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アセスメントとは|介護の課題分析標準項目23項目と2023年改正の要点

公開: 2026年7月31日 / 編集: 介護のしるべ編集部

内容確認: 2026年7月28日 ・ 次回確認期限: 2027年4月30日 ・ 編集部確認済み

アセスメントシートの空欄を前にして、手が止まることがあります。ひととおり話は聞いた。メモも取った。それなのに、どの欄に何を書けばいいのか決まらない。

埋まらない欄が残ったまま、実地指導で指摘されないだろうかと気になってくる。

利用者宅へ向かう車の中で「今日は何を聞こう」と考えあぐねる時間も、同じ種類の迷いです。

この迷いは、聞く力や書く力が足りないから起きるわけではありません。**アセスメントで何を聞くかは、国が23項目の枠として定めています。**課題分析標準項目といい、居宅介護支援の運営基準がいう「適切な方法」の中身がこれにあたります。枠を知らずに毎回ゼロから考えていれば、迷って当然です。

しかもこの23項目は、2023年10月に約24年ぶりの改正を受けました。「介護力」と「問題行動」という項目名が消え、「生活リズム」が新しく加わっています。手元のシートが古いままなら、いま国が求めている見方とずれているおそれがあるのです。

この記事では、アセスメントの法令上の定義を条文で確認したうえで、23項目の一覧と2023年の改正内容、そして「どこまで埋めればいいのか」に対する国の見解を、通知とQ&Aの原文で整理します。読み終えるころには、次の訪問で何を確認するかを自分で決められるはずです。

まず結論:アセスメントは聞く力より制度の枠から

何を聞くかは、国が23項目の枠として定めています。 課題分析標準項目といい、居宅介護支援の運営基準がいう「適切な方法」の中身がこれにあたります。質問力や洞察力を磨く前に、まず枠を知るほうが早い。

その23項目は2023年10月に改正され、「介護力」と「問題行動」という項目名が消えました。 約24年ぶりの見直しです。家族を介護の資源として見る捉え方を改めるため、と国が理由を明記しています。

「項目の主な内容(例)」をすべて埋める必要はありません。 埋まっていないことだけを理由に実地指導で基準違反としないよう、国が保険者に向けて留意を求めています。

書式の空欄を前にして手が止まるとき、足りないのは聞く技術ではなく、この枠と国の見解を知らないことのほうが多いはずです。

介護のアセスメントとは|介護過程での位置づけ

アセスメントという言葉は現場で毎日使われますが、法令上の定義があることは意外と知られていません。この節では条文から定義を確認し、インテークやモニタリングとの関係、そしてケアマネジャーと介護職で範囲がどう違うのかを整理します。

アセスメントは情報収集と課題分析の2段階

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)の第13条が、居宅介護支援の具体的な取扱方針を定めた条文です。その第6号にこうあります。

介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により、利用者について、その有する能力、既に提供を受けている指定居宅サービス等のその置かれている環境等の評価を通じて利用者が現に抱える問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しなければならない。

続く第7号が、決定的です。

介護支援専門員は、前号に規定する**解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)**に当たっては、利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、介護支援専門員は、面接の趣旨を利用者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。

つまり省令は、アセスメントを**「解決すべき課題の把握」**と定義しています。情報を集めることではありません。集めた情報から課題を導くところまでが、法令上のアセスメントです。

ここを押さえると、シートが埋まったのに何も決まらない、という状態の正体が見えます。情報収集は終わっているが課題分析が終わっていない。アセスメントは2段階で、後半こそが本体だということです。

もう一点。第7号は「利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない」と義務として書いています。電話や書類だけで済ませる方法は、条文が想定していません。

担当件数が多い時期ほど、電話で状況を聞いて済ませたくなります。ただ、玄関を上がって初めて見えるものがあるのも確かです。

台所に届いたままの宅配の箱、居間の隅に積まれた薬の袋、真夏なのに動いていないエアコン。訪問と面接を義務にしているのは、そういうものを見るためでもあります。

介護過程の4つのプロセス

介護福祉士の養成課程では一般に、介護過程を「アセスメント→計画の立案→実施→評価」の循環として教えられます。介護職員が個別援助計画に関わるときも、土台になるのはこの流れです。

