働き方

介護医療院で働くとは|Ⅰ型・Ⅱ型の違い、医療的ケアと看取り、給料の実際

公開: 2026年7月15日 ・ 更新: 2026年7月17日 / 編集: 介護のしるべ編集部

「医療に強い介護職になりたい」という気持ちと、「たんの吸引や看取りを、自分が担えるのだろうか」という気持ち。介護医療院の求人を眺めるとき、この二つはたいてい同時にやってきます。特養や老健の経験はあっても、経管栄養のポンプが並ぶフロアで働く自分は、まだうまく想像できない——そんな段階の人が多いはずです。

最初にお伝えしたいことがあります。**医療的ケアや看取りを「怖い」と感じるのは、あなたに適性がないからではありません。**命に近い仕事を引き受けようとする人の、正常な感覚です。そして介護医療院は、その怖さを介護職一人に背負わせない前提で設計された施設です。医師が常勤し、基準上は夜勤帯にも看護職員の配置が求められる——これは特養や老健にはない構造です。

この記事では、厚生労働省の一次資料をもとに、介護医療院で働く実像を数字で整理します。Ⅰ型・Ⅱ型の違い、仕事内容と医療的ケアの範囲、看取りの実際、給料と夜勤体制を出典付きで確認したうえで、「介護医療院が自分に合うか」を確かめる10項目のセルフチェックと、面接で医療体制を確かめる質問リストをお渡しします。転職サイトの一般論ではなく、制度と統計で判断できるようになる——それがこの記事のゴールです。

まず結論:介護医療院は「医療の密度・時間の向き・夜の体制」で判断する

細かい話に入る前に、要点を3つに絞ってお伝えします。

**1つ目。介護医療院は、介護保険施設のなかで医療の密度がいちばん高い職場です。**入所者の平均要介護度は4.2で特養(3.9)・老健(3.2)を上回り、要介護4・5が8割超。約3人に1人にたんの吸引が行われ、4人に1人に経鼻経管栄養が行われています(社会保障審議会介護給付費分科会・第221回資料3より)。医療処置が「たまにある」のではなく、日常の風景である施設です。

**2つ目。時間の向きが、老健と逆です。**老健が「家に帰す」ための通過点なら、介護医療院は人生の最終盤の療養生活を支える場所で、退所者の約半分が死亡による退所です(令和元年介護サービス施設・事業所調査)。看取りは例外的な出来事ではなく、この施設の役割そのものに含まれています。

**3つ目。夜の体制が、基準の時点で特養・老健と違います。**介護医療院は、夜勤帯にも看護職員1人以上の配置が基準で求められています(平成12年厚生省告示第29号)。「夜間の判断を介護職が一人で抱える」状況が構造的に起こりにくい——医療の重さと引き換えに、この安心があります。

なお、ここで挙げた数字はいずれも全国の平均・集計値です。同じ介護医療院でも、Ⅰ型かⅡ型か、母体の法人がどこかで日々の景色はかなり変わります。この3点を軸に、順番に中身を見ていきましょう。

介護医療院とはどんな施設か|数字で見る「長期療養・生活施設」

介護医療院は、介護保険法第8条第29項で「主として長期にわたり療養が必要である者」に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護や機能訓練、必要な医療と日常生活上の世話を行う施設と定義されています。厚生労働省はこれを「医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設」と整理しています(社会保障審議会介護給付費分科会・第221回資料3)。2018年4月創設と比較的新しい施設で、2024年3月末に廃止された介護療養型医療施設(介護療養病床)の主な受け皿です。

実際、令和5年3月末時点の764施設・45,220療養床のうち、移行元は介護療養病床が67.3%、医療療養病床が15.3%(同資料)。つまり大半が「病院の療養病棟」から転換した施設で、母体は医療機関系の法人が中心です。申し送りの言葉づかいや記録・リスク管理の文化が医療寄りになりやすいのは、この出自によります。病棟勤務の経験がある人には馴染みやすく、福祉系の施設しか知らない人には最初は硬く感じられるかもしれません。

