働き方
カンファレンスとは|法令が名前を付けた2つの会議と、開かないと減る報酬
内容確認: 2026年7月28日 ・ 次回確認期限: 2027年4月30日 ・ 編集部確認済み
「今週も会議ばっかりだ」。記録が終わらないまま次の招集がかかると、そう思う日があります。準備の時間はどこにもないのに、出ないわけにもいかない。
ただ、そのうちのどれが法令上の義務で、どれが職場の慣習なのか。区別がついている人は多くありません。それは経験や知識が足りないからではなく、まったく重さの違う会議が「カンファレンス」というひとつの言葉でまとめられているからです。制度の側が名前を統一していないものを、現場が見分けられなくても無理はありません。
先に結論を言うと、介護保険法にも省令にも「カンファレンス」という言葉は出てきません。法令が名前と中身まで定めた会議は2つだけです。そのうちサービス担当者会議は、居宅介護支援では開かなかった場合に報酬が半分になります。
さらに、同じサービス担当者会議でも居宅と施設では条文の書き方が違い、「照会で済ませる」ことの意味が変わります。この差は、条文を並べてみないと見えません。
読み終えたとき、次に呼ばれた会議がどれくらい重いものなのか、その場で見分けられるようになっているはずです。
まず結論:カンファレンスは3種類に分かれる

介護保険法にも省令にも、「カンファレンス」という言葉は出てきません。 法令が名前を付けて中身まで定めた会議は2つだけです。サービス担当者会議と、介護保険法第115条の48が置く会議。それ以外は、職場が運用として開いている会議になります。
サービス担当者会議は、開かないと報酬が半分になります。 居宅介護支援では運営基準減算の対象で、所定単位数の100分の50。2か月以上続くと、その分は算定できません。
同じサービス担当者会議でも、居宅と施設では条文の重さが違います。 居宅は「会議の開催により」意見を求めると書かれ、照会はただし書の例外です。施設は「会議の開催、担当者に対する照会等により」と並列で書かれています。
「今週も会議ばっかりだ」。そう感じたとき、そのうちのどれが法令上の義務で、どれが職場の慣習なのか。区別がついている人は多くありません。
この記事で扱うのは会議の進め方ではなく、目の前の会議がどれくらい重いものなのかを見分ける方法のほうです。
カンファレンスとは|法令にこの言葉はない

カンファレンスは英語の conference から来た言葉で、会議や協議会を指します。ただ介護と医療の現場では、分野ごとに指しているものが変わります。まずは言葉の側から整理しましょう。
分野ごとに指すものが変わる
同じ「カンファレンス」でも、誰が使うかで中身が違います。
| 分野 | よく指しているもの |
|---|---|
| 医療・病院 | 症例検討会、入退院支援の会議、病棟での申し送りを兼ねた打ち合わせ |
| 看護 | 受け持ち患者の看護計画を検討する会議、勤務帯ごとの情報共有 |
| リハビリ | リハビリテーション会議。訪問リハビリ・通所リハビリでは加算の要件にもなっている |
| 介護・福祉 | ケアカンファレンス、ケースカンファレンス、サービス担当者会議、施設内の申し送りを兼ねた会議 |
介護の欄がいちばん雑多です。制度上の会議と職場の運用が、同じ言葉で呼ばれているからです。
「ケアカンファレンス」「ケースカンファレンス」も、現場では意味の重なる言い方として使われます。厳密な定義があるわけではありません。
法令には出てこない言葉
では制度の側では、この言葉はどう扱われているのか。調べると、意外な結果になります。
**介護保険法の全文を検索しても「カンファレンス」は1度も出てきません。**同じことは省令にも当てはまり、居宅介護支援と特別養護老人ホームの運営基準を定めた2つの省令にも、この語は出てきません。e-Gov法令検索で3本の全文を取得して確かめました(介護保険法・平成9年法律第123号/平成11年厚生省令第38号/同第39号。2026年7月時点)。
| 語 | 介護保険法(法律) | 運営基準の省令 | 報酬の告示 |
|---|---|---|---|
| カンファレンス | 0回 | 0回 | 個別の加算名・要件として登場 |
| サービス担当者会議 | 0回 | 定義から開催の場面まで規定 | 減算の根拠として登場 |
| 地域ケア会議 | 0回 | — | — |
報酬の側には出てきます。居宅介護支援費の告示には「緊急時等居宅カンファレンス加算 200単位」という加算があり、注にこう書かれています。