居宅介護支援の場合は、この流れが運営基準の条文としてより細かく定められています。

段階条文内容
アセスメント第13条第6号・第7号解決すべき課題の把握。居宅を訪問し、利用者と家族に面接して行う
計画の原案作成第13条第8号アセスメントの結果に基づき、居宅サービス計画の原案を作成する
サービス担当者会議第13条第9号担当者を招集し、専門的な見地からの意見を求める
説明と同意第13条第10号原案を説明し、文書により利用者の同意を得る
モニタリング第13条第13号・第14号実施状況の把握。少なくとも1月に1回、利用者に面接する

介護職員が施設で個別援助計画に関わる場合も、考え方は同じです。ただし居宅サービス計画(ケアプラン)を作るのは介護支援専門員であり、施設や事業所が作るのは、それに沿った個別のサービス計画になります。

インテーク・モニタリングとの違い

三つの言葉は時系列で並びますが、境目は思われているほどはっきりしていません。

インテークは最初の相談受付を指す言葉です。どんな困りごとで相談に来たのか、そもそも介護保険の対象なのかを確認し、支援関係を結ぶ段階を指します。運営基準の条文に出てくる用語ではなく、相談援助の実践のなかで使われてきた言い方です。

モニタリングについては、運営基準の第13条第13号・第14号に定義があります。

介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成後、居宅サービス計画の**実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。)**を行い、必要に応じて居宅サービス計画の変更、指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うものとする。

注目してほしいのは括弧の中です。実施状況の把握には「利用者についての継続的なアセスメント」が含まれる、と書かれています。アセスメントとモニタリングは並列ではなく、入れ子の関係にあるわけです。

多くの解説は「アセスメントは最初、モニタリングは後」と対比しますが、条文の建て付けはそうなっていません。モニタリングのたびに、状態が変わっていないかを見直す。それ自体がアセスメントの続きです。

なお第14号は、モニタリングについて「少なくとも一月に一回、利用者に面接すること」「イの規定による面接は、利用者の居宅を訪問することによって行うこと」と定めています。一定の要件を満たせばテレビ電話装置等を活用できる例外もありますが、原則は月1回の訪問面接です。

ケアマネと介護職で範囲が違う

同じ「アセスメント」でも、職種によって守備範囲が変わります。ここを混同すると、話が噛み合いません。

立場アセスメントの対象根拠となる枠
介護支援専門員(ケアマネジャー)生活全般。居宅サービス計画のための課題把握運営基準第13条+課題分析標準項目23項目
サービス提供責任者訪問介護計画のための状況把握訪問介護の運営基準+ケアプラン
施設の介護職員・生活相談員個別援助計画のための状況把握施設サービス計画+各施設の様式

ケアマネジャーが生活全般を見るのに対して、事業所側はケアプランに位置づけられたサービスの範囲を深く見ます。どちらが上位ということではなく、見る幅と深さが違うだけです。

そして、事業所側が現場で気づいた変化は、ケアマネジャーの継続的なアセスメントの材料になります。「これはケアマネの仕事だから」と抱え込まずに伝えることに、意味があるわけです。

課題分析標準項目23項目|国が定めた情報収集の枠

前の章で見た運営基準第13条第6号は、課題の把握を「適切な方法により」行うよう求めていました。その適切な方法の中身として国が示しているのが、課題分析標準項目です。基本情報に関する9項目と、課題分析に関する14項目の、合わせて23項目で構成されています。

項目が23もあると聞くと身構えるかもしれません。担当件数と書類の負荷は、それでなくても重いものです。

ただ、国は改正のQ&Aで「なお、情報収集項目がこれまでと変わるわけでない」と明記しています。項目の数が増えたわけでも、集める情報の範囲が広がったわけでもありません。この23項目は、聞くべきことの地図として使えます。

基本情報に関する9項目

前半の9項目は、支援の前提となる情報です。

No.標準項目名主な内容
1基本情報(受付、利用者等基本情報)受付日時・対応者・受付方法、氏名や連絡先、居宅サービス計画作成の状況(初回、初回以外)
2これまでの生活と現在の状況現在の生活状況と、これまでの生活歴
3利用者の社会保障制度の利用情報被保険者情報、年金の受給状況、生活保護受給の有無、障害者手帳の有無、その他の社会保障制度等の利用状況
4現在利用している支援や社会資源の状況介護保険・医療保険・障害福祉のサービス、自治体の公的サービス、フォーマルサービス以外の生活支援サービスを含む
5日常生活自立度(障害)要介護認定を受けた際の判定に加え、介護支援専門員からみた現在の自立度
6日常生活自立度(認知症)同上
7主訴・意向利用者の主訴や意向、家族等の主訴や意向
8認定情報要介護状態区分、審査会の意見、区分支給限度額等
9今回のアセスメントの理由初回、要介護認定の更新、区分変更、サービスの変更、退院・退所、入所、転居、そのほか生活状況の変化等

