働き方
レクリエーションとは|法令が定める義務と、サービス種別ごとの違い
内容確認: 2026年7月28日 ・ 次回確認期限: 2027年4月30日 ・ 編集部確認済み
「レクの担当、今月あなたね」。そう言われた瞬間に、気が重くなる。ネタを探し、道具を作り、当日は盛り上げ役をやって、記録には「参加:可」とだけ書く。レクリエーションを、本来の業務のあいまに押し込まれる雑務のように感じている人は少なくないはずです。
そう感じてしまうのは、あなたの意識が低いからではありません。法令の側がどう扱っているかを教わる機会が、そもそもほとんどないからです。特別養護老人ホームの運営基準は「適宜入所者のためのレクリエーション行事を行わなければならない」と書いています。しかもその条文が置かれているのは、娯楽の条ではありません。「社会生活上の便宜の提供等」という見出しの下に、行政手続の代行や外出の機会と並んで置かれています。
もうひとつ先にお伝えすると、この扱いはサービスによって違います。義務のところ、努力義務のところ、そもそも規定のないところがある。デイサービスにレクリエーションの規定はありません。代わりに国の通知は、機能訓練の目標の例として「週に1回、囲碁教室に行く」を挙げていました。
読み終えたとき、自分の職場でレクがどこに立っている仕事なのかが分かり、「参加:可」の1行を書き換えられるようになっているはずです。
まず結論:レクリエーションは、法令に書かれた仕事

特養・地域密着型特養・ショートステイでは、義務として書かれています。 指定介護老人福祉施設の運営基準は「教養娯楽設備等を備えるほか、適宜入所者のためのレクリエーション行事を行わなければならない」と定めています。地域密着型特養と短期入所生活介護にも、ほぼ同じ条文が置かれました。
老健・介護医療院・短期入所療養介護は「行うよう努めるものとする」。ただし老健と介護医療院は部屋が必須です。 介護老人保健施設と介護医療院の運営基準は努力義務にとどめる一方、設備基準ではどちらも「レクリエーション・ルーム」を必置の施設として列挙しています。行事は努力義務なのに、部屋は必ず要る。医療系の施設サービスに共通する、捻れた作りです。
デイサービスには、レクリエーションの規定がありません。 通所介護の章にこの語は出てきません。代わりにあるのは機能訓練です。そして国の通知は、その目標の例として「週に1回、囲碁教室に行く」を挙げていました。
レクを軽く見ているのは、法令の側ではないということです。この記事で扱うのはネタや出し物ではなく、自分の職場でレクがどこに立っているかと、記録での残し方のほうになります。
特養のレクは「社会生活上の便宜」にある

まず、いちばんはっきり書かれているところから見ます。特別養護老人ホームの運営基準です。
条文をそのまま読む
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)の第16条です。
(社会生活上の便宜の提供等) 第十六条 指定介護老人福祉施設は、教養娯楽設備等を備えるほか、適宜入所者のためのレクリエーション行事を行わなければならない。
語尾は「行わなければならない」。介護保険の基準省令では、これが義務の書き方になります。
「適宜」という言葉が付いているので、頻度や内容は事業所の裁量です。毎週やれとも、こういう内容にせよとも書かれていません。ただしやるかやらないかは裁量の外に置かれています。
もうひとつ見落とせないのが「教養娯楽設備等を備えるほか」の部分です。行事だけでなく、設備を備えることも同じ文に入っています。
見出しが「娯楽」ではなく「社会生活上の便宜」
この条文でいちばん読む価値があるのは、じつは条見出しのほうです。
(社会生活上の便宜の提供等)
「娯楽の提供」でも「余暇活動」でもありません。社会生活上の便宜という言葉が使われています。
便宜という言い方は素っ気なく聞こえますが、意味は重い。社会の中で生きていくうえで必要なことを、施設が提供する、という枠組みです。入所したことで社会から切り離されないようにする措置、と読むこともできるでしょう。
同じ条に並んでいるもの
条見出しの重さは、同じ条の第2項以降を見るとはっきりします。
| 項 | 内容(要旨) | 語尾 |
|---|---|---|
| 第1項 | 教養娯楽設備等を備え、適宜レクリエーション行事を行う | 行わなければならない |
