給料・待遇

介護職に退職金はある?|制度の仕組み・相場のめやすと、入る前の確認方法

公開: 2026年7月20日 / 編集: 介護のしるべ編集部

長く介護の仕事を続けてきて、ふと「この仕事、退職金ってあるのかな」と考えたことはありませんか。あるいは、これから介護の世界に入ろうとして、求人票の隅に小さく書かれた「退職金」の文字が気になった方もいるかもしれません。毎日の忙しさに追われていると、なかなか向き合う機会のないお金です。でも、辞めるときにまとまって受け取れるかどうかは、その後の暮らしに関わる、大切な話です。

この記事だけの視点を、先に一つだけお伝えします。それは、退職金は「ある職場」と「ない職場」にはっきり分かれ、しかも長く働くほど大きく効いてくるお金だ、ということです。毎月の給料と違って、退職金は「今いくらか」が明細に出てきません。だから見えにくく、気づいたときには「辞める職場に制度がなかった」ということも起こります。だからこそ、退職金の価値がいちばん高いのは、実は**「入る前」**なのです。制度があるかどうかを確かめてから選べば、長く勤めた末に、その働きに見合ったお金を受け取れる可能性がぐっと高まります。

この記事では、まず「そもそも退職金とは何か」「なぜ職場によって有無が分かれるのか」をやさしく整理します。そのうえで、介護でよく使われる退職金のしくみ、相場のめやす、辞め方による違い、そして入る前の確認方法まで、公的な情報をもとにお伝えします。読み終わるころには、求人票の「退職金」の欄が、今よりずっと意味を持って見えてくるはずです。

この記事の要点を先に

こまかい話に入る前に、いちばん大切な3つの要点を先にお伝えします。

  • 退職金は、法律上の義務ではない。 だから「ある職場」と「ない職場」に分かれます。給料や残業代のように「必ず払わなければならないお金」とは、性質が違います。
  • 介護には、退職金を用意するためのしくみが整っている。 代表的なのが「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」と「中小企業退職金共済(中退共)」という2つの共済です。加入している職場なら、退職時にまとまったお金を受け取れます。
  • 退職金は、長く勤めるほど効いてくる。 短い期間で辞めるとほとんど出ないことがありますが、勤続年数が伸びるほど、額の伸び方も大きくなる傾向があります。

「ある・なしが分かれる」「長く効く」——この2点を頭に置いて、まずは退職金そのものの正体から見ていきましょう。

そもそも退職金とは?「必ずもらえる」ものではない

退職金の話でいちばん最初に押さえておきたい、大事な前提があります。それは、退職金は法律で「必ず払いなさい」と決められたものではない、ということです。

給料や残業代とは、性質が違う

給料や残業代、あるいは有給休暇は、労働基準法(ろうどうきじゅんほう/働く人を守るための法律)で会社に支払いや付与が義務づけられています。ところが退職金については、労働基準法に「払わなければならない」という定めがありません。つまり、退職金を用意するかどうかは、それぞれの職場が自由に決めてよい、というのが国のルールなのです(厚生労働省・労働基準法の考え方より)。

これを聞くと、少し不安になるかもしれません。でも、裏を返せば「制度がある職場を選べば、ちゃんと受け取れる」ということでもあります。ここが、この記事でいちばんお伝えしたい出発点です。

ただし「決めたら守る」義務はある

「義務ではない」と聞くと、「じゃあ、あると言っておいて払わなくてもいいの?」と心配になるかもしれません。そこは大丈夫です。

職場が退職金制度を設けて、就業規則(しゅうぎょうきそく/その職場のルールをまとめた文書)に「退職金を支払う」と定めた場合は、それを守る義務が生じます。つまり、いったん「退職金あり」と決めてルールに書いたら、職場はその約束を果たさなければなりません。だからこそ、「退職金があるかどうか」を書面で確かめておくことが、あとで自分を守る力になります。この確認方法は、記事の後半でくわしく説明します。