No.5とNo.6の日常生活自立度は、要介護認定のときの判定をそのまま写すだけではありません。認定から時間が経てば、状態は変わるものです。

国のQ&Aも「介護支援専門員による、現在の利用者の状態を踏まえた判断も併せて確認することが望ましい」としています。判定基準そのものは日常生活自立度の判定基準を扱ったADLの記事で詳しく説明しました。

課題分析に関する14項目

後半の14項目が、本人の状況を多面的に見るための枠です。

No.標準項目名主な内容(例)から
10健康状態身長・体重・BMI・血圧、既往歴、主傷病、症状、痛みの有無、受診の状況、服薬に関する状況
11ADL寝返り、起きあがり、座位保持、立位保持、立ち上がり、移乗、移動方法、歩行、階段昇降、食事、整容、更衣、入浴、トイレ動作等
12IADL調理、掃除、洗濯、買物、服薬管理、金銭管理、電話、交通機関の利用、車の運転等
13認知機能や判断能力日常の意思決定を行うための認知機能の程度、判断能力の状況、認知症と診断されている場合の中核症状及び行動・心理症状の状況
14コミュニケーションにおける理解と表出の状況理解の状況、表出の状況(視覚・聴覚等の能力、言語・非言語における意思疎通)、コミュニケーション機器・方法等
15生活リズム1日及び1週間の生活リズム・過ごし方、日常的な活動の程度、休息・睡眠の状況
16排泄の状況排泄の場所・方法、尿意便意の有無、失禁の状況、後始末の状況、排泄リズム、排泄内容
17清潔の保持に関する状況入浴や整容の状況、皮膚や爪の状況、寝具や衣類の状況
18口腔内の状況歯の状態、義歯の状況、かみ合わせ、口腔内の状態、口腔ケアの状況
19食事摂取の状況食形態、食事回数、食事量、栄養状態、水分量、摂食嚥下機能の状態、必要な食事の量、食事制限の有無
20社会との関わり家族等との関わり、地域との関わり(参加意欲、現在の役割、参加している活動)、仕事との関わり
21家族等の状況本人の日常生活あるいは意思決定に関わる家族等の状況、家族等による支援への参加状況(参加意思、現在の負担感)
22居住環境日常生活を行う環境、リスクになりうる状況、環境を維持するための機器等、自宅周辺の環境や利便性
23その他留意すべき事項・状況虐待、経済的困窮、身寄りのない方、外国人の方、医療依存度が高い状況、看取り等

No.11のADLとNo.12のIADLは、それだけで1本の記事になる分量があります。何をADLと呼び、何をIADLと呼ぶのか、そして「できる」と「している」のどちらを書くのかはADLの記事にまとめました。

「すべて埋めなくてよい」と国が明言している

23項目の表を見て、これを全部埋めるのかと気が重くなった方もいるはずです。ここが、この記事でいちばん伝えたい部分になります。

国は「課題分析標準項目の改正に関するQ&A」で、こう述べています。

「項目の主な内容(例)」について、各項目の解釈の違いにより把握する内容に差異が生じないよう、全体的に具体的な加筆を増やしているが、これらの内容についてすべての情報収集を行うことを求めるものではなく、各利用者の課題分析に必要な情報を判断するための例示であることに留意されたい。

さらに踏み込んだ一文が続きます。

なお、各保険者においては実地指導等において、「項目の主な内容(例)」に記載されている内容が把握されていないことのみをもって、アセスメントが適切に行われていないと判断し、基準違反とすることが無いよう留意されたい。

保険者に向けて、埋まっていないことだけを理由に基準違反としないよう求めているわけです。国が現場ではなく指導する側に釘を刺している、という構図になります。

これは「書かなくていい」という意味ではありません。その利用者の課題分析に必要な情報かどうかを、専門職として判断してよいという意味です。判断した以上、なぜその項目を確認しなかったのかは説明できる必要があります。