| 第2項 | 日常生活に必要な行政機関等への手続を、本人や家族が困難な場合は同意を得て代行する | 行わなければならない |
| 第3項 | 常に家族との連携を図り、入所者とその家族との交流等の機会を確保する | 努めなければならない |
| 第4項 | 入所者の外出の機会を確保する | 努めなければならない |
**レクリエーションは、行政手続の代行・家族との交流・外出の機会と同じ条に置かれています。**しかも第3項・第4項が努力義務であるのに対し、第1項と第2項は義務です。
外出の機会の確保が努力義務で、レクリエーション行事が義務。並べてみると、この条文が守ろうとしているものが見えてきます。施設の中にいても社会とのつながりが切れないようにすることです。
地域密着型特養とショートステイも同じ書きぶり
同じ条文は、ほかにもあります。
地域密着型介護老人福祉施設(指定地域密着型サービス基準 第142条)は、条見出しまで同じ「社会生活上の便宜の提供等」で、第1項の文言も特養と一致します。
短期入所生活介護(指定居宅サービス等基準 第135条)は、条見出しが「その他のサービスの提供」に変わりますが、中身は同じでした。
第百三十五条 指定短期入所生活介護事業者は、教養娯楽設備等を備えるほか、適宜利用者のためのレクリエーション行事を行わなければならない。
特養・地域密着型特養・ショートステイ。この3つが「行わなければならない」の側です。共通点は、利用者がそこで生活しているサービスだという点にあります。
こうした施設では、月間の行事予定表にレクの枠があらかじめ組まれていて、担当が持ち回りで割り振られることも多いでしょう。その割り振りは「余裕があればやる仕事」の当番ではなく、条文が求めているものを回す当番だった、ということになります。
老健のレクは「部屋は必須、行事は努力義務」

同じ入所施設でも、介護老人保健施設は書きぶりが変わりました。そして老健には、条文どうしの捻れがあります。
第21条は「努めるものとする」
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)の第21条です。
(その他のサービスの提供) 第二十一条 介護老人保健施設は、適宜入所者のためのレクリエーション行事を行うよう努めるものとする。
特養との違いは2つあります。
| 比較の観点 | 特養(第16条) | 老健(第21条) |
|---|---|---|
| 条見出し | 社会生活上の便宜の提供等 | その他のサービスの提供 |
| 語尾 | 行わなければならない(義務) | 行うよう努めるものとする(努力義務) |
| 設備への言及 | 「教養娯楽設備等を備えるほか」あり | なし |
条文だけを見れば、老健のほうがレクの位置づけは軽い。在宅復帰を目指す施設で、リハビリテーションが中心に置かれていることを思えば、理解できる書き分けではあります。
ところが設備基準では、必置の施設に入っている
ここからが本題です。同じ省令の設備基準(第3条)を開くと、老健が備えるべき施設が13種類、番号を振って列挙されています。
一 療養室 二 診察室 三 機能訓練室 四 談話室 五 食堂 六 浴室 七 レクリエーション・ルーム 八 洗面所 九 便所 十 サービス・ステーション 十一 調理室 十二 洗濯室又は洗濯場 十三 汚物処理室
**七番目に、レクリエーション・ルームがあります。**療養室や機能訓練室と並ぶ、必置の施設としてです。
さらに、同じ条の第2項では施設ごとの基準まで定められていました。項が変わるため号の番号もずれて、レクリエーション・ルームは第6号にあたります。
六 レクリエーション・ルーム レクリエーションを行うために十分な広さを有し、必要な設備を備えること。
「レクリエーションを行うために十分な広さ」。部屋の広さの基準が、レクリエーションを行うことを前提に書かれています。
部屋は必ず要るのに、行事は努力義務
整理すると、老健はこうなっています。
- 設備基準: レクリエーション・ルームは必置。十分な広さと必要な設備を備えること
- 運営基準: レクリエーション行事は、行うよう努めるものとする
**部屋は必ず作らせるのに、そこで行事をやるかどうかは努力義務。**条文としては、たしかに捻れています。
条文に理由は書かれていません。そのうえで、こう読むこともできます。
場を用意することは施設の側の責任で、そこで何をどれだけ行うかは入所者の状態や在宅復帰の計画に委ねられている、という読み方です。老健は在宅復帰を目指す通過点の施設なので、画一的に行事を義務づけるより個別の計画を優先させた、と考えると筋は通ります。
