどこまでが自分の担う範囲なのかを、一つずつほどいていく案内です。難しい制度の話も、できるだけかみくだいてお伝えします。

そもそも「医療的ケア」を、なぜ介護職ができるのか

具体的な研修の中身に入る前に、大もとの「なぜ」から押さえておきましょう。ここが分かると、あとの話がすっと入ってきます。

たんの吸引・経管栄養は、もともと医師・看護師の仕事だった

たんの吸引とは、自分でうまく痰を出せない方の喉や気道にたまった痰を、細い管と機械を使って吸い取るケアです。**経管栄養(けいかんえいよう)**とは、口から食べることが難しい方に、管を通して直接、胃や腸に栄養を送るケアです。どちらも、日々を生きるうえで欠かせない、大切な支えです。

これらは「医療行為(いりょうこうい)」——つまり、医療の知識と技術が必要な行為に当たるため、もともとは医師や看護師といった、医療の資格を持つ人にしか許されていませんでした。介護職員が行うことは、原則としてできなかったのです。

現場の必要から、法律が変わった

ところが、実際の現場では、たんの吸引や経管栄養を毎日必要とする方が、施設にも、在宅(自宅での生活)にもたくさんいます。看護師がいつもそばにいられるとは限りません。「目の前に、痰を吸引してあげたい人がいるのに、資格がないから手を出せない」——そんな、はがゆい場面が数多くありました。

そこで国は、一定の研修を受けて必要な知識と技術を身につけた介護職員などであれば、医師の指示のもと、看護師と連携しながら、たんの吸引や経管栄養を行えるようにする、という仕組みを作りました。これを支えるのが、**社会福祉士及び介護福祉士法(しゃかいふくしし および かいごふくしし ほう)**という法律の改正です。この制度は、2012年(平成24年)4月から始まりました(厚生労働省「喀痰吸引等制度について」)。

つまり、喀痰吸引等研修は、思いつきや職場のローカルルールで生まれたものではありません。国の法律に裏づけられた、正式な制度なのです。だからこそ、この研修を修了すれば、あなたは「なんとなく手伝っている」のではなく、「法律にもとづいて、正式に医療的ケアを担っている」と胸を張れます。冒頭でお伝えした「できてしまう」と「やっていい」の違いは、ここにあります。研修は、その両者のあいだにかかった「橋」なのです。

喀痰吸引等研修で、何ができるようになるのか

では、この研修を修了すると、具体的に何ができるようになるのでしょうか。対象になるのは、大きく2種類・5つの行為です。少しだけ専門的な言葉が出てきますが、一つずつ、やさしく言いかえていきます。

たんの吸引(3か所)

たんの吸引は、痰を吸い取る「場所」によって、次の3つに分かれます。

  • 口腔内(こうくうない)の喀痰吸引:口の中にたまった痰を吸い取ること。
  • 鼻腔内(びくうない)の喀痰吸引:鼻の中を通して、喉のあたりの痰を吸い取ること。
  • 気管カニューレ内部(きかんカニューレないぶ)の喀痰吸引:喉に開けた穴(気管切開といいます)に入れた管(カニューレ)の内側から、痰を吸い取ること。

3つのなかでは、気管カニューレ内部の吸引が、より慎重さの求められるケアとされています。

経管栄養(2種類)

経管栄養は、栄養を送る「経路」によって、次の2つに分かれます。

  • 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養:おなかに小さな口(ろう孔)を作り、そこから胃や腸へ直接、管で栄養を送る方法です。「胃ろう(いろう)」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。
  • 経鼻経管栄養(けいびけいかんえいよう):鼻から胃まで細い管を通し、その管で栄養を送る方法です。

この「たんの吸引3か所+経管栄養2種類」の、あわせて5つが、喀痰吸引等研修で扱う行為の全体像です。ただし、どの研修(号数)を修了するかによって、実際にできる範囲は変わります。次の章で、その違いを見ていきましょう。

第1号・第2号・第3号研修の違いを、やさしく整理する

喀痰吸引等研修には、第1号研修・第2号研修・第3号研修という3つの種類があります。「号数」と聞くと身がまえてしまいますが、ポイントはたった2つ。**「誰を対象にするか」と「どの行為までできるか」**の違いです。ここを押さえれば大丈夫です。