どんな人が暮らしているのかも、数字で見ておきましょう。平均要介護度は4.2(令和3年度介護給付費等実態統計)。入所者は85〜94歳が49.1%と最多で、95歳以上も16.3%。傷病では認知症が50.8%と最も多く、寝たきりに区分される方(障害高齢者の日常生活自立度B・C)が9割超を占めます(令和3〜4年度の介護報酬改定効果検証調査/同資料3より)。特養・老健と並べると、立ち位置がはっきりします。

視点介護医療院特養老健
施設の目的長期療養・生活施設生活の場在宅復帰の支援
平均要介護度4.23.93.2
平均在所日数189.1日1,177.2日309.7日
死亡による退所52.2%69.0%10.6%

※出典:社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)資料3。平均要介護度は令和3年度介護給付費等実態統計、在所日数・退所先は令和元年介護サービス施設・事業所調査

意外に思えるのは、「長期療養」の施設なのに平均在所日数が約半年と、特養(3年超)よりずっと短いことです。これは入所の時点で、人生の残り時間が長くない方が多いことを意味します。「何年もかけて生活を積み上げる」特養とも、「数か月で家に帰す」老健とも違う、最終盤の濃い時間を支える仕事——それが介護医療院の介護職です。

判断基準としてはこうなります。「回復して退所していく達成感」や「長年の馴染みの関係」を仕事の支えにしたい人には、構造的に合いにくい。反対に、変わらない日常を丁寧に守ること、最期までの時間の質を上げることに意味を感じられる人には、他では得がたい職場になります。

Ⅰ型とⅡ型の違い|人員配置基準から働き方を読む

介護医療院にはⅠ型とⅡ型があり、これは「なんとなくのグレード」ではなく、人員配置基準が異なる制度上の区分です。基準を並べます。

職種Ⅰ型Ⅱ型
医師48対1以上(施設で3人以上)100対1以上(施設で1人以上)
薬剤師150対1以上300対1以上
看護職員6対1以上6対1以上
介護職員5対1以上6対1以上
リハビリ専門職実情に応じた適当数実情に応じた適当数

※出典:社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)資料3「介護医療院の基準」。このほかケアマネジャー1人以上(100対1標準)、定員100人以上で栄養士1人以上など

Ⅰ型は、介護療養病床に相当する「重度で医療の必要度が高い方」を主に受け入れるタイプ。医師の配置が老健の倍以上厚く、介護職員も5対1以上です。Ⅱ型は「比較的状態が安定した方」が対象で、配置は老健相当。全国の内訳はⅠ型のみの施設が515、Ⅱ型のみが244、両方を持つ施設が5で(令和5年3月末・同資料)、数のうえではⅠ型が3分の2を占めます。

働く側への意味はシンプルです。Ⅰ型のほうが、たんの吸引・経管栄養・急変対応といった医療の場面に立ち会う頻度が高くなりやすく、そのぶん医療職の層も厚い。Ⅱ型はやや生活寄りで、老健の療養棟に近い感覚です。ただし求人票に「Ⅰ型」「Ⅱ型」が明記されていないことも珍しくありません。応募前に「こちらはⅠ型ですか、Ⅱ型ですか。医療処置が必要な方はどのくらいいますか」と聞く——これだけで、入職後の「思っていたのと違う」をかなり防げます。

もう一つ、施設として提供できる医療の水準も参考になります。分科会の資料では、酸素療法を行える介護医療院が約91%、点滴を含む静脈内注射が約82%、1日8回以上のたんの吸引に対応できる施設が83.7%と報告されています。病院ほどではないが、特養よりはるかに医療が内包されている——この中間的な位置が、介護医療院の働き方のすべてを規定しています。

仕事内容の実際|生活支援の土台に、医療的ケアが重なる

介護医療院の介護職の仕事は、二層でできています。土台は他の施設と同じ、食事・入浴・排せつの介助、体位交換、口腔ケア、記録といった療養生活の支援。その上に、医療的ケアとその周辺業務が重なります。

どのくらい医療が日常かは、入所者への処置の実施状況を見るとわかります。リハビリテーション76.7%、たんの吸引32.4%、経鼻経管栄養24.7%、胃ろう・腸ろうによる栄養管理17.7%、点滴を含む静脈内注射14.0%(令和3年度介護報酬改定効果検証調査/分科会第221回資料3より)。摘便や浣腸などの排便ケアも3割前後にのぼります。フロアのどこかで常に何らかの処置が動いている、と考えてください。