ただしこれは記事の側の読み筋であって、条文に書かれていることではありません。
現場では、レクリエーション・ルームが食事や機能訓練の場と兼用になっている施設も珍しくないでしょう。それでも、老健で「レクは余力があればやるもの」と扱われているとしたら、部屋のほうは基準で必ず要求されていることは知っておいてよいはずです。
短期入所療養介護と介護医療院も努力義務
同じ「努めるものとする」の側に、あと2つあります。
短期入所療養介護(指定居宅サービス等基準 第152条)。
第百五十二条 指定短期入所療養介護事業者は、適宜利用者のためのレクリエーション行事を行うよう努めるものとする。
同じショートステイでも、生活介護のほう(第135条)は義務で「教養娯楽設備等を備えるほか」が付くのに対し、療養介護のほうは努力義務で設備への言及がありません。同じ「ショート」でも、条文は別物だということです。
そして、老健と同じ捻れを持つ施設がもうひとつあります。介護医療院です。
介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)の第24条は、こう定めています。
(その他のサービスの提供) 第二十四条 介護医療院は、適宜入所者のためのレクリエーション行事を行うよう努めるものとする。
運営基準は努力義務。ところが設備基準(第5条)を見ると、備えるべき14の施設の八番目にレクリエーション・ルームが挙げられ、その基準も「レクリエーションを行うために十分な広さを有し、必要な設備を備えること」と定められていました。
**老健とまったく同じ構造です。**部屋は必置で、行事は努力義務。つまりこの捻れは老健だけの特殊事情ではなく、医療系の施設サービスに共通する作りだということになります。
なお、かつて同じ努力義務の規定を持っていた指定介護療養型医療施設(療養型基準 第20条)は、経過措置期間の満了により2024年3月31日で廃止され、介護医療院などへ移行しました。現在この種別の施設はありません。
医療の色が濃いサービスほど、レクの義務は軽くなる。条文を並べると、その傾向が見えてきます。
デイサービスには、レクリエーションの規定がない

ここでいちばん意外なのが、通所介護です。レクをいちばん多くやっている現場かもしれないのに、条文には出てきません。
通所介護の章に、この語がない
指定居宅サービス等基準の通所介護の章(第93条以降)を通して読んでも、「レクリエーション」の語は現れません。同じ省令の中で語が出てくるのは、前の章で見た短期入所生活介護と短期入所療養介護の2か所だけです。
デイサービスの一日には、たいてい何らかのレクの時間があります。記録用紙にレク欄が刷り込まれていて、そこだけ「実施・参加:可」の定型で埋まる事業所もあります。それでも、法令はこの行為を名指ししていません。
代わりにあるのは機能訓練
では何が書かれているのか。通所介護の具体的取扱方針(第98条)です。
一 指定通所介護の提供に当たっては、次条第一項に規定する通所介護計画に基づき、利用者の機能訓練及びその者が日常生活を営むことができるよう必要な援助を行う。
同じ条の第6号は、もう少し広く書いています。
六 指定通所介護は、常に利用者の心身の状況を的確に把握しつつ、相談援助等の生活指導、機能訓練その他必要なサービスを利用者の希望に添って適切に提供する。特に、認知症である要介護者に対しては、必要に応じ、その特性に対応したサービスの提供ができる体制を整える。
「相談援助等の生活指導、機能訓練その他必要なサービス」。レクリエーションはこの「その他必要なサービス」に含めて読むことになります。名指しはされていないけれど、除外もされていないという位置です。
通所介護計画は「機能訓練等の目標」を書く
もうひとつ、デイのレクを考えるうえで外せない条文があります。通所介護計画の作成(第99条)です。
第九十九条 指定通所介護事業所の管理者は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成しなければならない。
計画に書くのは「機能訓練等の目標」。そして同条第5項は、こう続きます。
5 通所介護従業者は、それぞれの利用者について、通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行う。