病院又は診療所の求めにより、当該病院又は診療所の医師又は看護師等と共に利用者の居宅を訪問し、カンファレンスを行い、必要に応じて、当該利用者に必要な居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合は、利用者1人につき1月に2回を限度として所定単位数を加算する。
退院・退所加算でも、情報提供を「カンファレンス」で受けたかどうかで単位数が変わります。
つまり制度は、**個別の場面ごとに「カンファレンス」という語を使う一方で、その会議そのものを定義した規定は置いていません。**この言葉で呼ばれている会議に、共通の法的な位置づけがないということです。
「だからどうでもいい会議だ」という意味ではありません。同じ言葉で呼ばれているだけで、重さがまったく違うものが混ざっているということです。
法令が名前を付けた会議は2つ
では法令が名前と中身を定めた会議は何か。介護保険の枠組みでは、次の2つです。
| 会議 | 根拠 | 性格 |
|---|---|---|
| サービス担当者会議 | 運営基準を定めた省令(居宅介護支援は第13条第9号ほか) | 計画を作るとき等に開く。居宅では開かないと報酬が減る |
| 介護保険法第115条の48が置く会議(通称・地域ケア会議) | 介護保険法第115条の48 | 市町村が設置に努める。個別の支援と地域の課題を扱う |
このあと、この2つを順に見ていきます。そして最後に、法令の定めがない会議をどう扱えばいいかへ戻ってきます。
なお、施設系にはこれとは別に、開催が義務づけられた委員会も置かれました。身体的拘束等の適正化のための委員会を3か月に1回以上、といったものです。この種の委員会については尊厳とは(身体拘束が原則禁止である理由)で扱いました。
サービス担当者会議|省令が義務づけた会議

介護保険の会議で、いちばん重いのがこれです。省令が定義から開催の場面まで書き込んでおり、居宅介護支援では開かなかった場合の報酬上の扱いまで決まっています。順に見ていきましょう。
条文が定義している中身
居宅介護支援の運営基準を定めた省令(平成11年厚生省令第38号)の第13条第9号に、定義そのものが書かれています。かなり長いので、太字にした2か所だけ追えば足ります。
九 介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この号において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。)をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。
読み解くと、こうなります。
| 要素 | 条文が定めていること |
|---|---|
| 招集する人 | 介護支援専門員 |
| 集まる人 | 計画の原案に位置づけた指定居宅サービス等の担当者 |
| 本人・家族 | 参加を基本としつつ |
| 目的 | 情報を共有し、担当者から専門的な見地からの意見を求める |
| オンライン | 可。ただし本人か家族が参加する場合は、その活用について同意が必要 |
注目してほしいのが**「利用者及びその家族の参加を基本としつつ」**の部分です。専門職だけで集まる会議として設計されていません。本人が同席する前提で書かれています。
オンライン開催の同意も、職員側ではなく利用者側の同意が要ります。ここを取り違えている例は少なくないでしょう。
開くべき場面は4つ
いつ開くのか。省令はいくつかの場面を名指ししています。
| 場面 | 根拠 |
|---|---|
| 居宅サービス計画の原案を作ったとき | 第13条第9号 |
| 要介護更新認定を受けたとき | 第13条第15号イ |
| 要介護状態区分の変更の認定を受けたとき | 第13条第15号ロ |
| 福祉用具貸与を計画に位置づけている間 | 第13条第22号 |
4つ目だけは、少し性格が違うものです。条文は「必要に応じて随時サービス担当者会議を開催し、継続して福祉用具貸与を受ける必要性について検証をした上で」と書いています。一度位置づけたら終わりではなく、続けてよいかを問い直す設計です。
更新認定や区分変更のときに開くのは、状態が変わった可能性があるからです。認定が変われば使える限度額も変わり、計画の前提が動きます。
開かないと報酬が半分になる
ここが、この会議がほかと決定的に違う点です。居宅介護支援では運営基準減算という仕組みがあります。
報酬を定めた告示(平成12年厚生省告示第20号)には、こう書かれています。
別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合には、運営基準減算として、所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定する。また、運営基準減算が2月以上継続している場合は、所定単位数は算定しない。