「退職金がない職場」も、悪い職場とは限らない

もう一つ、心に留めておいてほしいことがあります。退職金がない職場が、そのまま「ダメな職場」というわけではありません。

たとえば、退職金の代わりに毎月の給料を高めに設定していたり、賞与(ボーナス)を手厚くしていたりする職場もあります。「退職金でまとめて受け取る」か「毎月・毎年こまめに受け取る」か、という配り方の違いにすぎない場合もあるのです。ですから、退職金の有無だけで職場の良し悪しを決めるのではなく、給料・賞与・退職金をひとまとまりで見て、生涯でどれくらい受け取れそうかという視点で考えるのがおすすめです。給料そのものの見方は、介護職の給料の実際(平均・手取り・上げる方法)のページでくわしくまとめています。

介護でよくある退職金の「2つの仕組み」

では、介護の職場では、退職金をどうやって用意しているのでしょうか。多くの職場は、自前でお金を積み立てるのではなく、**共済(きょうさい)**というしくみを利用しています。共済とは、たくさんの職場が少しずつお金を出し合ってプールしておき、職員が辞めるときにそこから退職金を支払う——という助け合いのしくみです。

介護でよく使われる共済は、大きく2つあります。順に見ていきましょう。

仕組み1:社会福祉施設職員等退職手当共済制度

一つ目は、名前は少し長いですが、**社会福祉施設職員等退職手当共済制度(しゃかいふくししせつしょくいんとうたいしょくてあてきょうさいせいど)です。特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人(しゃかいふくしほうじん/福祉を目的につくられた特別な法人)**を中心に、広く使われているしくみです。

このしくみを運営しているのは、**独立行政法人 福祉医療機構(ふくしいりょうきこう)**という国の機関です。英語の略で「WAM(ワム)」とも呼ばれます。仕組みを、やさしく整理すると次のようになります(福祉医療機構の説明より)。

  • **加入するのは、職場(経営者)**です。社会福祉法人などの経営者がWAMと契約を結び、職員を制度に加入させます。
  • 職員本人が、掛金を払う必要はありません。 積み立てるお金(掛金)は職場側が負担するしくみなので、あなたの給料から天引きされることはありません。
  • 辞めるときは、WAMから退職した本人へ、直接お金が振り込まれます。 職場を通さず、運営機関から直接受け取れるのが特徴です。

「職員の負担なしで、辞めるときに国の機関からお金が届く」——働く側にとっては、とても心強いしくみです。もしあなたの職場が社会福祉法人なら、この共済に加入している可能性があります。

なお、細かな点として、特別養護老人ホームなど介護保険の施設・サービスについては、原則として国や自治体からの公費(税金による補助)はつかないかたちで運営されています(福祉医療機構の説明より)。少し込み入った話なので、「介護の職場でもこの共済は使われているが、補助のあり・なしは施設の種類で違う」とだけ、頭の隅に置いておけば十分です。大切なのは、あなたの職場がこの共済に入っているかどうかです。

仕組み2:中小企業退職金共済(中退共)

二つ目は、中小企業退職金共済(ちゅうしょうきぎょうたいしょくきんきょうさい)、略して**中退共(ちゅうたいきょう)**です。こちらは介護に限らず、世の中の中小企業が広く使っている、国の退職金制度です。介護の事業所でも、社会福祉法人以外の会社(株式会社など)が運営する職場を中心に、この中退共を使っているところがあります。

運営しているのは、**独立行政法人 勤労者退職金共済機構(きんろうしゃたいしょくきんきょうさいきこう)**という国の機関です。仕組みは次のとおりです(勤労者退職金共済機構・厚生労働省の説明より)。

  • **加入するのは、事業主(職場)**です。事業主が中退共と契約を結び、毎月の掛金を納めます。
  • 掛金は、全額を事業主が負担します。 中退共では、掛金の一部でも従業員に負担させることはできない、と定められています。ですから、こちらもあなたの負担はありません。
  • 辞めるときは、中退共から従業員本人へ、退職金が直接支払われます。 WAMの共済と同じく、運営機関から直接受け取れます。