**サービスの実施状況と、目標の達成状況。**この2つを記録することが、従業者に求められました。
だからデイのレクは、計画とつながらないと宙に浮く
ここまでを合わせると、デイサービスのレクの立ち位置が見えてきます。
特養なら、レクは第16条に名指しされているので、それ自体が根拠になります。デイにはその根拠がありません。通所介護計画の目標につながって初めて、記録に載る意味を持つという構造です。
逆にいえば、計画の目標とつながっていないレクは、時間としては存在しても、書類の上では説明しにくいものになります。「今日はボール送りをしました。参加:可」という記録が、何の目標に向かっているのかを示せない状態です。
では、レクは機能訓練の目標とどうつながるのか。次の章で、国の通知が挙げた具体例を見ます。
「週に1回、囲碁教室に行く」が機能訓練の目標になる

機能訓練と聞くと、平行棒や滑車を思い浮かべる人が多いはずです。ところが国の通知を読むと、想定されている目標はかなり違います。
通知は、目的を否定形で切っている
厚生労働省老健局振興課長の通知「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について」(老振発第0327第2号・平成27年3月27日)です。なおこれは平成27年の通知で、加算の区分・単位数はその後の報酬改定で再編されています。ここで扱うのは要件そのものではなく、通知が示した目標の立て方の考え方です。
個別機能訓練加算(Ⅱ)は、専従の機能訓練指導員を配置し、利用者が居宅や住み慣れた地域において可能な限り自立して暮らし続けることができるよう、身体機能の向上を目的として実施するのではなく、①体の働きや精神の働きである「心身機能」、②ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、③家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」といった生活機能の維持・向上を図るために、機能訓練指導員が訓練を利用者に対して直接実施するものである。
読みどころは「身体機能の向上を目的として実施するのではなく」という否定形です。加算の説明文が、まず何を目的にしないかから書き始めています。
心身機能・活動・参加という3つの並びは、生活機能をとらえる国際的な枠組みの構成要素にあたります。この枠組みが介護の書類にどう入り込んでいるかはICFとは(生活機能モデル)で詳しく扱いました。
「週に1回」という頻度が付いている
そして、この通知でいちばん引きたいのが目標の例です。
従って、例えば、単に「関節可動域訓練」「筋力増強訓練」といった身体機能向上を中心とした目標ではなく、「週に1回、囲碁教室に行く」といった具体的な生活上の行為の達成が目標となる。
**「週に1回、囲碁教室に行く」。**これが国の通知に書かれた、機能訓練の目標の例です。
注目したいのは「週に1回」という部分です。「囲碁を楽しむ」でも「社会参加を促す」でもなく、頻度の付いた行動として書かれています。達成したかどうかを、後から数えられる形です。
同じ通知は、居宅での生活行為や地域での社会的関係を保つ行為も目標になり得るとしていて、そこには買い物や家族とのやりとりが並びます。同じ趣旨の例示は令和3年の通知にも引き継がれており、そちらは前掲のICFの記事で扱いました。
**「レクは遊び、機能訓練はリハビリ」という現場の線引きを、この通知は正面から崩しています。**囲碁を打つことが目標なら、囲碁を打つ時間は目標に向かう時間です。それをレクと呼ぶか機能訓練と呼ぶかは、呼び方の問題にすぎません。
やり方も書かれている
通知は、目標だけでなく手法にも踏み込みました。
生活機能の維持・向上のための訓練を効果的に実施するためには、実践的な訓練を反復して行うことが中心となるため、身体機能を向上とすることを目的とした機能訓練とは異なるものである。
実際の行為そのもの、あるいはそれを模した行動を繰り返す。囲碁教室に行くことが目標なら、囲碁を打つ練習をする。それが通知の言う実践的な訓練にあたります。
**「反復」という語が使われているのが要です。**1回きりのイベントではなく、繰り返せる形にすることが求められています。月に1度の大きな行事より、毎週同じ時間にある小さな活動のほうが、この考え方には合います。
介護職員は「機能訓練指導員等」に含まれている
もうひとつ押さえておきたいのが、誰が計画を作るのかという部分です。
