給料・待遇
介護職のボーナス(賞与)の実際|ある職場・ない職場、相場のめやすと確認方法
夏や冬が近づくと、周りから「ボーナス、どのくらい出た?」という声が聞こえてくる。そのたびに、少し肩身のせまい気持ちになる——介護の現場で働いていて、そんな思いをしたことはありませんか。あるいは、これから介護の仕事に就こうとしていて、「そもそも介護ってボーナスは出るんだろうか」と、気になっている方もいるかもしれません。
まっ先にお伝えしたいことがあります。それは、介護のボーナスは「もらえて当たり前」のものではなく、職場ごとの設計で、大きく変わる、ということです。同じ介護職なのに、しっかり出る職場もあれば、ほとんど出ない職場、そもそも無い職場もある。これは、あなたのがんばりが足りないからではありません。ボーナスという仕組みそのものが、そういうものなのです。
そして、ここにこの記事だけの視点があります。その職場の設計は、実は求人票のたった一行に表れています。「賞与 年◯か月」という、あの短い一文です。この一行を読める力があるかどうかが、あなたの待遇を静かに左右します。 この記事は、その一行の意味を、一つずつ解きほぐしていく地図です。
この記事では、ボーナス(賞与)とはそもそも何なのか、なぜ職場によって差が出るのか、相場のめやすはどのくらいか、そして求人票や面接でどこを確認すればいいのかまで、国の公的なデータをもとに、やさしい言葉で整理しました。読み終わるころには、求人票の「賞与」の欄が、今よりずっとはっきり見えるようになっているはずです。
この記事の要点を先に

こまかい話に入る前に、いちばん大切なことを先にお伝えします。
- 賞与(ボーナス)は、法律上の義務ではありません。 だから、支給する職場もあれば、しない職場もあります。「介護なら必ずある」わけではない、というのが出発点です。
- 賞与は「基本給×◯か月分」で計算されることが多い仕組みです。 つまり、基本給がいくらかによって、同じ「◯か月分」でも実際の金額は変わります。
- 相場のめやすはあるが、職場差がとても大きい。 だからこそ、求人票の「賞与 年◯か月」という一行と、面接での確認が、いちばん頼りになります。
「賞与は職場の設計しだい」——この一点を頭に置いて、まずは賞与そのものの仕組みから見ていきましょう。
そもそもボーナス(賞与)とは何か

具体的な相場の話に入る前に、「ボーナスとはそもそも何なのか」を押さえておきましょう。ここが分かると、あとの話がすっと入ってきます。
賞与は「義務ではない」お金
まず、いちばん大事な前提です。賞与(しょうよ/ボーナスのこと)は、法律で「必ず支払いなさい」と義務づけられたものではありません。
毎月の給料は、働いた分を必ず支払うことが法律で決まっています。一方で賞与は、それとは性格が違います。会社や施設が「1年の働きに報いるため」「その年の経営状況に応じて」職員へ渡す、いわば上乗せのお金です。だから、支給するかどうか、いくらにするか、年に何回出すかは、基本的にそれぞれの職場が方針として決めています。
これは介護だけの話ではなく、世の中の会社ぜんぶに共通する仕組みです。ただ、介護の場合は、あとで見るように運営する団体の性格に幅があるため、この「職場ごとの差」が、はっきり表れやすいのです。
「賞与が無い職場なんて、ひどいのでは」と感じるかもしれません。でも、法律の上では違反ではありません。大切なのは、良い・悪いを決めつけることではなく、自分が働く(働こうとする)職場が、どういう設計になっているかを、きちんと知っておくことです。
賞与は「基本給×◯か月分」で決まることが多い
もう一つ、必ず知っておいてほしい仕組みがあります。それは、賞与の金額は「基本給の◯か月分」という形で計算されることが多い、ということです。