**半分になり、2か月以上続くとゼロになる。**かなり重い扱いです。
では何をしていないと該当するのか。厚生労働省が公表している居宅介護支援費の適用要件一覧が、条文を名指ししています。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第4条第2項並びに第13条第7号、第9号から第11号まで、第14号及び第15号(これらの規定を同条第16号において準用する場合を含む。)に定める規定に適合していないこと。
並んでいる号を開くと、次のようになります。
| 条・号 | 内容 |
|---|---|
| 第4条第2項 | 複数の事業者を紹介するよう求められる旨などの説明(契約時) |
| 第13条第7号 | アセスメント(居宅を訪問して面接) |
| 第13条第9号 | サービス担当者会議の開催 |
| 第13条第10号 | 原案の説明と、文書による同意 |
| 第13条第11号 | 計画の交付 |
| 第13条第14号 | モニタリング(月1回の面接と記録) |
| 第13条第15号 | 更新認定・区分変更のときの会議 |
**7つのうち2つが、サービス担当者会議に関するものです。**この会議が制度上どれくらい重く見られているかが、ここに表れています。
1行目は間違えやすいところです。第4条第2項は、いわゆる重要事項説明(同条第1項)とは別の規定で、「うちだけでなく、他の事業所も紹介してもらえる」と利用者に伝える義務を定めています。
適用の始まりについても、同じ資料のQ&Aに記載があります。2か月以上続いた場合、算定しない扱いになるのは2か月目からです。
ひとつ補足しておきます。2024年度の改定で「運営基準減算に係る要件を削除する」という記述が出てきますが、これは特定事業所加算の算定要件から「運営基準減算の適用を受けていないこと」という条件を外したという話です。運営基準減算そのものは、いまもあります。
なお、個別の事業所が減算に該当するかどうかを判断するのは保険者、つまり市町村や都道府県です。この記事の役割は、何が問われているかを知っておくところまでになります。
照会で代えられる「やむを得ない理由」
会議を開けない場面は、実際にあります。省令もそれを想定していました。
第9号のただし書は、こう続きます。
ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師(以下この条において「主治の医師等」という。)の意見を勘案して必要と認める場合その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
更新認定・区分変更のときを定めた第15号にも、同じ形のただし書があります。
ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
条文が明示しているのは末期の悪性腫瘍がある利用者のケースだけで、あとは「その他のやむを得ない理由」とだけ書かれています。日程が合わない、担当者が多忙といった事情がここに入るかどうかは、条文の文言だけでは決まりません。
日程調整のメールを何往復もして、結局その月は全員がそろう日がなかった。そういう月は実際にあります。
だからこそ、照会に切り替えたときは理由を記録に残す必要があります。あとから見て「やむを得なかった」と読める形になっているかどうか。そこが分かれ目です。
居宅と施設で、条文の重さが違う

ここまでは居宅介護支援の話でした。特別養護老人ホームなどの施設にも、同じ「サービス担当者会議」という言葉が出てきます。ところが条文を並べると、書き方が違っていました。
居宅は「会議の開催により」、施設は「開催、照会等により」
2つの省令の該当箇所を、同じ位置で切り出します。
居宅介護支援(第13条第9号)
…をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により…
介護老人福祉施設(第12条第6項)
…をいう。以下同じ。)の開催、担当者に対する照会等により、当該施設サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。
違いが見えるでしょうか。
| 居宅介護支援 | 介護老人福祉施設 | |
|---|---|---|
| 条文の書き方 | 「会議の開催により」 | 「会議の開催、担当者に対する照会等により」 |
| 照会の位置 | ただし書=例外 | 本文に並列で記載 |