とはいえ、「項目の主な内容(例)」の欄が埋まっていないこと自体が、ただちに基準違反になるわけではありません。全項目を機械的に埋める作業から、必要な情報を選ぶ判断へ。国が求めているのは後者のほうです。

2023年の改正で消えた「介護力」と「問題行動」

前の章で示した23項目は、2023年10月16日に改正されたものです。この改正には、単なる文言整理では済まない意味があります。

約24年ぶりの改正で何が変わったか

課題分析標準項目が示されたのは平成11年11月12日の老企第29号。それが令和5年10月16日の老認発1016第1号で一部改正されました。国のQ&Aは、改正の理由をこう説明しています。

課題分析標準項目については、これまで大幅な改正は行ってこなかったが、項目の名称や「項目の主な内容(例)」の記載が一部現状とそぐわないものになっていることや、令和6年4月から開始される新たな法定研修カリキュラムにおいて「適切なケアマネジメント手法」が盛り込まれることを踏まえ、当該手法との整合性を図る必要があることから、文言の適正化や記載の充実を図ったものである。なお、情報収集項目がこれまでと変わるわけでない。

最後の一文が大事です。集める情報の範囲そのものが増えたわけではありません。変わったのは、何をどう呼ぶかです。そして呼び方の変更には、はっきりした意図がありました。

名称が変わったのは、23項目のうち17項目です。手元のシートと照らし合わせてみてください。

No.改正前改正後(2023年10月〜)
2生活状況これまでの生活と現在の状況
3利用者の被保険者情報利用者の社会保障制度の利用情報
4現在利用しているサービスの状況現在利用している支援や社会資源の状況
5障害老人の日常生活自立度日常生活自立度(障害)
6認知症である老人の日常生活自立度日常生活自立度(認知症)
7主訴主訴・意向
9課題分析(アセスメント)理由今回のアセスメントの理由
13認知認知機能や判断能力
14コミュニケーション能力コミュニケーションにおける理解と表出の状況
15社会との関わり生活リズム(新設)
16排尿・排便排泄の状況
17褥そう・皮膚の問題清潔の保持に関する状況
18口腔衛生口腔内の状況
19食事摂取食事摂取の状況
20問題行動社会との関わり
21介護力家族等の状況
23特別な状況その他留意すべき事項・状況

ただしNo.15は新しく設けられた項目、No.20は旧No.15「社会との関わり」が移ってきた枠で、単純な改称ではありません。

「老人」という語が項目名から消えたこと、状態を指す名詞(排尿・排便、口腔衛生)が「〜の状況」という形に揃えられたことも、あわせて確認できます。

「介護力」が「家族等の状況」になった理由

改正の意図がもっともよく表れているのが、No.21です。国のQ&Aは、変更の理由をこう書いています。

本人及び家族等の望む生活の実現を目指す観点から、家族等を介護のための資源としてとらえる「介護力」という一面的な捉え方を改めるため、修正したものである。

介護力という言葉は、長く現場で使われてきました。「この家は介護力が高い」「介護力が期待できない」。振り返ると、家族をどれだけ働けるかで測る言い方です。国はその捉え方を「一面的」と評し、公式に改めました。

新しい項目名のもとで確認するのは、次のようなことです。

本項目ではまず、本人の日常生活あるいは意思決定にかかわる家族等の関係者の状況を確認する必要がある。そのうえで、家族等もそれぞれの生活があることから、家族等本人の意向にも留意し、利用者本人の介護への参加に対する意欲や負担感を十分に確認することが重要である。

家族にもそれぞれの生活があります。参加する意思があるのか、いまどれだけの負担を感じているのか。資源の量ではなく、その人自身の状況を見る。項目名が変わるとは、こういうことでした。

なお「家族等」の「等」にも意味があります。国は「親族関係にある者のみだけでなく意思決定や支援に関わる者という意味を含めて」表記を統一したと説明しています。血縁だけが支え手ではない、という現実に合わせた変更です。

「問題行動」は認知機能や判断能力へ統合された

もう一つの大きな変化が、旧No.20「問題行動」の消滅です。改正前は行動面の困りごとが一つの項目として立っていましたが、現在この項目名は存在しません。

Q&Aはこう説明しています。

改正前の「No.20 問題行動」については、認知機能や判断能力と密接に関わりのある内容であることから、本項目に統合し、併せて情報収集を行うものであるため、留意すること。