たとえば「賞与 年2回、計4か月分」という職場で、基本給が月18万円だったとします。すると、1年間の賞与は、
- 18万円 × 4か月分 = 72万円(1年間の合計。夏と冬に分けて支給)
という計算になります。ここで大切なのは、**計算の土台になるのは「月給の総額」ではなく「基本給」**だという点です。
思い出してほしいのですが、介護の給料は「基本給+手当」でできています(この仕組みは介護の手当いろいろでくわしく説明しています)。求人票に「月給25万円」と書いてあっても、その中身は「基本給18万円+手当7万円」だったりします。賞与が「基本給の4か月分」なら、計算に使われるのは25万円ではなく、18万円のほうです。
だからこそ、基本給が高い職場ほど、同じ「◯か月分」でも賞与は大きくなりやすい。逆に、月給の総額は同じでも、手当で高くしていて基本給が低い職場は、賞与が控えめになりやすい。この「賞与は基本給に効く」という感覚を持っておくと、求人票の見え方が変わってきます。
このつながりを、当事者の声で見てみましょう。大規模な特別養護老人ホームで夜勤ありのフルタイム勤務を続ける50代・勤続12年・介護福祉士の男性は、毎年の賞与を実額で公開しているブログ「介護福祉士のミカタ」(2026年7月)で、夏の賞与を「期末手当13万2,665円・勤勉手当6万5,312円、総支給19万7,977円、手取り16万0,526円」と記録し、こう書いています。
「ボーナスに限っていえば定期昇給分の1,400円上がっただけだ。基本給が上がらなければボーナスも上がらない。」
真偽を検証した統計ではなく、あくまで当事者の声のひとつですが、「賞与は基本給に連動する」という仕組みが、現場の実感として率直につづられています。ベテランでも、基本給が動かなければ賞与は大きく変わらない。裏を返せば、賞与を増やしたいときに効くのは、手当の見かけの額ではなく、基本給そのものだ、ということです。
「年◯回」「◯か月分」という数え方
賞与の話でよく出てくるのが、「年◯回」と「◯か月分」という数え方です。ここも整理しておきましょう。
- 年◯回:1年間に何回、賞与が支給されるか。介護では「年2回(夏・冬)」の職場が多く見られます。
- ◯か月分:1年間の賞与の合計が、基本給の何か月分にあたるか。「夏に2か月分・冬に2か月分で、合計4か月分」というように数えます。
求人票で「賞与 年2回 計3.5か月分」と書いてあれば、「夏と冬の2回に分けて、合計で基本給3.5か月分が出る(前年度の場合)」という意味になります。この「◯か月分」の数字が、その職場の賞与の手厚さを表す、いちばん分かりやすい目印です。
相場のめやす:介護のボーナスはどのくらい?

仕組みが分かったところで、多くの方がいちばん気になる「で、実際いくらくらい出るの?」という話に進みましょう。大切な前提として、以下はすべて全体をならした「めやす」であり、職場による差がとても大きいことを、先にお断りしておきます。「このとおりもらえる」という保証ではありません。
公的データで見る「年間の賞与」
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、企業規模10人以上の一般労働者に当たる「介護職員(医療・福祉施設等)」の年間賞与その他特別給与額は54万7,800円でした。
この数字には大切な注意があります。「賞与その他特別給与額」なので、賞与以外の一時的な特別給与を含みます。また、賞与がない人も含めた平均で、求人票に書かれる「基本給の○か月分」とは定義が違います。調査の所定内給与額26万2,900円で単純に割って「平均○か月分」とすることもできません。全国平均は水準を知る参考、応募先の月数はその職場の前年度実績として、分けて見てください。
そもそも「賞与がある職場」はどのくらい?