第1号・第2号は「不特定多数の人」、第3号は「特定の人」

まず、いちばん大きな分かれ目が、**ケアの相手(対象者)**です。

  • 第1号研修・第2号研修:不特定多数の利用者を対象とします。施設などで、いろいろな入所者に対して、たんの吸引や経管栄養を行う場面を想定したものです。
  • 第3号研修:特定の利用者を対象とします。たとえば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの重い病気や障害があり、日常的に医療的ケアが欠かせない、特定のその方に向けたケアを想定しています。在宅で、一人の利用者さんを長く支える場面などが、これに当たります。

言いかえると、第1号・第2号は「施設で、幅広い方に対応するための研修」、第3号は「特定のこの方のために、その方に必要なケアを学ぶ研修」というイメージです。

第1号と第2号は「できる行為の範囲」が違う

同じ「不特定多数向け」でも、第1号と第2号では、実際にできる行為の範囲が異なります。ここが少しややこしいので、表にまとめます。

研修の種類対象になる人実地研修で行う行為(できるようになる範囲のめやす)
第1号研修不特定多数の利用者たんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう/腸ろう・経鼻)の5行為すべて
第2号研修不特定多数の利用者上の5行為のうち、気管カニューレ内部の吸引と経鼻経管栄養を除いた行為(口腔内・鼻腔内の吸引、胃ろう/腸ろうの経管栄養)
第3号研修特定の利用者その特定の方に必要な行為(実際に必要とされるものに絞って学ぶ)

(厚生労働省「喀痰吸引等研修」をもとに、めやすとして整理)

かんたんに言うと、こうです。第1号研修は「フルセット」。5つの行為すべてを、不特定多数の方に対して行えるようになります。第2号研修は「一部を除いたセット」。より慎重さの求められる気管カニューレ内部の吸引と経鼻経管栄養を除いた行為を担います。そして第3号研修は「その人専用セット」。目の前の特定の方に必要な行為だけを、しっかり学ぶかたちです。

どの研修を受けるのがよいかは、あなたが働く場所や、支える相手によって変わります。施設で幅広く医療的ケアに関わるなら第1号・第2号、在宅で特定の重度の方を長く支えるなら第3号、というように、現場の必要に応じて選ばれます。多くの場合、勤め先の事業所が「うちではどの研修が必要か」を踏まえて案内してくれるので、まずは職場に相談するのが自然な流れです。

介護福祉士は、喀痰吸引等研修を受けなくていい?

ここで、資格取得を考えている方がよく抱く疑問に答えておきます。「介護福祉士(介護で唯一の国家資格)を取れば、喀痰吸引等研修は受けなくていいの?」という点です。

結論から言うと、2015年度(平成27年度)以降に介護福祉士の養成課程を学んだ方などは、その課程のなかで医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)を学んでいるため、あらためて喀痰吸引等研修を受けなくても、業務として喀痰吸引等を行える仕組みになっています(厚生労働省の資料より)。介護福祉士の学びのなかに、すでに医療的ケアが組み込まれている、というわけです。

ただし、大切な注意点があります。介護福祉士の場合も、実際に現場で行えるのは「実地研修(じっちけんしゅう)」を修了した行為に限られます。実地研修とは、講義や演習で学んだあと、実際の現場で、看護師などの指導を受けながら、決められた回数のケアを経験する段階のことです。座学で学んだだけでは、まだ現場では行えません。学んだ内容を、実地で身につけて、はじめて「その行為を担える」ことになります。

つまり、道すじには大きく2つあると考えてください。

  • 喀痰吸引等研修を修了して担う道(介護職員などが対象。修了した号数に応じた行為ができる)
  • 介護福祉士の養成課程などで学んで担う道(2015年度以降の課程などが対象。実地研修を修了した行為ができる)