このように、社会福祉施設職員等退職手当共済も、中退共も、「職場が掛金を払い、辞めるときに運営機関から本人へ直接支払われる」という点は共通しています。名前や運営元は違いますが、働く側から見た受け取り方は似ている、と考えておくと分かりやすいでしょう。

「うちの職場は、どちらのしくみなのだろう」と気になった方は、あとで説明する確認方法で、面接や就業規則を通じてたずねてみてください。

退職金は「勤続年数」で大きく変わる

退職金を理解するうえで、いちばん覚えておいてほしいのが、勤続年数(きんぞくねんすう/その職場に勤めた年数)が長いほど、退職金は大きくなる、という点です。しかも、ただ増えるのではなく、後半になるほど伸び方が大きくなる傾向があります。

「長く勤めるほど効く」のは、なぜか

退職金の額は、多くの場合、「勤続年数」と「退職前の給料」をもとに計算されます。たとえば社会福祉施設職員等退職手当共済制度では、退職金の額が「計算のもとになる金額(退職前の給料に応じて決まる)×勤続期間などに応じた倍率」で決まるしくみになっています(福祉医療機構の説明より)。この「倍率」の部分が、勤続年数が伸びるほど大きくなっていくため、長く勤めた人ほど、退職金が加速して増えていくのです。

言いかえると、退職金は「1年働くごとに同じ額ずつ足されていく貯金」ではなく、**「長く続けた人ほど、後半でぐんと伸びるお金」**です。だからこそ、腰を据えて長く働ける職場を選ぶことが、退職金という面でも報われることにつながります。

相場のめやす(社会福祉施設職員等退職手当共済の例)

具体的なイメージがわくように、社会福祉施設職員等退職手当共済制度で示されている、普通退職(自己都合での退職)のときの支給例を紹介します。

大切な前提:以下はあくまで特定の条件で計算した一例であり、実際の額は、加入している制度・勤続年数・退職前の給料・退職の理由によって大きく変わります。「この年数なら必ずこの額」という保証ではありません。あくまで「長く勤めるほど伸びる」という傾向をつかむための、めやすとしてご覧ください。

勤続年数退職時の本俸月額(例)退職金のめやす
5年20万円約49万円
10年22万円約114万円
15年26万円約269万円
20年28万円約572万円

(社会福祉施設職員等退職手当共済制度・普通退職の支給例より。福祉医療機構)

この表を見ると、勤続5年から10年で額が2倍以上に、10年から20年ではさらに5倍近くになっているのが分かります。これが「後半になるほど伸び方が大きい」ということです。もちろん、退職前の給料が上がっていけば、そのぶん退職金も大きくなります。給料を伸ばしていく方法は、介護職の給料の実際のページも参考にしてください。

一方、中退共のほうも、積み立てた期間が長いほど、返ってくる割合が高くなるしくみです(勤労者退職金共済機構の説明より)。掛金を納めた月数が短いうちは、積み立てた総額を下回ることもありますが、期間が長くなるにつれて、運用でついた利息などが上乗せされ、返戻率(へんれいりつ/払ったお金に対して返ってくる割合)が高まっていきます。どちらの制度も、「長く続けた人が報われる」という考え方は共通しています。

受け取るときは、税金が優遇されている

もう一つ、退職金の心強い点を挙げておきます。それは、受け取るときの税金が、給料や賞与に比べて大きく軽くなっていることです。退職金は「退職所得」として、ほかの収入とは分けて計算され、まず「退職所得控除」という非課税の枠が差し引かれます。この枠は勤続年数で決まり、勤続20年までは1年あたり40万円(最低80万円)、20年を超える部分は1年あたり70万円が加算されます(国税庁)。つまり、勤続20年なら800万円までが非課税。さらに、枠を超えた分も原則として半分だけが課税対象になります。ここでも「長く勤めた人ほど枠が大きくなる」しくみが働き、退職金は手元に多く残りやすいお金になっています。正確な税額は状況で変わるので、具体的な計算は勤務先や税務署に確認してください。

短期で辞めると、退職金はどうなる?