平均額が公表されていても、どの職場にも賞与があるという意味ではありません。厚生労働省のモデル就業規則は、賞与制度を設けること自体は法律上の義務ではないと説明しています。一方、就業規則や労働契約に支給条件が明確に定められていれば、その内容が労働条件になります。
したがって確認すべきなのは、業界全体で「何割がもらうか」より、応募先に制度があるか、算定期間・在籍要件・業績による不支給条件がどう書かれているかです。「賞与あり」の一語だけでなく、労働条件通知書と就業規則まで見ましょう。
「◯か月分」は職場でこんなに違う
賞与の「◯か月分」は、職場によって本当に幅があります。イメージをつかむために、傾向を整理しておきます(あくまで一般的な傾向で、個別の職場を指すものではありません)。
- 手厚めの職場:年4か月分前後、あるいはそれ以上のところもあります。長く安定して運営されている法人などに、こうした例が見られます。
- 平均的な職場:先ほどの統計どおり、年2か月分前後。介護では、このあたりが一つの真ん中です。
- 控えめ・変動する職場:年1か月分ほど、または「業績による」として年ごとに上下する職場もあります。
- 賞与のない職場:月給を高めに設定するかわりに賞与を出さない、という設計の職場もあります。
同じ「月給25万円」の求人でも、賞与が年4か月分の職場と、賞与なしの職場では、1年間で受け取る総額が数十万円以上も変わってきます。月給の数字だけを見て決めてしまうと、この差を見落としかねません。だからこそ、次の章の「年収で考える」という視点が効いてきます。
なぜ職場によって、こんなに差が出るのか

「同じ介護なのに、どうして賞与にこんなに差が出るの?」——ここには、はっきりした理由があります。仕組みを知ると、「自分の職場が特別ケチなのかも」といった不安が、少しやわらぐはずです。
賞与が義務ではないから、設計に幅が出る
いちばんの理由は、くり返しになりますが、賞与が法律上の義務ではないからです。義務でない以上、「毎月の給料を厚くして賞与は控えめにする」職場も、「毎月は標準的でも賞与をしっかり出す」職場も、どちらも成り立ちます。
つまり、賞与の差の多くは、その職場のお金の配り方の方針の違いなのです。「年間で受け取る総額」をどう組み立てるか——月給に寄せるか、賞与に寄せるか——という設計思想の違いが、賞与の「◯か月分」に表れている、というわけです。
運営する団体の性格による「傾向」の差
もう一つ、介護ならではの事情があります。それは、介護の職場を運営している団体には、いくつかのタイプがあり、賞与の出し方に傾向の差が見られることです。
大きく分けると、次のような運営主体があります。
- 社会福祉法人(しゃかいふくしほうじん):福祉サービスを担うために設けられた、公共性の高い法人。特別養護老人ホームなどを多く運営しています。
- 地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)など公立系:市町村などが運営に関わる施設。数は多くありませんが、公務員に準じた待遇の場合があります。
- 民間企業(株式会社など)や新しく参入した事業者:有料老人ホームやデイサービスなどを幅広く運営しています。
厚生労働省などの調査を見ると、運営主体別の平均給与では、地方公共団体や社会福祉法人のほうが、民間企業よりも高めになる傾向が示されています。賞与についても、給与体系がしっかり整った法人ほど、安定して支給されやすい傾向がある、と言われています。
ただし、ここでも**「傾向」であって「絶対」ではない**、と強くお伝えしておきます。民間企業でも賞与が手厚い職場はたくさんありますし、社会福祉法人だから必ず高い、というわけでもありません。運営主体は、あくまで「見るときの一つのヒント」。最後は、その職場ごとの求人票と、面接での確認がすべてです。「社会福祉法人だから安心」と決めつけず、目の前の条件を確かめる——この姿勢が、いちばん確実です。
処遇改善加算が「賞与にまとめて」配られることもある
賞与を考えるうえで、もう一つ知っておくと役立つ仕組みがあります。処遇改善加算(しょぐうかいぜんかさん)——国が、介護で働く人の賃金改善などを進める事業所へ加算する制度——の存在です。2024年6月に「介護職員等処遇改善加算」へ一本化され、2026年6月から対象・仕組みがさらに拡充されました。
このお金は、必ず職員の給料アップに使うことがルールで決まっているのですが、「どう配るか」は職場に任されています。毎月の手当として少しずつ配る職場もあれば、まとめて賞与(ボーナス)の形で配る職場もあるのです。