どちらの道でも、**「実地研修を終えた行為だけを、医師の指示のもとで行う」**という土台は共通です。「自分は介護福祉士だから全部できるはず」と思い込まず、自分がどの行為をどこまで担えるのか、勤め先での実地研修の状況とあわせて確認しておくと安心です。介護福祉士そのものの取り方や実務経験については、介護福祉士になるには(実務経験・国家試験)のページでくわしくまとめています。資格全体の道すじを知りたい方は、介護の資格ロードマップもあわせてご覧ください。

「できること」と「できないこと」の線引き

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい、大切な部分です。喀痰吸引等研修を修了しても、介護職員が「何でも一人で判断してよい」わけではありません。むしろ、この制度は「線引き」があるからこそ、安全に成り立っています。冒頭の「できてしまう/やっていい」の話を、もう一歩深めます。

大前提①:必ず「医師の指示」のもとで行う

まず、絶対に外せないのが、たんの吸引や経管栄養は、必ず医師の指示のもとで行う、ということです。「この方に、こういうケアをしてよい」という医師の指示があって、はじめて実施できます。介護職員が自分の判断だけで「そろそろ吸引しよう」「栄養を足そう」と決めて行うものではありません。

これは、あなたを縛るための決まりではなく、あなたと利用者さんの両方を守るための仕組みです。医師が全体の状態を把握し、指示を出す。その枠のなかで、介護職員がケアを担う。だから、「もし何かあったらどうしよう」という不安を、あなた一人で背負う必要はないのです。

大前提②:看護職員と「連携」しながら行う

もう一つの柱が、看護師(看護職員)との連携です。喀痰吸引等の制度は、介護職員が看護師の代わりをするものではありません。看護師と役割を分担し、連携しながらケアを行うことが前提になっています。

具体的には、こういうことです。利用者さんの状態を、看護師と共有する。ケアの前後で気づいたこと(「いつもより痰が多い」「顔色が優れない」など)を、看護師に伝える。判断に迷う場面では、看護師に確認する。——つまり、介護職員は「一人きり」ではなく、看護師とつながったチームの一員として、医療的ケアを担うのです。

だから、抱え込まなくていい

この2つの大前提——「医師の指示」と「看護職員との連携」——を知っておくと、医療的ケアへの不安が、少し軽くなるはずです。たんの吸引も経管栄養も、あなた一人の判断で完結するようには、そもそも設計されていません。

  • 何をしてよいかは、医師の指示という枠がある。
  • 迷ったときは、看護師に確認できる。
  • ケアは、チームで支え合って行う。

「資格もないのに、こんな大事なケアを任されて怖い」——その気持ちは自然なものですが、実際には、あなたは「なんの後ろ盾もなく放り込まれる」のではありません。法律という枠、医師の指示という枠、看護師という支え。いくつもの安全網のなかで、はじめて医療的ケアを担うことになります。医師や看護師と密に連携する現場の雰囲気を、もう少し具体的に知りたい方は、介護医療院で働くとは(医療的ケア・看取りの実際)のページが参考になります。

手当がついたり、活躍の場が広がったりする

不安の話が続いたので、ここでは、この研修が「あなたにとってのプラス」になる面もお伝えします。医療的ケアを担えるようになることは、介護職としてのあなたの幅を、確かに広げてくれます。

求められる場が増える

たんの吸引や経管栄養が必要な方は、これからも増えていくと見込まれています。そうした方を受け入れる施設——たとえば、医療的な管理が必要な方が療養しながら暮らす介護医療院や、**特別養護老人ホーム(特養)**などでは、喀痰吸引等研修を修了した職員が、とても頼りにされます。医療的ケアができる介護職は、それだけで「来てほしい人材」なのです。

つまり、この研修を修了しておくことは、就職や転職のときの、はっきりした強みになります。「医療的ケアに対応できます」と言えることが、選べる職場の幅を広げてくれます。

手当がつくことがある

給料の面でも、プラスに働くことがあります。医療的ケアを担える職員に対して、職場によっては手当がついたり、任される役割が増えたりすることがあります。専門性の高いケアを担うぶん、その対価として待遇に反映される、というかたちです。