「長く勤めるほど効く」ということは、裏を返せば「短い期間で辞めると、あまり出ない」ということでもあります。ここは、辞めるかどうかを考えている方にとって、とても気になる点だと思います。一般的な傾向として、正直にお伝えします。

ごく短期だと、支給されないこともある

制度によっては、一定の期間を勤めないと、退職金がまったく出ないことがあります。

たとえば中退共では、掛金を納めた月数が11か月以下(およそ1年未満)の場合、退職金は支給されません。さらに、12〜23か月(およそ1〜2年)では、積み立てた掛金の総額を下回る額になります(勤労者退職金共済機構の説明より)。つまり、入って1年ほどで辞めると、退職金はゼロか、ごくわずか、ということが起こりうるのです。

これは「短期で辞めるのが悪い」という話ではありません。合わない職場を無理して続ける必要はありませんし、健康や生活を守るための転職は、正当な選択です。ただ、退職金という一点だけを見れば、ごく短期の離職では期待しにくい、という事実は知っておくと、判断の材料になります。

自己都合と会社都合で、扱いが変わることがある

もう一つ、一般論として押さえておきたいのが、辞める理由によって退職金の扱いが変わる場合があるということです。

退職には、大きく分けて「自己都合退職(じこつごうたいしょく/自分の意思で辞める)」と「会社都合退職(かいしゃつごうたいしょく/倒産やリストラなど、会社側の事情で辞めることになる)」があります。多くの退職金制度では、会社都合のほうが、自己都合よりも退職金が手厚くなる傾向があります。先ほど紹介した支給例も「普通退職(自己都合)」の場合の数字で、これとは別の扱いが定められていることがあります。

ただし、どの理由でどう変わるかは制度・職場によって細かく異なります。「自己都合か会社都合かで、金額が変わることがある」という大まかな理解を持ったうえで、自分のケースで気になるときは、職場や制度の窓口に確認するのが確実です。

「入る前」に退職金を確認する3つの方法

ここまで読んで、「退職金は、入る前に確かめておくのが大事なんだな」と感じていただけたなら、この記事のねらいは半分達成です。最後に、いちばん実用的な話——求人選びや面接の場面で、退職金をどう確認すればいいかを、3つの方法に分けてお伝えします。

方法1:求人票の「退職金」欄を見る

まず、いちばん手軽なのが求人票(求人の募集要項)を読むことです。多くの求人票には、待遇の欄に退職金についての記載があります。次のような言葉に注目してください。

  • 「退職金あり」「退職金制度あり」:退職金のしくみが用意されている、という意味です。
  • 「退職金共済加入」「退職手当共済加入」:この記事で紹介した共済に加入している、という意味です。これがあれば、辞めるときに運営機関から退職金を受け取れる可能性が高いと考えられます。
  • 記載がない/「退職金なし」:退職金制度がない可能性があります。ただし、書き忘れているだけのこともあるので、気になる場合は面接で確認しましょう。

求人票は、その職場が退職金をどう考えているかを知る、最初の手がかりになります。

方法2:就業規則の「退職金」の項目を確認する

次に、より確実なのが就業規則(その職場のルールブック)を確認することです。前にお伝えしたとおり、就業規則に「退職金を支払う」と定めてあれば、職場にはそれを守る義務が生じます。ですから、就業規則の記載は、口約束よりもずっと確かな根拠になります。

就業規則は、入社前後に見せてもらえることが多い文書です。内定が出たあとや入職時に、「退職金の規定を確認したいのですが」とお願いすれば、たいていは見せてもらえます。退職金の項目に、**「どんな制度か」「どれくらいの期間勤めると対象になるか」**が書かれていないか、目を通しておくと安心です。