これは何を意味するかというと、「毎月の手当は少ないな」と感じても、その分が賞与にのっている可能性がある、ということです。逆に言えば、賞与の「◯か月分」の中に、この処遇改善加算の分が含まれている職場もある、ということでもあります。だから賞与を確認するときは、「処遇改善の分は、毎月の手当ですか、それとも賞与にまとまっていますか」と聞いてみると、お金の全体像がつかみやすくなります。処遇改善加算そのもののくわしい仕組みは、処遇改善加算とは(手当の仕組みと確認方法)のページで解説しています。
求人票・面接での「賞与の確認法」

ここからが、いちばん実用的な話です。求人や面接で、賞与のどこを確認すればいいのか。 ここを押さえれば、「入ってみたら思っていた賞与と違った」という後悔を、ぐっと減らせます。順に見ていきましょう。
見るべきは「年◯回 計◯か月分」の一行
求人票の「賞与」の欄で、まず探してほしいのが、「賞与 年◯回 計◯か月分」という記載です。冒頭でお伝えした「一行」とは、まさにこれです。
- 「賞与 年2回 計4.0か月分」 → 手厚めの設計。年間の賞与のイメージが具体的につかめます。
- 「賞与 年2回」だけで月数がない → 支給はあるが、額の見当がつきにくい。要確認のサインです。
- 「賞与あり(業績による)」 → 年によって変動する可能性がある、というサイン。前年の実績を確認したいところです。
- 「賞与なし」 → その代わり月給が高めに設定されていることが多い。年収全体で判断する必要があります。
「◯か月分」まで書いてある求人は、賞与についての情報を、正直に開示している職場だと考えられます。逆に、月数がまったく書かれていない場合は、「隠している」とまでは言えませんが、自分から確認する必要がある、と受け止めましょう。
「前年度実績」という言葉に注目する
もう一つ、注目してほしい言葉があります。それは**「前年度実績(ぜんねんどじっせき)」**です。
賞与の「◯か月分」には、実は2種類の書き方があります。「規定として、これだけ出すことになっている」という書き方と、「実際に、去年はこれだけ出た」という書き方です。このうち、より現実に近いのは「前年度実績」で示された数字です。
なぜなら、賞与は経営状況で変わりうるものなので、「規定上は◯か月分」と書いてあっても、実際にその満額が出るとは限らないからです。一方、「前年度実績◯か月分」とあれば、「少なくとも去年は、現に出た額」なので、より信頼できる目安になります。求人票に「前年度実績」の記載があれば、それをいちばんの参考にしてください。無ければ、次の「面接で聞く」に進みます。
面接で聞いても、失礼にはならない
「賞与のことを面接で聞くなんて、お金にがめついと思われないかな」——そう心配する方は、とても多いです。でも、はっきりお伝えします。賞与について面接で確認するのは、まったく失礼ではありません。
働くうえで、待遇を正しく知っておくのは当然のこと。むしろ、条件をあいまいにしたまま入ってしまうほうが、お互いにとって不幸です。聞き方に少し気をつければ、失礼な印象にはなりません。たとえば、こんな聞き方があります。
- 「賞与についてですが、昨年度は何か月分くらい支給されましたか」
- 「賞与は年に何回の支給でしょうか。査定の対象になる期間はいつからでしょうか」
- 「処遇改善の分は、毎月の手当ですか、それとも賞与にまとめての支給になりますか」
こうした質問は、「この職場でしっかり働いていくために、条件を理解しておきたい」という、前向きな姿勢の表れとして受け止められます。遠慮しすぎて聞けないまま入職するより、ずっと誠実な向き合い方です。
新人(1年目)の賞与は、別に確認する
もう一点、これから入職する方に特に確認してほしいのが、入社1年目の賞与がどうなるかです。
賞与には、多くの場合「査定期間(さていきかん)」——賞与の額を決めるために、働きぶりや在籍を評価する対象の期間——があります。たとえば「6月に出る夏の賞与は、前年10月から3月に在籍していた人が対象」というように決められています。
これはつまり、入社したばかりの時期は、査定期間にまるまる含まれないため、最初の賞与は少なめになったり、初回は対象外になったりすることがある、ということです。求人票の「◯か月分」は、あくまで通常の(フルに在籍した)年のめやすなので、1年目そのままに当てはまるとは限りません。「入社1年目の夏・冬の賞与は、どのくらいになりそうですか」と、内定のタイミングなどで確認しておくと、入職後のお金の見通しが立てやすくなります。