| 意味 | 会議が原則。照会はやむを得ない場合のみ | 会議でも照会でもよい |
**居宅では、会議を開くことが原則です。**照会はあくまで例外で、やむを得ない理由が要ります。一方の施設は、条文の本文に照会が並んでいます。
本人・家族の参加の書かれ方も違う
もうひとつ、会議の定義部分にも差がありました。
居宅の条文には「利用者及びその家族の参加を基本としつつ」と書かれていました。施設の条文にこの文言はありません。定義は「入所者に対する指定介護福祉施設サービスの提供に当たる他の担当者…を招集して行う会議」です。
参加が禁じられているわけではありません。施設の条文にも「入所者又はその家族…が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該入所者等の同意を得なければならない」とあり、参加は想定されています。
ただ、本人・家族の参加を「基本」と書いているのは居宅だけです。施設のカンファレンスが職員だけで完結しやすい背景に、この条文の差もあります。
「照会で済ませている」の意味が変わる
この違いを知っておくと、職場の運用の見え方が変わります。
施設で「今回は照会で」と言われたとき、それは条文が並列で認めている方法です。居宅で同じことをする場合は、やむを得ない理由という条件を満たしているかどうかが問われます。
同じ言葉、同じ手続きに見えて、背負っている重さが違う。だから他事業所のやり方をそのまま持ち込むと、ずれが起きます。
転職や異動で居宅と施設を行き来する人は、特に注意が要ります。前の職場で当たり前だった運用が、次の職場では基準を外れることがあるからです。
施設から居宅へ移った人が「前はこれで通っていたのに」と戸惑う場面は、この条文差から生まれていることがあります。やり方を覚え直すというより、根拠が入れ替わったと捉えたほうが早いでしょう。
地域ケア会議|法律に名前がない会議

もうひとつの、法令に根拠のある会議です。包括や居宅で働いていると呼ばれることがあります。この会議には、少し変わった性質があるのです。
根拠は介護保険法第115条の48
条文はこう始まります。
第百十五条の四十八 市町村は、第百十五条の四十五第二項第三号に掲げる事業の効果的な実施のために、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体(以下この条において「関係者等」という。)により構成される会議(以下この条において「会議」という。)を置くように努めなければならない。
主催は市町村です。構成員には介護支援専門員のほか、保健医療・福祉の専門職、そして民生委員が名指しされています。専門職だけの会議ではありません。
続く第2項は、扱う内容を2つに分けています。個々の被保険者への適切な支援を図るための検討と、地域で自立した日常生活を営むために必要な支援体制の検討です。**個別の事例と、地域の仕組み。**この2階建てが特徴になります。
法律の全文に「地域ケア会議」は0回
ここで奇妙なことに気づきます。条文のどこにも「地域ケア会議」という名前が出てきません。
介護保険法の全文を検索して確かめました。「地域ケア会議」の出現は0回です。条文はこの会議を、ただ「会議」とだけ呼んでいます。
同じことがサービス担当者会議にも当てはまります。こちらも法律には0回で、名前が出てくるのは省令から先でした。前の節で見た表のとおりです。
法律は枠組みだけを置き、名前と中身は省令や通知が決める。現場で使っている会議の名前は、ほとんどが法律より下の階層から来ています。
だから「地域ケア会議」という呼び名も、自治体によって少しずつ違っていました。地域ケア個別会議、地域ケア推進会議といった呼び分けを使う市町村もあります。同じ第115条の48を根拠にしていても、名前は揃っていません。
5つの機能
厚生労働省老健局振興課の資料「地域包括ケアシステムにおける地域ケア会議の役割について」(2016年10月)は、この会議の機能を5つに整理しています。
| 機能 | 資料の説明 |
|---|---|
| 1 個別課題の解決 | 多職種が協働して個別ケースの支援内容を検討することによって、高齢者の課題解決を支援するとともに、介護支援専門員の自立支援に資するケアマネジメントの実践力を高める機能 |
| 2 地域包括支援ネットワークの構築 | 高齢者の実態把握や課題解決を図るため、地域の関係機関等の相互の連携を高め地域包括支援ネットワークを構築する機能 |
| 3 地域課題の発見 | 個別ケースの課題分析等を積み重ねることにより、地域に共通した課題を浮き彫りにする機能 |
| 4 地域づくり・資源開発 | インフォーマルサービスや地域の見守りネットワークなど、地域で必要な資源を開発する機能 |