方法3:面接で、遠慮せずにたずねる

そして、いちばん確実なのが面接で直接たずねることです。「お金のことを聞くと、印象が悪くなるのでは」と心配になるかもしれません。でも、心配はいりません。働く条件を確かめるのは、当然の権利です。次のように聞けば、失礼にはあたりません。

  • 「退職金の制度はありますか」
  • 「退職金共済には加入されていますか」
  • 「退職金は、どれくらい勤めると対象になりますか」

こうした質問は、むしろ「長く働くことを考えている、まじめな人だ」という好印象につながることもあります。聞きにくいと感じる必要はまったくありません。退職金にかぎらず、面接での確認のしかたや、後悔しない職場選びの手順は、転職の進め方(後悔しない職場選びの手順)のページでまとめています。あわせて読んでみてください。

なお、退職金のあり・なしや手厚さは、施設のタイプや運営する法人の種類によっても傾向が変わります。社会福祉法人が運営するタイプは共済に加入していることが多い、といった違いです。施設タイプごとの働き方や特徴を横に並べて見比べたいときは、施設タイプ別の「働き方」を比べるページが役立ちます。

持ち帰り:退職金の確認チェックリスト

ここまでの確認ポイントを、そのまま使える形にまとめます。気になる求人や、いまの職場の退職金を確かめるときの物差しにしてください。

  • 求人票の待遇欄に「退職金あり」「退職金共済加入」の記載があるか
  • どの制度か(社会福祉施設職員等退職手当共済/中退共/法人独自)
  • 何年勤めると対象になるか(対象になる最低勤続や、支給の条件)
  • 自分の雇用形態(正社員・パート・契約)が対象に含まれるか
  • 就業規則の「退職金」の項目に、以上がどう書かれているか

前半2つは求人票と面接で、後半3つは内定前後に就業規則で確かめられます。すべてそろわなくても、上から一つずつ確認していけば、その職場の退職金の輪郭が見えてきます。口約束ではなく、就業規則という「書かれたもの」で確かめておくことが、いちばん確かな備えになります。

この記事のまとめ

最後に、要点を振り返ります。

  • 退職金は法律上の義務ではない。だから「ある職場」と「ない職場」に分かれる。ただし、いったん就業規則に定めれば、職場には支払う義務が生じる。
  • 介護でよく使われるのは、社会福祉施設職員等退職手当共済制度(運営:福祉医療機構=WAM)と、中小企業退職金共済(中退共)(運営:勤労者退職金共済機構)の2つ。どちらも職場が掛金を負担し、辞めるときに運営機関から本人へ直接支払われる。
  • 退職金は勤続年数が長いほど大きくなり、後半ほど伸び方が大きい。逆に、ごく短期で辞めると、ほとんど出ないことがある。
  • 額は制度・勤続年数・退職前の給料・退職理由で大きく変わる。相場はあくまで「めやす」で、職場差が大きい。
  • 確認方法は3つ——求人票の退職金欄を見る/就業規則を確認する/面接でたずねる。聞くのは失礼ではない。

ここまで読んでいただいた今、あらためて確かめておきたいことがあります。退職金は「ある・なし」がはっきり分かれ、長く働くほど効いてくるお金です。 だからこそ、その価値がいちばん高いのは「入る前」。制度があるかどうかを確かめてから選べば、腰を据えて働いた末に、あなたの長年の頑張りが、まとまったかたちで報われる可能性が高まります。

いま働いている方は、一度、自分の職場の就業規則を「退職金」の項目から眺めてみてください。これから職場を選ぶ方は、求人票の待遇欄と、面接での一言を大切にしてください。それが、遠い先の自分への、いちばん確かな備えになります。退職金を含めた「お金の全体像」を知りたいときは介護職の給料の実際を、職場選びの手順を知りたいときは転職の進め方を、あわせて読んでみてくださいね。

よくある質問

介護の仕事に、退職金はありますか?