持ち帰り:賞与かんたん確認チェックリスト
ここまでの確認ポイントを、そのまま使える形にまとめます。気になる求人や、いまの職場の賞与を確かめるときの物差しにしてください。
- 求人票に「賞与 年◯回 計◯か月分」と月数まで書いてあるか(「賞与あり」だけなら要確認)
- その月数は「規定」か「前年度実績」か(より現実に近いのは前年度実績)
- 計算の土台になる基本給はいくらか(月給の総額ではなく基本給を見る)
- 処遇改善の分は、毎月の手当か、賞与にまとまっているか
- 入社1年目の賞与は、査定期間との関係でどうなるか
- 業績による不支給・減額の条件が就業規則にどう書かれているか
前半4つは求人票と面接で、後半2つは内定前後に就業規則や労働条件通知書で確かめられます。全部そろわなくても、上から順に一つずつ確認していけば、その職場の賞与の輪郭がはっきりしてきます。
賞与を含めて「年収」で考える

賞与の確認法が分かったところで、最後に、いちばん大切な考え方をお伝えします。それは、月給ではなく「年収」で職場を比べるということです。
賞与は、月給には表れません。だから、月給の数字だけで職場を比べると、賞与のある・なしや手厚さの差が、まるごと見落とされてしまいます。そこで、次の式でざっくり年収を見積もってみてください。
- 年収の見込み = 月給 × 12 + 賞与(年間)
たとえば、次の2つの求人があったとします(分かりやすくするための計算例です)。
- A職場:月給24万円、賞与なし → 年収の見込みは 24万円 × 12 = 約288万円
- B職場:月給22万円、賞与 年4か月分(基本給18万円 × 4 = 72万円)→ 年収の見込みは 22万円 × 12 + 72万円 = 約336万円
月給だけを見るとA職場のほうが高く見えますが、年収で見るとB職場のほうが上、ということが起こります。月給の印象と、年収の実態は、賞与のぶんだけズレるのです。このズレを埋めるのが「年収で比べる」という視点です。
もちろん、賞与が多ければすべて良い、というわけではありません。賞与に寄せた設計は、経営状況が悪い年には減るかもしれない、という面もあります。逆に、月給に寄せた設計は、毎月の収入が安定しやすい、という良さがあります。どちらが自分に合うかは、暮らし方しだいです。大事なのは、月給と賞与の両方を見て、年収という同じものさしで比べること。そうすれば、求人どうしをフェアに並べて判断できます。
年収の上げ方全体については介護職の給料の実際で、施設タイプごとの働き方や給与の傾向は施設タイプ別の「働き方」を比べるページで、それぞれ確認できます。
この記事のまとめ

最後に、要点を振り返ります。
- 賞与制度を設けること自体は法律上の義務ではない。 ただし、就業規則や労働契約で支給条件が定められていれば、その内容を確認する。
- 賞与は「基本給×◯か月分」で計算されることが多い。 だから、月給の総額ではなく、基本給の高さが効いてくる。
- 令和7年の公的統計では「年間賞与その他特別給与額」は54万7,800円。特別給与を含む全体平均で、求人の「基本給○か月分」と同じ定義ではない。
- 運営主体による傾向差はあるが、「絶対」ではない。 社会福祉法人・公立系が高めになりやすい傾向はあるが、最後は個別の求人と面接で確かめる。
- 求人票では「賞与 年◯回 計◯か月分」と「前年度実績」を見る。 面接で聞くのは失礼ではない。新人の初年度の賞与は別に確認する。
結局のところ、話は最初の一点に戻ってきます。介護のボーナスは「もらえて当たり前」ではなく、職場の設計で大きく変わります。 そして、その設計は「賞与 年◯か月」という求人票の一行に表れている。この一行を読めるようになれば、あなたは、月給の数字だけに惑わされず、1年を通して受け取る本当の額で、職場を選べるようになります。
まずは、気になる求人票を一枚、手に取ってみてください。そして「賞与」の欄を、この記事で見てきた目——「年◯回」「◯か月分」「前年度実績」「基本給はいくらか」——で、あらためて眺めてみましょう。それが、あなたの働きに見合った待遇を、自分の物差しで選び取るための、いちばん小さな一歩になります。給料の全体像は介護職の給料の実際で、手当の仕組みは介護の手当いろいろで、あわせて読んでみてくださいね。
よくある質問
介護で、ボーナスがない職場もありますか?