日勤の流れの一例です。時間割自体は特養とそう変わりませんが、各場面に医療の要素が挟まります。

時間帯の例主な業務の例
朝起床介助・更衣、バイタル確認、朝食の食介、経管栄養の時間帯は見守りと体位の調整
午前入浴介助(機械浴が中心)、排せつ介助、看護師と分担しての状態観察、記録
昼昼食の食介、口腔ケア、服薬の見守り
午後体位交換、リハビリの送り出し・見守り、カンファレンス、おやつ・水分補給
夕方夕食の食介、就寝介助、夜勤への申し送り

ここで、多くの人が気にする「介護職はどこまで医療行為をできるのか」を整理します。結論から言うと、制度上、介護職員が担える医療的ケアは限定されており、かつ研修と登録が前提です。たんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻)は、喀痰吸引等研修などの課程を修了し、事業者として登録された施設で、看護師との連携のもとで行う仕組みになっています。どの行為までできるかは修了した研修の課程や実地研修の範囲、職場の登録状況によって変わるため、「介護医療院に入れば誰でも吸引をやる」わけでも、「絶対にやらされない」わけでもありません。応募先で自分がどこまで担う想定なのかは、面接で確認すべき事項です。

そして、研修を受ける前から介護職に求められる医療への貢献があります。観察です。「昨日より食べない」「表情が硬い」「呼吸の音がいつもと違う」——数値に出る前の変化に最初に気づけるのは、毎日体に触れている介護職です。介護医療院では、その気づきを受け取る医師・看護師が常に院内にいます。気づきが空振りに終わらず、すぐ医療の判断につながる。この「気づいて、つなぐ」の速さは、この職場で働く手応えの中心になります。

看取りの実際|退所の約半分が「見送り」になる職場

介護医療院を選ぶかどうかの核心は、結局ここに行き着きます。数字を正面から見ましょう。介護医療院の退所者のうち、死亡による退所は52.2%。しかもその内訳は施設内での死亡が100%です(令和元年介護サービス施設・事業所調査/分科会第221回資料3より)。特養も死亡退所は69.0%と多いのですが、その3分の1は入院先の病院で亡くなっています。介護医療院は「具合が悪くなったら病院へ送る」のではなく、医療ごと抱えて最期までその場で支える施設——この一点が、他のどの介護施設とも違います。

看取りの場面で介護職がすることは、劇的なものではありません。体を清潔に保つ、姿勢と室温を整える、家族が声をかけやすい場をつくる、それまでと同じ声かけを続ける。医療の判断は医師と看護師が担い、介護職は「その人の日常」を最期まで途切れさせない役を受け持ちます。制度の面でも、看取り期には「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に沿って本人・家族と話し合うことが施設に求められています。ただし調査では、死亡退所者へのこのガイドラインに沿った対応は53.2%にとどまっており(令和4年度改定効果検証調査/同資料)、看取りの質には施設差があるのが現実です。

不安に感じている人に、当事者の声を二つ紹介します。介護医療院ではなく特養での看取りの記録ですが、看取りに向き合う心の動きとして参考になるはずです(いずれも個人の体験談で、内容の真偽は検証されていません)。数え切れない看取りに立ち会ってきた特養の施設長は、note の記事(2026年1月)で「正直に言います。最初の頃は、怖かったんです。人の死と向き合うことが」と書き出したうえで、「看取り介護の本質は、『死』に向き合うことではなく、『生』を全うすることへの支援です」と結んでいます。また、入職2〜3年目で初めての看取りを経験した元介護職の方は、note の記事(2025年6月)で、最期の望みだった入浴を職員3人がかりで叶えた経験を振り返り、「人の壮大な歴史が幕を閉じるとき、そばにいるべきだ、という強い想いが芽生えました」とつづっています。怖さとやりがいは別の人の感想ではなく、同じ人の中で順番に、あるいは同時に起こるものです。