| 5 政策の形成 | 地域に必要な取組を明らかにし、政策を立案・提言していく機能 |
1から5へ、個別の事例から地域の政策へと積み上がる形です。ひとりの困りごとを検討した結果、「この地域には夜間に対応できる事業所がない」といった課題が見え、資源開発や政策につながっていく。そういう設計になっています。
だから地域ケア会議に呼ばれたとき、話しているのは目の前の1件でも、その先で使われることがあります。事例が地域の材料になる、という前提を知っておくと臨み方が変わるでしょう。
会議の事務に守秘義務がかかる
条文には、もうひとつ押さえておきたい規定があります。
5 会議の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、会議の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
**従事していた「者」**まで含まれています。異動や退職のあとも続く義務です。
第3項・第4項では、会議が関係者等に資料や情報の提供、意見の開陳を求めることができ、求められた側には協力の努力義務があるとされています。呼ばれたら情報を出す立場になりうる、ということでもあります。
だから呼ばれた側にも準備が要るのです。事例をどこまで匿名化するか、家族の事情をどこまで話すか、資料の提供を求められたら誰の判断で出すか。その場で決めることになると、たいてい出しすぎるか、出し渋るかのどちらかに振れます。
会議に守秘義務がかかっていることと、自分の事業所が個人情報の扱いに同意を得ていることは別の話です。持ち出す前に、事業所の管理者に一度通しておくと迷いが減ります。
会議の記録に何を残すか

会議そのものより、あとから効いてくるのが記録です。省令は保存の年数まで決めています。ここでは、記録に何を残せばよいかを具体に落としましょう。
記録は2年間の保存義務
居宅介護支援の省令第29条は、整備して保存すべき記録を列挙しています。そのなかに、こうあります。
二 個々の利用者ごとに次に掲げる事項を記載した居宅介護支援台帳 ハ 第十三条第九号に規定するサービス担当者会議等の記録
同条は、これらの記録を「その完結の日から二年間保存しなければならない」と定めています。会議は開いて終わりではなく、記録が2年間残る前提で扱われているということです。
同じ台帳にはアセスメントの結果、居宅サービス計画、モニタリングの結果も入ります。会議の記録だけが浮いているのではなく、一連の流れとして保存されます。
個人情報は、あらかじめ文書で同意
見落とされやすいのが、この規定です。
3 指定居宅介護支援事業者は、サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならない。
ポイントが2つあります。ひとつは「あらかじめ」であること。会議が始まってから取るものではありません。
もうひとつが重要です。**家族の個人情報については、家族本人の同意が別に要ります。**利用者の同意でまとめて済むわけではありません。
会議では、家族の就労状況や健康状態、介護にどれだけ関われるかといった話が当たり前に出ます。それは家族の個人情報です。同意を取っているかどうか、一度確かめてみる価値があります。
要点に書く3つ
では中身に何を書くか。ここまで見てきた条文から逆算すると、外せないものが見えてきます。
- 誰が出たか(招集した担当者と、本人・家族の出欠)
- どんな専門的な見地からの意見が出たか(省令が求めているのは「意見」そのもの)
- その意見を計画にどう反映したか(反映しなかった場合はその理由)
3つ目が抜けやすい部分です。意見は書いてあるのに、それをどうしたのかが書かれていない記録はよく見かけます。会議は意見を集める場ではなく、計画に反映するための場として条文に置かれています。
2つ目の書き方も、差が出るところです。
| 書き方 | あとから読んだ人が受け取るもの |
|---|---|
| 特に意見なし | 本当に意見がなかったのか、聞かなかったのかが分からない |
| 訪問看護より、服薬の自己管理が難しくなってきているとの意見。訪問回数を週2回へ増やす提案があり、計画に反映 | 誰が・何を根拠に・どう提案し・どうなったかが追える |
省令が求めているのは「専門的な見地からの意見」です。職種と、その職種だから言えたことがセットで書けているか。そこが分かれます。
出欠の記録も軽く見ないでください。居宅の条文は本人・家族の参加を「基本」としています。欠席が続いているなら、その事実自体が次の検討材料でしょう。
開けなかったときこそ書く