個別機能訓練は、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師。以下同じ。)、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職の者(以下「機能訓練指導員等」という。)が共同して、利用者ごとにその目標、実施時間、実施方法等を内容とする個別機能訓練計画を作成し行うものである。
介護職員が、名指しで入っています。「機能訓練指導員等」という括りの中に、介護職員と生活相談員が含まれる書き方です。
日ごろレクを回している人は、その利用者が何を楽しみ、何をおっくうがるかをいちばん見ています。目標を立てる場に加わる根拠は、この一文です。
なお、算定要件の現行の詳細は最新の告示と保険者の運用によります。加算を算定できるかどうかの判断は保険者が行うものなので、実際の運用は職場の管理者や生活相談員に確認してください。
サービス種別でレクリエーションの重みは変わる

ここまで見てきた条文を、整理します。その前に、いちばん多く聞かれる問いに答えておきましょう。
では、レクリエーションの目的は何か
条文から答えると、目的は2つに分かれます。
**施設系では、社会生活上の便宜を提供すること。**特養と地域密着型特養の条見出しが、そのまま示しているとおりです。入所したことで社会から切り離されないようにする。行政手続の代行や外出の機会と同じ条に置かれているのは、そのためだと読めます。
**通所系では、通所介護計画の目標を達成すること。**デイにはレク自体の規定がなく、あるのは機能訓練と計画です。前の章で見た「週に1回、囲碁教室に行く」のように、その人の生活上の行為につながって初めて意味を持ちます。
| サービスの系統 | 条文から読める目的 | 根拠 | 記録を書くときの起点 |
|---|---|---|---|
| 施設系(特養・地域密着型特養・ショートステイ) | 社会生活上の便宜の提供 | 条見出しと、同じ条に並ぶ規定 | その人にとって、どんな社会生活上の便宜だったか |
| 通所系(デイサービス) | 通所介護計画の「機能訓練等の目標」の達成 | 第98条・第99条 | 計画のどの目標につながる時間だったか |
「楽しませること」が目的だと教わることが多いのですが、条文はそう書いていません。楽しさは目的そのものというより、続けられる形にするための条件として置かれていると読めます。レクの意義をどこに置くかについては、条文のほうが先に答えを出していました。
なお現場では「アクティビティ」という呼び方も使われます。ただし、ここまで見てきた条文にこの語は出てきません。**法令が使っているのは「レクリエーション行事」**のほうです。書類や指導の場面で条文を参照するときは、この語で探すことになります。
一覧で見る
| サービス | 系統 | 条文 | レクリエーションの規定 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 生活の場 | 指定介護老人福祉施設基準 第16条(社会生活上の便宜の提供等) | 教養娯楽設備等を備えるほか、行わなければならない |
| 地域密着型特養 | 生活の場 | 指定地域密着型サービス基準 第142条(社会生活上の便宜の提供等) | 同上(義務) |
| 短期入所生活介護 | 生活の場 | 指定居宅サービス等基準 第135条(その他のサービスの提供) | 同上(義務) |
| 介護老人保健施設 | 医療寄り | 老健基準 第21条(その他のサービスの提供) | 行うよう努めるものとする。ただし設備基準(第3条)でレクリエーション・ルームが必置 |
| 介護医療院 | 医療寄り | 介護医療院基準 第24条(その他のサービスの提供) | 行うよう努めるものとする。ただし設備基準(第5条)でレクリエーション・ルームが必置 |
| 短期入所療養介護 | 医療寄り | 指定居宅サービス等基準 第152条(その他のサービスの提供) | 行うよう努めるものとする |
| 通所介護(デイサービス) | 通い | — | 規定なし。あるのは機能訓練と通所介護計画 |
かつて同じ努力義務の規定を持っていた指定介護療養型医療施設は、2024年3月31日で廃止されました。そのため一覧からは外してあります。
なぜ、この線引きになるのか