統合先のNo.13は「認知機能や判断能力」で、その内容には「認知症と診断されている場合の中核症状及び行動・心理症状の状況(症状が見られる頻度や状況、背景になりうる要因等)」が含まれます。

行動そのものを問題として数えるのではなく、背景の要因まで含めて理解する。項目の位置が変わったことで、見る角度が変わっています。空いたNo.20には「社会との関わり」が移り、家庭内での役割や地域との関わり、仕事との関わりを見る項目になりました。

新設された「生活リズム」が意味すること

No.15の「生活リズム」は、今回まったく新しく設けられた項目です。Q&Aは新設の趣旨をこう述べています。

利用者の生活全般のケアマネジメントを行うにあたり、「1日のリズム、1週間のリズム」についても把握することが重要である。これまでの項目には含まれていなかった項目ではあるが、居宅サービス計画書(第3表)の作成に際して把握していた事項と考えられる。

見るのは、1日と1週間の過ごし方、日常的な活動の程度、休息と睡眠の状況です。中途覚醒や昼夜逆転も、この項目で扱います。

点としての状態ではなく、時間の流れの中でその人を見る。ADLが「何ができるか」なら、生活リズムは「どう過ごしているか」です。同じ要介護度でも、日中ほとんど臥床している人と、決まった時間に近所へ出かける人では、必要な支援がまるで違います。

改正された23項目を通して見ると、共通する方向が浮かびます。できないことを数える枠から、その人の生活を理解する枠へ。 名称の変更はその表れだと読めます。

アセスメントシートの書き方|事実と解釈を分ける

ここまでの内容を、実際の書式に落とし込みましょう。様式の位置づけを確認したうえで、書くときの原則を2つと、訪問前に決めておく5項目をまとめます。

様式は事業所ごとに違ってよい

まず押さえたいのは、国が示しているのは項目であって書式ではないということです。老認発1016第1号が定めているのは課題分析標準項目であり、居宅サービス計画書のほうには第1表から第7表までの標準様式が示されていますが、アセスメントシートそのものの様式は示されていません。

だから事業所によって、使っているシートの見た目はばらばらです。実務では複数の課題分析方式が使われており、介護ソフトに組み込まれた独自様式のこともあります。

どれが正しいという話ではありません。23項目を満たせるかどうかが軸で、書式の見た目は手段です。「隣の事業所と違うから間違っている」と心配する必要はありません。

事実と解釈を混ぜない

書き方の原則の一つ目は、見たことと考えたことを分けることです。

「意欲が低下している」「家族の協力が得られない」。こうした記述は、そう判断した根拠が書かれていないと、次に読む人には検証できません。

意欲が低下していると考えたのは、何を見たからなのか。デイの誘いを3回続けて断ったのか、居室から出る回数が減ったのか。事実が添えられて初めて、他の職種が別の解釈を持ち込めます。

混ざった書き方分けた書き方
入浴に意欲がない。週2回の入浴日に「今日はやめておく」と断ることが月に3〜4回。理由は「疲れているから」。(事実)意欲というより体力面の影響を推測。(解釈)
家族の協力が得られない。長女は片道1時間の距離に居住し、平日はフルタイム勤務。訪問は月2回程度。(事実)平日の支援参加は現実的に難しいと思われる。(解釈)
認知症が進行している。前回訪問時にはできていた服薬管理で、飲み忘れが週3〜4回。日付の認識にも変動あり。(事実)※診断や進行の判断は主治医に確認。

3つ目の例のように、医学的な判断はケアマネジャーや介護職員が下すものではありません。観察した事実を記録し、判断は医師に委ねる。この線引きも、事実と解釈を分ける作業の一部です。

本人の言葉はそのまま残す

原則の二つ目は、No.7「主訴・意向」に関わります。国のQ&Aは、この項目名に「意向」を加えた理由をこう説明しています。

「主訴」とは、利用者及び家族等との面談の中で最初に発せられた「訴え」を指すことが多いが、この「訴え」は利用者や家族等によってどの程度本人の真意を具体的に表現できているかが異なることが多く、単なる訴えから、今後の生活等に対する「要望」や「意向」を含むものまでありうる。