会議を開けず照会に切り替えたとき、記録の重みはむしろ増します。あとから「やむを得なかったのか」を判断する材料が、そこにしかないからです。
残しておきたいのは3点です。
| 残すこと | なぜ必要か |
|---|---|
| 開けなかった理由 | 条文の「やむを得ない理由」に当たるかを、あとから読む人が判断できるようにするため |
| 照会した相手と方法 | 「担当者に対する照会等により意見を求めた」ことの裏づけになるため |
| 得られた意見と、その反映 | 会議で求めるものと同じ内容が得られたかを示すため |
「調整がつかなかった」の一行では足りません。誰といつ調整を試み、なぜ折り合わなかったのか。そこまで書けているかが分かれ目になります。
会議の重さを見分ける3つの問い
最後に、日々の判断に使える形へまとめましょう。呼ばれた会議がどれくらい重いものかは、次の3つで見分けられます。
- その会議は、法令に名前があるか(サービス担当者会議か、第115条の48の会議か、それ以外か)
- 開かないと報酬に影響するか(居宅介護支援の運営基準減算に該当する場面かどうか)
- 記録の保存義務がかかるか(居宅介護支援台帳に綴じる記録かどうか)
3つとも「はい」なら、日程を動かしてでも開く会議です。3つとも「いいえ」なら、それは職場が目的を決めている会議になります。
法令の定めがない会議をどう扱うか
3つとも「いいえ」だった会議が、冒頭で触れた3種類目です。施設内のケアカンファレンス、ケースカンファレンス、フロア会議。法令に規定がないので、目的も進め方も職場が決めています。
これが悪いわけではありません。むしろ、法令が縛っていない分だけ自由に設計できます。ただ、義務がない会議は、目的があいまいなまま続きやすいという性質もあります。誰も決めていないのに、なぜか毎週ある。そういう会議に心当たりのある人は多いでしょう。
棚卸ししたいときは、次の3点を見てみてください。
| 見る点 | 確かめ方 |
|---|---|
| 目的が文書になっているか | 会議の目的を書いた資料があるか。口伝えだけなら、参加者ごとに認識がずれている可能性がある |
| 記録の扱いが決まっているか | 議事録を残すのか、どこに保存するのか、誰が読むのか。決まっていないなら、その会議の結論は蓄積されていない |
| やめたら誰が困るか | 困る人が具体的に挙がるなら、その人のために続ける会議。誰も挙がらないなら、目的から作り直せる |
3つ目が効きます。「やめたら誰が困るか」に答えられない会議は、目的を失っている可能性が高いからです。逆に困る人が明確なら、その人に必要な形へ組み替えられます。
「この会議は何のために開いているのか」と聞いてよい場面は、たいていこちらの会議です。法令上の義務がある会議と混ぜて考えると、聞きにくくなってしまいます。
全部を今日から整理する必要はありません。次に呼ばれた会議ひとつで、3つの問いを当ててみてください。
まとめ|会議の名前で、重さを見分ける

介護保険法にも省令にも「カンファレンス」という言葉はありません。法令が名前と中身を定めた会議はサービス担当者会議と、介護保険法第115条の48が置く会議の2つです。
サービス担当者会議は、居宅介護支援では開かないと運営基準減算の対象になり、所定単位数は100分の50。2か月以上続くと算定できません。同じ会議でも、居宅は「会議の開催により」、施設は「開催、照会等により」と条文の書き方が違い、照会の重みが変わります。
次の一歩は、いくつかの選び方があります。次に呼ばれた会議に3つの問い(法令に名前があるか/報酬に影響するか/記録の保存義務がかかるか)を当ててみる。直近の会議記録を開いて、出た意見をどう反映したかまで書けているか確かめる。あるいは、家族の個人情報についての同意書が揃っているかを見に行く。
全部を今日から変える必要はありません。気になった1つから確かめてみてください。
よくある質問
介護のカンファレンスとはどういう意味ですか?
会議や協議会を指す一般語で、介護保険の制度用語ではありません。介護保険法の全文にも、居宅介護支援や特別養護老人ホームの運営基準を定めた省令にも、「カンファレンス」という言葉は出てきません。現場では、ケアカンファレンス、ケースカンファレンス、申し送りを兼ねた打ち合わせなどが同じ言葉で呼ばれます。分野によって指すものも変わり、医療では症例検討会や入退院支援の会議、看護では看護計画を検討する場、リハビリではリハビリテーション会議を指すことが多いといえます。制度上の会議と職場の運用が同じ言葉でまとめられているため、法令上の義務があるものと、そうでないものが混ざっている点に注意が必要です。
サービス担当者会議は必ず開かなければいけませんか?