「系統」の列を見ると、分かれ目がはっきりします。義務なのは利用者がそこで生活しているサービス、努力義務なのは医療の色が濃いサービス、規定がないのは日中だけ通ってくるサービスでした。
レクの重みは、その人がそこで暮らしているかどうかで変わっています。
生活の場では、社会とのつながりを保つことが施設の責任になります。暮らしのすべてがそこで完結してしまうからです。医療寄りの施設では、治療や在宅復帰の計画が優先される。ただし部屋は用意させるところに、生活の場としての性格も残されています。
通いのサービスは、家に帰ってからの生活のほうが本体です。だから施設の中での行事を義務づけるのではなく、その人の目標につなげる形をとった。条文を並べただけですが、それぞれのサービスが何を大事にしているかの見取り図になっています。
回数が少ない=違反、という話ではない
ここは慎重に書いておきます。
義務の条文があるからといって、レクの回数が少ない事業所が直ちに基準違反だとは言えません。条文には「適宜」という語が入っていて、頻度も内容も事業所の裁量に委ねられています。指定基準に沿った運営がなされているかを判断し、必要な指導を行うのは保険者や都道府県の役割です。
この記事が言えるのは、条文にはこう書いてあるというところまでになります。
そのうえで、現場の実感として使える見方はあります。特養やショートで「レクは余裕があるときにやるもの」という扱いになっているなら、それは条文の書きぶりとはずれているということです。「行わなければならない」と書かれているものを、余力の範囲の仕事として置いているわけですから。
自分の職場の条文を、1度読んでおく
条文はどれも短く、e-Gov法令検索で無料で読めるものです。自分の施設種別の該当条文を1度開いておくと、レクの話が出たときの足場になります。
見るのは3か所だけです。
- 条見出し(「社会生活上の便宜の提供等」なのか「その他のサービスの提供」なのか)
- 語尾(「行わなければならない」なのか「努めるものとする」なのか)
- 設備への言及(「教養娯楽設備等を備えるほか」や、設備基準のレクリエーション・ルームがあるか)
この3つで、自分の職場でレクがどこに立っているかは、おおよそ分かります。
レクリエーションの記録に何を残すか

最後に、ここまでの話を記録に落としましょう。レクの記録は、レクの立場をそのまま映します。
「参加:可」では何も残らない
いちばんよく見るのが、この形です。
| 書き方 | あとから読んだ人が受け取るもの |
|---|---|
| ボール送り実施。参加:可 | その人がいたことしか分からない |
| ボール送り。◯◯様、右手でボールを受け取り隣へ渡す動作を10回。前回は5回で疲れを訴えたが今回は最後まで参加 | 何をどれだけしたかが分かる |
| 参加:不可 | 断ったのか、体調が悪かったのか、誘えなかったのかが分からない |
| 声かけしたが「今日は見ている」と希望。テーブル横で最後まで見学し、他利用者の得点に拍手 | 本人の選択と、その場での様子が分かる |
「参加:可」の3文字は、書く側の負担はいちばん軽い。ただ、次に読む人が受け取れるものはほとんどありません。
とくに下の2行は、参加していない人の記録です。断ることも選択で、見ていることも参加のしかたのひとつです。それを「不可」の2文字にすると、その人の意思が消えます。
誰の、どの目標につながる時間だったか
デイサービスの章で見たとおり、通所介護計画には「機能訓練等の目標」を書き、従業者は「サービスの実施状況及び目標の達成状況」を記録することとされていました。
つまり記録に求められているのは、実施したという事実だけではありません。目標に対してどうだったかのほうです。
前の章で見た通知の例に沿えば、こうなります。
| 計画の目標 | レクの時間に書けること |
|---|---|
| 週に1回、囲碁教室に行く | 囲碁の相手を務めた時間、集中の続いた長さ、席を立つまでの経過 |
| 孫とメールの交換をする | 文字を書く・打つ場面での様子、手指の動き、目の疲れの訴え |
| 商店街に買い物に行く | 買い物ゲームでの計算・やりとり、立位を保てた時間 |
同じボール送りでも、その人の目標が「孫とメールの交換」なら、注目するのは手指の動きになります。レクの内容は同じでも、記録に残す場所は人によって変わるということです。
レクの記録3点
明日から使える形にまとめましょう。レクの記録を書いたら、3つだけ確かめてみてください。
- ① 誰の、どの目標につながる時間だったか(計画の目標と結びつけられるか)