「ある職場」と「ない職場」に分かれます。退職金は法律で義務づけられたものではないため、支給するかどうかは職場ごとの方針で決まります。ただし介護の世界には、退職金を用意するための共済(きょうさい/みんなでお金を出し合って備えるしくみ)が整っており、社会福祉法人などでは「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」に加入している職場が多くあります。ほかに「中小企業退職金共済(中退共)」を使う職場もあります。まずは、応募先が退職金制度を持っているかどうかを確かめることが出発点です。

介護の退職金は、何年働けばもらえますか?

制度によって異なります。たとえば「中小企業退職金共済(中退共)」では、掛金(かけきん/毎月積み立てるお金)を納めた月数が11か月以下だと退職金は支給されず、12〜23か月だと積み立てた総額を下回る額になります(独立行政法人 勤労者退職金共済機構)。おおむね「長く勤めるほど、返ってくる割合が高まる」しくみです。社会福祉法人などの「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」も、加入していた期間が長いほど額が増える傾向があります。ごく短い期間で辞めると、退職金はほとんど、あるいはまったく出ないことがある、と考えておきましょう。

介護の退職金は、いくらくらいが相場ですか?

制度・勤続年数・退職前の給料によって大きく変わるため、一律の相場はありません。参考として、社会福祉施設職員等退職手当共済制度(運営:独立行政法人 福祉医療機構=WAM)の普通退職の支給例では、勤続5年・退職時の本俸月額20万円で約49万円、勤続10年・22万円で約114万円、勤続20年・28万円で約572万円といった例が示されています(あくまで一例で、実際の額は制度・職場・退職理由で大きく異なります)。「長く勤めるほど、伸び方が大きくなる」お金だと押さえておくとよいでしょう。

退職金があるかどうかは、どこで確認できますか?

3つの方法があります。1つ目は求人票(求人の募集要項)の「退職金あり/なし」「退職金共済加入」といった記載を見ること。2つ目は、内定前後にもらえる就業規則(会社のルールブック)の「退職金」の項目を確認すること。3つ目は、面接で直接たずねることです。「退職金制度はありますか」「退職金共済に加入していますか」と聞くのは、まったく失礼ではありません。むしろ、働く条件をきちんと確かめる、まじめな姿勢として受け止められます。入る前に確かめておくと、あとで「あると思っていたのに」と困ることを防げます。

退職金にも、税金はかかりますか?

かかりますが、給料や賞与に比べて税金の面で大きく優遇されています。退職金は「退職所得」として、他の所得とは分けて計算され、まず「退職所得控除」という非課税の枠が差し引かれます。控除額は勤続年数で決まり、勤続20年までは1年あたり40万円(最低80万円)、20年を超える部分は1年あたり70万円が加算されます(国税庁)。たとえば勤続20年なら800万円までが非課税枠です。さらに、その枠を超えた分も原則として半分だけが課税の対象になります。長く勤めた人ほど非課税枠が大きくなるため、退職金は手元に多く残りやすいお金だと言えます。具体的な税額は状況で変わるので、正確な計算は勤務先や税務署に確認してください。

パートや契約社員でも、退職金の対象になりますか?

制度と職場の定め方によります。退職金は法律上の義務ではないため、正社員だけを対象とし、パート・契約社員は対象外としている職場もあります。一方で、中小企業退職金共済(中退共)はパートタイマーなど短時間労働者も加入できるしくみがあり、非正規でも対象にしている職場もあります。「非正規だから絶対にない」とも「必ずある」とも言えないので、応募先や今の職場の就業規則で、対象になる雇用形態がどう定められているかを確認するのが確実です。雇用形態を問わず、確かめておくことが自分を守る一歩になります。

出典


本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。 制度や施設の状況は変わることがあります。実際のご判断の前には、各施設・公式情報や公的機関でご確認ください。

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