最初に発せられた訴えが、その人の本当の望みとは限らない。だからこそ、本人が言った言葉をこちらの言葉に翻訳せずに残す意味があります。

「迷惑をかけたくない」という言葉を「サービス利用に消極的」とまとめてしまうと、その奥にあるもの——遠慮なのか、費用の心配なのか、家族との関係なのか——が消えてしまうのです。カギ括弧のまま残しておけば、後から読み返したときに別の意味が見えることがあります。

集めた情報から課題を導く

情報が集まっても課題文が書けない、という詰まり方があります。ここで戻るべきは、運営基準第13条第6号の言い回しです。

条文が求めているのは「利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題」の把握でした。つまり課題とは、できないことの一覧ではありません。自立した日常生活を妨げているものは何か、という問いに対する答えです。

同じ「入浴していない」という事実からでも、導かれる課題は変わります。浴槽をまたぐ動作が不安定で転倒が怖いのなら、課題は動作と環境の側にあります。

介助されることに抵抗があるのなら、課題は本人の意向と支援の形の側にあるでしょう。事実だけでは、どちらとも決まりません。

だからこそ、No.7の主訴・意向が効いてきます。本人がどう過ごしたいのかと、いまの状況とのあいだにある隔たり。そこが課題になります。事実の記録だけで止めず、意向と突き合わせる工程を1つ挟む。それが課題文への近道です。

訪問前に決める5項目

シートを埋める作業は、訪問前の準備でかなり軽くなります。以下は、玄関に入る前に決めておく5項目です。

1. 今回のアセスメントの理由を言葉にする。 No.9の項目そのものです。初回なのか、認定更新なのか、退院後なのか、状態の変化なのか。理由が決まれば、重点的に確認する項目も決まります。

2. 前回から変わった可能性のある項目に当たりをつける。 全項目を毎回同じ深さで確認する必要はありません。退院後なら健康状態と居住環境、認知機能の変化が気になるならNo.13とNo.12を厚めに、といった配分を決めておきます。

3. 本人に必ず聞く問いを1つ決めておく。 主訴・意向は、聞き方によって出てくる言葉が変わります。「困っていることはありますか」より「これから先、どんなふうに過ごせたらいいですか」のほうが、意向に近い言葉が出ることがあります。

4. 他職種に照会する項目を分けておく。 これは国のQ&Aも勧めている方法です。No.18の口腔内の状況については、「介護支援専門員が自ら収集する情報だけでなく、必要に応じて歯科医や歯科衛生士とも連携して情報の収集・共有を実施することが望ましい」という記載です。

No.19の食事摂取についても、食事の取り方に変化が見られたときは摂食嚥下機能を再評価するため「必要に応じて歯科医や歯科衛生士、言語聴覚士等と連携して実施することが望ましい」としています。必要な食事の量については、かかりつけ医等の医師の指示を踏まえたうえで「看護師や管理栄養士等の他の職種と連携することも有効である」とされています。

自分で全部見ようとしないほうが、正確な情報は早く集まるものです。

5. 埋まらない欄の理由を書く準備をしておく。 聞けなかったのか、今回の課題分析には不要と判断したのか。後者なら、その判断を一言残しておけば、読む人にも自分にも説明がつきます。

5つとも、書式を開く前に決められることです。訪問時間そのものは変わりませんが、帰ってからシートの前で固まる時間は短くなるはずです。

まとめ|次の訪問で確認することを1つ決める

アセスメントは、法令上「解決すべき課題の把握」と定義されています。情報を集めることではなく、集めた情報から課題を導くところまでが本体です。そして何を聞くかは、課題分析標準項目という23項目の枠として国が示しています。

その23項目は2023年10月に改正され、「介護力」と「問題行動」という項目名が消えました。家族を介護の資源として測る見方を改めるため、行動を問題として数えるのではなく背景の要因まで見るため。名称の変更には、はっきりした意図がありました。

そして国は、例示のすべてを埋めることを求めていません。埋まっていないことだけを理由に基準違反としないよう、保険者に留意を求めています。必要な情報を選ぶ判断こそが、専門職に期待されている部分です。

次の一歩は、いくつかあります。 どれか1つで十分ですし、今日決めなくても構いません。

  • 事業所のアセスメントシートを開き、2023年の改正後の項目名になっているか確かめてみる
  • 次の訪問で、23項目のうち重点的に確認する項目を3つだけ決めてから出かける
  • 過去に書いた「意欲低下」「介護力なし」といった記述を1つ選び、根拠となる事実を書き足したうえで、家族等の状況として書き直してみる
  • 本人が言った言葉を、次回はカギ括弧のまま1つ残してみる

書式の空欄は、埋めるためにあるのではありません。その人を理解するための問いが並んでいる、と読み替えられたときに、アセスメントは作業から仕事に変わります。

よくある質問

アセスメントとモニタリングの違いは何ですか?