そのうえで、自分を守る判断基準を持ってください。看取りのつらさは「慣れ」で解決するものではなく、「体制」で軽くするものです。看取り後に職員で振り返るデスカンファレンスの場があるか、つらさを口にできる相談先があるか、看取り直後の勤務への配慮があるか——面接で聞いて構いませんし、聞いたときの反応そのものが職場の文化を映します。すでに看取りの経験があって心が重くなっている人は、看取りのつらさから心を回復させる手順も参考にしてください。

給料の実際|「330,030円」という平均の読み方

給料は、はっきり数字で見ておきましょう。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所で月給・常勤で働く介護職員の平均給与額(令和6年9月)は次のとおりです。

サービス種別平均給与額(月給・常勤)前年同月からの増減
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)361,860円+14,890円
介護老人保健施設(老健)352,900円+14,390円
介護医療院330,030円+15,710円
グループホーム302,010円+11,820円
通所介護294,440円+10,870円
全サービス平均338,200円+13,960円

この数字を読むときの注意が3つあります。第一に、これは額面であり手取りではありません。平均給与額は基本給に手当と一時金(賞与等の6分の1)を足した月換算値で、手取りはおおよそその75〜85%です(詳しくは介護職の手取りと給料明細の見方へ)。第二に、全国平均であって保証額ではなく、地域・法人・経験年数・夜勤回数で大きく上下します。第三に、無資格・未経験者の初任給とはまったく別の数字です。

そのうえで、傾向を読み解きます。介護医療院の330,030円は全サービス平均(338,200円)をやや下回り、介護保険3施設のなかでは最も低い水準です。ただし前年からの伸び(+15,710円)は3施設で最大でした。また同じ調査で、介護医療院の月給・常勤の介護職員は平均年齢46.7歳・平均勤続年数11.9年と、勤続の長さが目立ちます(同一法人内の通算のため、療養病床時代からの継続勤務を含むと考えられます)。長く働き続けている人が多い職場である、という読み方はできます。

応募先を比べるときは、月給の合計額ではなく基本給・夜勤手当・医療関連の手当・処遇改善分の載り方に分解して見てください。処遇改善のお金(介護職員等処遇改善加算。2024年6月に一本化されました)は配分方法が職場ごとに違うため、「毎月ですか、一時金ですか」と面接で確認して構いません(仕組みは処遇改善加算とはで解説しています)。喀痰吸引等研修の修了が手当や昇給にどう反映されるかも、医療系施設ならではの確認ポイントです。

夜勤の体制|「夜も看護職員がいる」が基準で決まっている

夜勤は、介護医療院の「重さ」と「心強さ」の両方がいちばん濃く出る時間帯です。まず基準の事実から押さえます。厚生労働省の告示(平成12年厚生省告示第29号)では、介護医療院の夜勤職員は、看護職員又は介護職員を入所者30人につき1人以上かつ合計2人以上としたうえで、**「夜勤を行う看護職員の数が一以上であること」**を求めています。つまり、夜勤メンバーのうち最低1人は看護職員であることが、基準に書き込まれています(併設医療機関と一体で夜間対応する定員19人以下の併設型小規模介護医療院のみ例外。ユニット型では、これに加えて2ユニットごとに1人以上の配置とされています)。

これがどれほど大きな違いか、他の施設と並べるとわかります。特養や老健の夜勤基準は「看護職員又は介護職員」であり、夜間は介護職員のみで回して看護職員はオンコール、という体制が制度上あり得ます。介護の夜勤の不安について、株式会社マイナビが運営する「マイナビ介護職」の『介護職白書 2024年度版』(調査時期:2024年11月7日〜12月3日・介護職976人が回答)では、夜勤中の不安の1位は「トラブルが起きたときの対応」(36.2%)でした。転職サービスの登録会員への調査のため転職を意識する層寄りのサンプルですが、夜勤の負担感の中心が「一人で判断を抱えること」にあるのは多くの現場の実感と重なります。介護医療院は、この不安に「隣に看護職員がいる」という構造で答えている施設だといえます。

ただし、夜が楽だという意味ではありません。経管栄養の管理、体位交換、たんの吸引が必要な方の観察は夜間も続きますし、状態の重い方が多い以上、急変や看取りが夜に起こることもあります。介護職の役割は「気づいて看護職員につなぐ」ことが基本で、医療の判断を求められるわけではありませんが、緊張感のある夜があることは確かです。だからこそ、応募前に次の4点を確認してください。