ただし、ここは正直にお伝えしておきます。手当の有無や額は、職場によって大きく違います。「喀痰吸引等研修を修了すれば、必ず◯円もらえる」というものではありません。手当を出す職場もあれば、出さない職場もあります。ですから、この研修は「必ず稼げる資格」ではなく、**「活躍の場が広がり、待遇にもつながりやすい学び」**と捉えるのが正確です。具体的な待遇は、求人票や面接で「医療的ケアに関する手当はありますか」と確認してみてください。介護の手当全般の仕組みは、給料を扱うほかのページでも整理しています。

誰が、どうやって受けられるのか

最後に、いちばん実用的な話をします。「じゃあ、この研修は誰が、どうやって受けるの?」という点です。

受けられるのは、主に「現場で働く人」

喀痰吸引等研修は、主に介護の現場で働く人を対象にしています。うれしいのは、初任者研修や介護福祉士といった資格が「受講の前提」になっているわけではないこと。無資格・未経験の方でも受けられる研修です。「まだ資格がないから無理」とあきらめる必要はありません。

とはいえ、実際には、次の理由から職場(勤め先の事業所)を通じて受けることが多いです。この研修には、実際の利用者さんに対して行う「実地研修」の段階があります。この実地研修は、受け入れ体制の整った現場でないと行えません。そのため、多くの場合、勤め先が研修の機会を用意し、そこで実地研修まで行う、という流れになります。

実施するのは、都道府県か、登録された研修機関

研修を実施するのは、都道府県か、都道府県に登録された研修機関です。個人が勝手に開けるものではなく、きちんと登録された機関が、決められた内容で行います。だから、どこで受けても、学ぶ中身の質が保たれる仕組みになっています。

まずは、今の職場に聞いてみる

「受けてみたい」と思ったら、いちばん確実なのは、今の職場に相談することです。次のように聞いてみてください。

  1. 「喀痰吸引等研修を受けられる機会はありますか」
  2. 「うちの施設では、第1号・第2号・第3号のどれが必要ですか」
  3. 「受講の費用や、実地研修のサポートはどうなっていますか」

医療的ケアを必要とする利用者さんがいる施設なら、研修の仕組みを持っていたり、外部の研修機関と連携していたりすることが少なくありません。まずは一歩、聞いてみることから始まります。これから介護の世界に入る方や、医療的ケアに関われる職場を探したい方は、介護の資格ロードマップで全体像をつかんでから、施設・職場の基本情報を地域から調べる(求人ではありません)のもよいでしょう。

「やっていい」に変えるための、一歩の踏み出し方

ここまで、喀痰吸引等研修について、できるだけていねいにお伝えしてきました。最後に、大切なところを振り返ります。

  • 喀痰吸引等研修は、介護職員などがたんの吸引・経管栄養を安全に行えるようにする公的な研修。社会福祉士及び介護福祉士法にもとづき、2012年(平成24年)4月に始まった、法律に裏づけられた制度です。
  • 対象はたんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)+経管栄養(胃ろう/腸ろう・経鼻)の5行為。第1号は5行為すべて(不特定多数向け)、第2号は一部を除く行為(不特定多数向け)、第3号は特定の方への必要な行為、と分かれます。
  • 2015年度以降に養成課程を学んだ介護福祉士などは、あらためて研修を受けなくても医療的ケアを担える仕組み。ただし、実地研修を修了した行為に限られる点は共通です。
  • 実施にあたっては、必ず医師の指示のもと、看護師と連携して行うのが大前提。だから、あなた一人で抱え込むものではありません。
  • 医療的ケアを担えると、活躍の場が広がり、手当につながることもあります(額や有無は職場差が大きい)。無資格・未経験でも受けられ、多くは職場を通じて受講します。

この記事の入口で、「できてしまう」と「やっていい」は違う、とお伝えしました。たんの吸引の器械を持てば、手としては「できてしまう」かもしれません。けれど、それを利用者さんのために、安心して、正しく「やっていい」ようにするために、この研修と、その先の医師の指示・看護師との連携があります。それは、あなたを縛るための決まりではなく、あなたが自信を持って、目の前の人に手を差し伸べられるようにするための、法律に裏づけられた一歩なのです。

もし今、医療的ケアを任されそうで不安なら、その不安は「まじめに向き合っている証拠」です。どうか一人で抱え込まず、職場の看護師や先輩に「研修を受けたい」「教えてほしい」と声をかけてみてください。学びの一歩を踏み出せば、その不安は、少しずつ「担える」という手ごたえに変わっていきます。医療に近い介護の現場が気になったら、介護医療院で働くとはものぞいてみてくださいね。あなたのその一歩を、心から応援しています。

よくある質問

喀痰吸引等研修とは、どんな研修ですか?