アセスメントは「解決すべき課題の把握」、モニタリングは「居宅サービス計画の実施状況の把握」で、どちらも指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条に定義があります。ただし両者は並列ではありません。同条第13号は実施状況の把握について「利用者についての継続的なアセスメントを含む」と書いており、モニタリングの中に継続的なアセスメントが入る構造です。「最初がアセスメント、後がモニタリング」と単純に対比すると、この入れ子の関係を見落とします。なお同条第14号は、モニタリングについて特段の事情のない限り「少なくとも一月に一回、利用者に面接すること」「利用者の居宅を訪問することによって行うこと」を求めています。一定の要件を満たす場合には、テレビ電話装置等を活用できる例外も設けられました。

課題分析標準項目の23項目は、すべて埋めないといけませんか?

すべての情報収集を求めるものではない、というのが国の見解です。「課題分析標準項目の改正に関するQ&A」(令和5年10月16日)は、「項目の主な内容(例)」について「これらの内容についてすべての情報収集を行うことを求めるものではなく、各利用者の課題分析に必要な情報を判断するための例示である」としています。さらに「各保険者においては実地指導等において、『項目の主な内容(例)』に記載されている内容が把握されていないことのみをもって、アセスメントが適切に行われていないと判断し、基準違反とすることが無いよう留意されたい」と、保険者側に向けて明記しています。ただしこれは書かなくてよいという意味ではなく、その利用者の課題分析に必要かどうかを専門職として判断してよいという意味です。判断した理由は説明できるようにしておいてください。

アセスメントシートの様式に決まりはありますか?

国が示しているのは項目であって、書式ではありません。「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号、令和5年10月16日老認発1016第1号で一部改正)が定めているのは課題分析標準項目23項目で、居宅サービス計画書のほうには第1表から第7表までの標準様式が示されていますが、アセスメントシートそのものの標準様式は示されていません。そのため実務では複数の課題分析方式が使われており、介護ソフトに組み込まれた独自様式のこともあります。23項目を満たせるかどうかが判断の軸で、書式の見た目が事業所ごとに違うこと自体は問題になりません。

「介護力」という項目はなぜなくなったのですか?

家族等を介護のための資源としてとらえる見方を改めるためです。2023年10月16日の改正で、課題分析標準項目のNo.21は「介護力」から「家族等の状況」に変わりました。国のQ&Aは理由について「本人及び家族等の望む生活の実現を目指す観点から、家族等を介護のための資源としてとらえる『介護力』という一面的な捉え方を改めるため、修正したものである」と説明しています。新しい項目名のもとでは、家族等の関係者の状況を確認したうえで、「家族等もそれぞれの生活があることから、家族等本人の意向にも留意し、利用者本人の介護への参加に対する意欲や負担感を十分に確認することが重要」とされています。同じ改正では「家族等」の「等」についても、親族関係にある者だけでなく意思決定や支援に関わる者を含む意味だと整理されました。

介護職員もアセスメントを行うのですか?

行います。ただし範囲が異なります。課題分析標準項目23項目を用いて生活全般の課題を把握し、居宅サービス計画を作成するのは介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割です。一方、訪問介護のサービス提供責任者は訪問介護計画のために、施設の介護職員や生活相談員は個別援助計画のために、ケアプランに位置づけられたサービスの範囲を深く見ます。介護福祉士の養成課程で学ぶ「介護過程」も、アセスメントから計画立案・実施・評価へと進む同じ考え方に立っています。見る幅と深さが違うだけで、どちらが上位ということではありません。事業所側が現場で気づいた変化は、ケアマネジャーの継続的なアセスメントの材料になるため、抱え込まずに共有する意味があります。

出典


本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。

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