  • 夜勤帯の総人数と職種の内訳(看護職員は何人か、担当フロアの分け方)
  • 自分の担当人数と、応援・報告の流れ(誰に、どの順で連絡するか)
  • 仮眠・休憩の場所と時間が実際に確保されているか
  • 夜勤手当の額と月の想定回数(求人の月給例に何回分含まれているか)

夜勤全般の仕組み(深夜割増・2交替の流れ・夜勤なしの働き方)は介護の夜勤の実際にまとめています。

介護医療院が自分に合うか|10項目セルフチェックと面接での質問リスト

ここまでの構造を、自分との相性に落とし込みます。当てはまるものを数えてください。

  • 医療処置が日常にある環境で、慎重さを保って働くことが苦にならない
  • 看護師・医師に日常的に報告・相談しながら働くスタイルが好きだ
  • 人生の最終盤にある人の、変わらない日常を守る仕事に意味を感じる
  • 看取りに立ち会う可能性を、避けたいことではなく役割として考えられる
  • 「回復して家に帰る」場面が少なくても、やりがいを見失わずにいられる
  • 観察と記録を「ケアの一部」として大切にできる
  • 医療用語や病態の知識を、これから学ぶことに前向きだ
  • 気持ちの切り替えの方法を、自分なりに持っている(または探す気がある)
  • 夜勤を含むシフトに対応できる(または夜勤なしの相談をする用意がある)
  • 体力・腰に大きな不安がない(または対策を続けられる)

読み方の目安です。7個以上なら、介護医療院はあなたの性質に合う可能性が高い職場です。Ⅰ型・Ⅱ型それぞれの求人を比べてみてください。4〜6個なら、施設選びで満足度が大きく変わるタイプです。型・夜勤体制・看取りのサポートを個別に確かめましょう。3個以下なら、無理に寄せる必要はありません。医療の密度が低く生活支援の比重が大きい職場のほうが、力を発揮できる可能性が高いはずです。チェックが少なくても、測っているのは能力ではなく介護医療院という構造との相性です。

面接・見学では、次の質問リストをそのまま使ってください。

型と入所者像

  • Ⅰ型かⅡ型か。医療処置が必要な入所者はどのくらいいるか
  • 平均的な入所期間と、看取りの年間件数のおおよそ

研修と医療的ケアの担い方

  • 喀痰吸引等研修の受講支援(費用・シフト配慮)はあるか
  • 介護職はどの医療的ケアをどこまで担う想定か。実地研修の体制は

夜間の体制

  • 夜勤の人数・職種と、看護職員との役割分担
  • 急変時の連絡の流れ(医師への連絡体制を含む)

看取りのサポート

  • 看取り後の振り返り(デスカンファレンス)の有無
  • 職員がつらさを相談できる窓口や配慮があるか

お金

  • 基本給と手当の内訳。処遇改善分は毎月か一時金か
  • 喀痰吸引等研修の修了は手当・昇給に反映されるか

質問の答えそのものに加えて、「よく聞いてくれました」という反応か、「細かいことを聞く人だ」という反応かも、職場の文化を知る材料になります。

次の一歩は、この3つから選ぶ

最後に、この記事を閉じたあとの動き方を3つ用意しました。どれか一つに決める必要はありません。

**いまの職場で消耗していて、環境を変えたい人は、まず「きつさの正体」を切り分けてください。**体力なのか、夜勤体制なのか、人間関係なのか、看取りの重さなのかで、次に選ぶべき構造は変わります。切り分けの手順は介護の仕事がきつい・つらいの整理法にまとめています。医療の密度が高い職場が合わなかったとしても、それは介護に向いていないという意味ではありません。

**介護医療院に興味が湧いた人は、Ⅰ型とⅡ型の両方を見学して比べてください。**同じ「介護医療院」の求人でも、型と母体によって日々のペースは別物です。前の章の質問リストを同じ順番でぶつけると、施設ごとの違いが立体的に見えてきます。喀痰吸引等研修を先に調べておきたい人はこちらの解説からどうぞ。