居宅介護支援では開催が原則で、やむを得ない理由がある場合に限り照会で代えられます。省令(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準)第13条第9号は「サービス担当者会議…の開催により」意見を求めると定め、ただし書で「利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により…その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができる」としています。開くべき場面は、居宅サービス計画の原案を作ったとき、要介護更新認定を受けたとき、要介護状態区分の変更の認定を受けたとき、そして福祉用具貸与を位置づけている間の随時の検証です。一方、介護老人福祉施設の省令第12条第6項は「会議の開催、担当者に対する照会等により」と並列で書いており、照会の位置づけが居宅とは異なります。
サービス担当者会議を開かないとどうなりますか?
居宅介護支援では運営基準減算の対象になり、所定単位数の100分の50に減額されます。根拠は厚生労働省の告示です。「別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合には、運営基準減算として、所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定する。また、運営基準減算が2月以上継続している場合は、所定単位数は算定しない」と定められました。減算の対象となる規定には、サービス担当者会議を定めた省令第13条第9号と、更新認定・区分変更時の会議を定めた第15号の両方が含まれます。ほかにアセスメント、原案の説明と文書同意、計画の交付、モニタリングも対象です。ただし個別の事業所が減算に該当するかどうかを判断するのは保険者である市町村や都道府県であり、事業所や個人が決めるものではありません。
地域ケア会議とサービス担当者会議は何が違いますか?
主催者と目的が違います。サービス担当者会議は介護支援専門員が招集し、特定の利用者の計画について担当者から専門的な見地からの意見を求める会議です。一方、地域ケア会議は市町村が設置に努めるもので、根拠は介護保険法第115条の48。介護支援専門員や保健医療・福祉の専門職に加えて民生委員なども構成員に含まれ、個々の被保険者への支援の検討と、地域で自立した日常生活を営むために必要な支援体制の検討という2つの層を扱います。厚生労働省の資料は、個別課題の解決、地域包括支援ネットワークの構築、地域課題の発見、地域づくり・資源開発、政策の形成という5つの機能に整理しています。なお法律の条文にはどちらの名前も書かれておらず、介護保険法の全文における「地域ケア会議」「サービス担当者会議」の出現はいずれも0回です。
サービス担当者会議の記録は何年保存しますか?
居宅介護支援では、その完結の日から2年間です。省令第29条第2項は、居宅介護支援台帳に記載すべきものとして居宅サービス計画、アセスメントの結果の記録、サービス担当者会議等の記録、モニタリングの結果の記録を挙げ、これらを完結の日から2年間保存しなければならないと定めています。あわせて第23条第3項は、会議で利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならないとしています。家族の個人情報については家族本人の同意が別に必要である点は見落とされやすい部分です。記録には、出席者、出た専門的な見地からの意見、その意見を計画にどう反映したかを残しておくと、あとから読む人が判断できる形になります。
出典
- e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)第13条第9号・第15号・第22号、第23条第3項、第29条 (2026年(令和8年)閲覧)
- e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第39号)第12条第6項・第11項 (2026年(令和8年)閲覧)
- e-Gov法令検索「介護保険法」(平成9年法律第123号)第115条の48 (2026年(令和8年)閲覧)
- 厚生労働省「指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第20号・運営基準減算の規定) (2000年(平成12年)2月10日)
- 厚生労働省「(適用要件一覧)201 居宅介護支援費」(運営基準減算の対象となる条・号の列挙とQ&A) (2026年(令和8年)閲覧)
- 厚生労働省老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(社会保障審議会介護給付費分科会 第239回 参考資料1・特定事業所加算の見直し) (2024年(令和6年))
- 厚生労働省老健局振興課「地域包括ケアシステムにおける地域ケア会議の役割について」(地域ケア会議の5つの機能と各機能の定義) (2016年(平成28年)10月28日)
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