介護職員などが、たんの吸引(喉や気道にたまった痰を機械で吸い取ること)や経管栄養(口から食べられない方に、管を使って栄養を送ること)を、安全に行えるようにするための公的な研修です。もともとこれらは医師や看護師にしか許されていませんでしたが、2012年(平成24年)4月から、社会福祉士及び介護福祉士法という法律にもとづいて、決められた研修を修了した介護職員なども、一定の条件のもとで行えるようになりました。研修は、机の上で学ぶ講義や演習と、実際の現場で看護師などの指導を受けながら行う「実地研修」で構成されます。

喀痰吸引等研修を受けると、何ができるようになりますか?

対象となるのは、大きく2種類・5つの行為です。たんの吸引は「口腔内(口の中)」「鼻腔内(鼻の中)」「気管カニューレ内部(喉に開けた穴に入れた管の内側)」の3か所、経管栄養は「胃ろう又は腸ろう(おなかに作った口から管で栄養を送る方法)」と「経鼻経管栄養(鼻から胃まで通した管で栄養を送る方法)」の2種類です。ただし、修了した研修の種類(号数)によって、できる行為の範囲は変わります。また、実際に行うときは必ず医師の指示が必要で、看護師と連携しながら進めるのが前提です。

喀痰吸引等研修は、誰でも受けられますか?

基本的に、介護の現場で働く人が対象で、無資格・未経験の方でも受けられる研修です。初任者研修や介護福祉士などの資格が「受講の前提」になっているわけではありません。ただし、実際の利用者さんに対して行う「実地研修」があるため、多くの場合、職場(勤め先の事業所)を通じて受けることになります。研修は都道府県か、都道府県に登録された研修機関が実施します。まずは今の職場に「喀痰吸引等研修を受けられる機会はありますか」と聞いてみるのがおすすめです。

介護福祉士なら、喀痰吸引等研修は受けなくてよいのですか?

2015年度(平成27年度)以降に介護福祉士の養成課程を学んだ方などは、その課程のなかで医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)を学んでいるため、あらためて喀痰吸引等研修を受けなくても、業務として喀痰吸引等を行える仕組みになっています。ただし、実際に現場で行うには「実地研修」を修了した行為に限られる点は共通です。自分がどの行為をどこまで行えるかは、資格を取った年度や、勤め先での実地研修の状況によって変わるため、職場や登録の状況を確認しておくと安心です。

喀痰吸引等研修を修了すると、給料は上がりますか?

職場によりますが、医療的ケアができる職員として、手当がついたり、任される仕事の幅が広がったりすることがあります。たんの吸引や経管栄養が必要な方を受け入れる施設(介護医療院や特別養護老人ホームなど)では、こうした研修を修了した職員が求められるため、就職・転職のときの強みにもなります。ただし手当の有無や額は職場ごとに大きく違うので、あくまで「活躍の場が広がりやすい資格」と捉え、具体的な待遇は求人票や面接で確認してください。

喀痰吸引等研修は、どのくらいの期間・費用がかかりますか?

号数や研修機関、実地研修の進み方によって幅があります。第1号・第2号研修は、講義と演習からなる「基本研修」を受けたあとに、現場で行う「実地研修」があるため、修了までに数週間から数か月かかることもあります。第3号研修は、特定の方に必要な行為に絞って学ぶぶん、比較的短めになる傾向があります。費用は数万円から十数万円程度が一つの目安ですが、勤め先が費用を負担・補助してくれる場合も多くあります。正確な期間・費用・日程は、都道府県や登録された研修機関、そして勤め先に確認するのが確実です。まずは職場に「受けられる機会はありますか」と聞いてみるのが近道です。

出典


本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。

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