あります。賞与は法律で制度を設けること自体が義務づけられておらず、支給の有無・条件は職場の就業規則や労働契約で決まります。一方、就業規則などに支給条件が明確に定められていれば、その定めに沿った支払い義務が生じる場合があります。「介護なら必ずある」「業績が悪ければ必ずゼロにできる」のどちらとも限らないため、求人票、労働条件通知書、就業規則を確認してください。
介護のボーナスは、相場でどのくらいですか?
令和7年賃金構造基本統計調査では、企業規模10人以上の一般労働者に当たる「介護職員(医療・福祉施設等)」の年間賞与その他特別給与額は54万7,800円でした。これは賞与だけに限らない年間の特別給与の平均で、賞与がない人も含む集計です。求人の「基本給◯か月分」と同じ定義ではないため、月数へ換算せず、応募先の前年度実績を確認してください。
入社1年目(新人)でも、ボーナスはもらえますか?
職場によります。多くの職場には「支給日の前に、一定の期間以上働いていること」といった条件があり、入社してすぐの時期は対象にならなかったり、初回は少なめになったりすることがあります。たとえば「6月の賞与は、前年の10月から3月に在籍した人が対象」というように、対象となる期間(査定期間)が決められているためです。1年目の賞与がどうなるかは、求人票だけでは分かりにくいので、面接や内定のときに確認しておくと安心です。
求人票では、ボーナスのどこを見ればいいですか?
いちばん見てほしいのは「賞与 年◯回 計◯か月分」という記載と、できれば「前年度実績」の一文です。「◯か月分」は基本給をもとに計算されるので、あわせて基本給の額も確認しましょう。「賞与あり」とだけ書かれて月数がない場合や、「業績による」とある場合は、実際の支給額が読みにくいサインです。面接で「昨年度は何か月分くらい出ましたか」と聞くのは、失礼にはあたりません。むしろ、条件をきちんと確かめるまじめな姿勢として受け止められます。
ボーナスからも、税金や社会保険料は引かれますか?
引かれます。賞与(ボーナス)からも、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料といった社会保険料と、所得税が差し引かれ、手取りは額面より少なくなります。目安として、手取りは額面のおよそ8割前後になることが多いですが、扶養している家族の有無や、その月の額によって上下します。なお、住民税は毎月の給料からまとめて引かれる仕組みのため、賞与からは原則として引かれません。「◯か月分」や求人の金額は額面(引かれる前)を指すことがほとんどなので、実際に口座へ入るのはそれより少なくなる、と心づもりしておくと安心です。額面と手取りの関係は、給料明細の見方とあわせて別の記事でくわしく説明しています。
介護のボーナスを増やすには、どうすればいいですか?
賞与は「基本給×◯か月分」で計算されることが多いため、増やす近道は「基本給そのものを上げる」ことです。具体的には、初任者研修から介護福祉士へと資格を取る、勤続を重ねて定期昇給を積む、基本給や賞与の水準が高めの職場を選ぶ、といった方法があります。手当を厚くして月給を高く見せていても基本給が低い職場は、同じ「◯か月分」でも賞与が控えめになりがちなので、求人は月給の総額だけでなく「基本給がいくらか」まで見ます。年収を上げる打ち手全体は、専用の記事に整理しています。
出典
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 (2025年(令和7年))
- 厚生労働省「モデル就業規則(賞与)」 (2025年12月版)
- 公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働実態調査」 (2024年度)
- 厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査」 (2024年度)
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算」
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。
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