**医療との距離をもう少し取りたいと感じた人は、他の施設種別を地図で見てください。**リハビリと在宅復帰の老健、生活の場としての特養、種別全体の比較は施設タイプ別の働き方にまとまっています。医療の近くで働く選択肢は、介護医療院だけではありません。

介護医療院は、医療の緊張感と、人の最終盤に寄り添う重さのある職場です。同時に、その重さを介護職一人に負わせない配置基準を持ち、観察の力が医療にまっすぐつながる、介護職の専門性が試される場所でもあります。怖さを感じ取れる人は、慎重さが要る現場でこそ信頼される人です。数字と質問リストを手に、あなたのペースで確かめていってください。

よくある質問

介護医療院で働くのはきついですか?

きつさの中心は、医療的ケアの緊張感と、看取りに向き合う精神的な負担です。介護医療院は長期の医学的管理が必要な要介護者の療養施設で、入所者の8割超が要介護4・5、約3人に1人にたんの吸引が行われています(厚生労働省・社会保障審議会介護給付費分科会資料より)。一方で、医師が常勤し、基準上は夜勤帯にも看護職員1人以上の配置が求められるため、介護職が一人で判断を抱え込みにくい構造の職場でもあります。負担の実際はⅠ型・Ⅱ型の別や施設の体制で大きく変わるため、応募前の確認が重要です。

介護医療院の介護職員の給料はどのくらいですか?

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」によると、介護医療院で月給・常勤で働く介護職員の平均給与額は330,030円です(令和6年9月・介護職員等処遇改善加算を取得する事業所・基本給+手当+一時金の月換算)。特養(361,860円)や老健(352,900円)より低い水準ですが、前年からの伸びは+15,710円と施設系で大きいほうでした。額面ベースの全国平均であり手取りではなく、地域・法人・夜勤回数によって大きく変わります。

介護医療院のⅠ型とⅡ型は何が違いますか?

主に受け入れる入所者の医療の重さと、人員配置基準が違います。Ⅰ型は重度で医療の必要度が高い方を主に受け入れ、医師48対1(施設で3人以上)・介護職員5対1以上という手厚い配置が基準です。Ⅱ型は比較的状態が安定した方が対象で、医師100対1(施設で1人以上)・介護職員6対1以上と、老健に近い設計です。働く側から見るとⅠ型のほうが医療処置や急変対応の場面が多くなりやすいため、応募先がどちらの型かは求人・面接で必ず確認してください。

夜勤のとき、介護医療院には看護師がいますか?

基準上は、介護医療院の夜勤帯には看護職員1人以上の配置が求められています(平成12年厚生省告示第29号。併設医療機関と一体で夜間対応する定員19人以下の併設型小規模介護医療院には例外があります)。夜勤の人員基準が「看護職員又は介護職員」とされている特養・老健との大きな違いで、夜間の急変や医療的ケアを介護職だけで抱えない構造になっています。ただし夜勤の総人数や担当範囲は施設ごとに違うため、応募前に確認が必要です。

未経験・無資格でも介護医療院で働けますか?

働ける施設はあります。介護職の仕事の土台は食事・入浴・排せつなどの生活支援で、ここは未経験からでも始められます。たんの吸引や経管栄養は、喀痰吸引等研修などの修了と事業者の登録を前提に、看護師と連携して行う仕組みのため、入職後に研修を受けながら段階的に関わるのが一般的です。なお、無資格で介護の仕事に就く場合は認知症介護基礎研修の受講が義務化されています。研修費用の支援や教育体制は施設差が大きいので、応募時に確認してください。

看取りに関わるのが不安です。介護医療院で働けるでしょうか?

不安を感じるのは自然なことで、適性がないという意味ではありません。介護医療院は退所者の約半分が死亡による退所で、看取りまで支えることを役割に含む施設です(令和元年介護サービス施設・事業所調査)。ただし看取りは医師・看護師・介護職・相談員がチームで行うもので、介護職が一人で背負う場面は構造上つくられていません。看取り後の振り返りの場(デスカンファレンス)や職員へのケアがあるかは施設で差が大きいので、面接で確認しておくと安心です。

出典


本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。

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