- ② その人が何をしたか(動作・発言・表情。参加しなかった場合はその選択も)
- ③ 次にどうつなぐか(次回に持ち越す観察点や、変えてみることを1行)
3つとも、この記事で見てきた条文と通知の構造を借りています。①は通所介護計画の「機能訓練等の目標」、②は「サービスの実施状況」、③は「目標の達成状況」の記録に対応します。
施設系の場合は、①を「その人にとってどんな社会生活上の便宜だったか」と読み替えてください。特養の条文が置かれているのは、そういう見出しの下でした。
記録が変わると、レクの立場が変わる
「参加:可」しか残らない記録が続くと、レクはいつまでも人手のかかる余興として扱われます。何をどれだけしたかが残り、それが計画の目標につながっていることが読み取れれば、レクは計画に基づくケアの一部として扱えます。
書き手の側から変えられるのは、そこです。
もちろん、記録を厚くすれば時間はかかります。全員分をこの形で書く必要もありません。その日いちばん動きのあった人、あるいは目標の見直しが近い人を1人決めて、その人だけ書く。そこからで十分です。
まとめ|レクの重みは、暮らしの場かどうかで変わる

特養・地域密着型特養・ショートステイでは、レクリエーション行事は「行わなければならない」と書かれていました。しかも特養の条文が置かれているのは「社会生活上の便宜の提供等」という見出しの下で、行政手続の代行や外出の機会と並んでいます。
老健と介護医療院は努力義務ですが、どちらも設備基準でレクリエーション・ルームが必置でした。部屋は必ず要るのに、行事は努力義務。この捻れは医療系の施設サービスに共通する作りです。
デイサービスにはレクの規定がありません。代わりにあるのは機能訓練と通所介護計画で、国の通知はその目標の例として「週に1回、囲碁教室に行く」を挙げていました。レクと機能訓練は、目標のところでつながります。
次の一歩は、いくつかの選び方があります。自分の施設種別の条文をe-Gov法令検索で開いて、条見出しと語尾を確かめてみる。直近のレクの記録を1件開いて、「参加:可」以外に何が書いてあるかを見てみる。あるいは、次のレクで1人だけ決めて、その人の目標に結びつく様子を1行書き足してみるのもいいでしょう。
どれか1つで構いません。レクを軽く扱っているのは、少なくとも条文の側ではありませんでした。
よくある質問
介護のレクリエーションとは何ですか?
利用者が社会生活を続けられるようにするために、施設や事業所が行う行事や活動のことです。法令にも規定があり、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の運営基準は第16条で「教養娯楽設備等を備えるほか、適宜入所者のためのレクリエーション行事を行わなければならない」と定めています。注目したいのは、この条文が置かれている条見出しが「社会生活上の便宜の提供等」であることです。同じ条には、日常生活に必要な行政機関等への手続の代行(第2項・義務)、家族との交流の機会の確保(第3項・努力義務)、外出の機会の確保(第4項・努力義務)が並びます。レクリエーションは娯楽としてではなく、施設にいても社会とのつながりが切れないようにするための仕組みとして位置づけられているといえるでしょう。なお「適宜」とあるとおり、頻度や内容は事業所の裁量に委ねられています。
レクリエーションの目的は何ですか?
社会生活上の便宜を提供すること、そして利用者の生活機能を保つことです。前者は特別養護老人ホームの運営基準第16条の条見出しがそのまま示しています。後者については、通所介護の側の資料が具体的です。厚生労働省老健局振興課長通知(老振発第0327第2号・平成27年3月27日)は、個別機能訓練加算(Ⅱ)について「身体機能の向上を目的として実施するのではなく」、①心身機能、②ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、③家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」の維持・向上を図るものだと説明しています。同通知は目標の例として「週に1回、囲碁教室に行く」「商店街に買い物に行く」「孫とメールの交換をする」を挙げました。楽しませることそのものが目的というより、その人の生活と社会との接点を保つことが目的だと読めます。
レクリエーションをやらないと法令違反になりますか?
サービス種別によって条文の書きぶりが違います。特別養護老人ホーム(第16条)、地域密着型介護老人福祉施設(第142条)、短期入所生活介護(第135条)は「行わなければならない」という義務の書き方です。一方、介護老人保健施設(第21条)、介護医療院(第24条)、短期入所療養介護(第152条)は「行うよう努めるものとする」という努力義務にとどまります。ただし老健と介護医療院は、設備基準でレクリエーション・ルームを必置としており、部屋は必ず要るのに行事は努力義務という構造になっています。なお、かつて同じ努力義務の規定を持っていた指定介護療養型医療施設は2024年3月31日で廃止されました。通所介護には、レクリエーションについての規定自体がありません。ただし義務の条文がある場合でも、条文には「適宜」とあり、頻度や内容は事業所の裁量です。指定基準に沿った運営がなされているかを判断し、必要な指導を行うのは保険者や都道府県の役割になります。回数が少ないことが直ちに違反だと個別に判断できるものではありません。
デイサービスのレクリエーションは、何を根拠に行っているのですか?
通所介護計画の目標につながる形で行われます。指定居宅サービス等基準の通所介護の章に「レクリエーション」の語はなく、第98条が定めるのは「通所介護計画に基づき、利用者の機能訓練及びその者が日常生活を営むことができるよう必要な援助を行う」ことです。同条第6号の「相談援助等の生活指導、機能訓練その他必要なサービス」に含めて読むことになります。第99条は、管理者が「機能訓練等の目標」と具体的なサービス内容を記載した通所介護計画を作成すること、従業者が「通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録」を行うことを定めています。つまりデイのレクは、それ自体を名指しした根拠を持たない代わりに、計画の目標と結びつくことで意味を持つ構造です。
レクリエーションの記録には何を書けばよいですか?
実施した事実だけでなく、目標に対してどうだったかを書きます。通所介護の運営基準(第99条第5項)は、従業者が「通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録」を行うこととしています。「ボール送り実施。参加:可」だけでは、その人がその場にいたことしか残りません。たとえば「右手でボールを受け取り隣へ渡す動作を10回。前回は5回で疲れを訴えたが今回は最後まで参加」のように、何をどれだけしたかを書くと、次に読む人が変化を追えます。参加しなかった場合も「参加:不可」ではなく、「声かけしたが『今日は見ている』と希望。テーブル横で最後まで見学」のように、本人の選択とその場の様子を残しておくと、断ったのか体調が悪かったのかが区別できます。あわせて、その時間がどの目標につながるのかを書き添えると、レクが計画に基づくケアの一部として扱いやすくなるはずです。
出典
- e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」第16条(社会生活上の便宜の提供等・レクリエーション行事は義務) (1999年(平成11年)厚生省令第39号/2026年閲覧)
- e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第98条・第99条・第135条・第152条(通所介護の機能訓練と計画/短期入所のレクリエーション規定) (1999年(平成11年)厚生省令第37号/2026年閲覧)
- e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」第3条・第21条(レクリエーション・ルームは必置/行事は努力義務) (1999年(平成11年)厚生省令第40号/2026年閲覧)
- e-Gov法令検索「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」第5条・第24条(レクリエーション・ルームは必置/行事は努力義務) (2018年(平成30年)厚生労働省令第5号/2026年閲覧)
- e-Gov法令検索「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」第142条(地域密着型特養・社会生活上の便宜の提供等) (2006年(平成18年)厚生労働省令第34号/2026年閲覧)
- e-Gov法令検索「指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準」第20条(介護療養型医療施設は経過措置期間の満了により2024年3月31日をもって廃止) (1999年(平成11年)厚生省令第41号/2026年閲覧)
- 厚生労働省老健局振興課長「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について」(老振発第0327第2号・目標例「週に1回、囲碁教室に行く」) (2015年(平成27年)3月27日)
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